紙の本
一気読み
2022/05/16 10:20
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投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読む作家さん。読みやすい文章で、一気読みでした。おもしろかった。そして、物を書くことについて、作者自身がこう考えられてるのかな、と興味深く読みました。ネタバレになったらいけないので、詳しくは書けませんが、後半は結構おどろきました。他の本も読んでみたいと思います。
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申し訳ない、ギヨーム・ミュッソ。私は謝らなければならない。
あなたは、やはりあなただった!
しかし、無理もないだろう。
『作家の秘められた人生』
こんなタイトルをしているのだから。
名作をものした作家が、突然断筆し、隠遁したのは20年前。
作家志望の若者は、彼に会うべくその島を訪れる。
住まいを訪れるも拒絶され、会うことも叶わない。
島の住民に話を聞き、ぐるぐる回り道をし、うっかり怪我などもして、ようやく、本の最後くらいで、出会いを果たすのだ。
若者を前にして、老作家は、自身の生と死、絶望と奇遇、世界と個、そしてそれによる個の解放について、静かに語りだすのだった・・・・・・
とかいうのだったらどうしようと、さすがに警戒したのだ。
読み進めた挙げ句の果てが、自己陶酔した老人のつまらない自分語りだったらと、実ははじめの辺りは、恐れてゆっくり読んでいた。
しかし、そんなことはなかった!
ギョーム・ミュッソはやはり素晴しい!
ページをめくる手は、すぐさま止らなくなる!
上記のような陳腐な流れを、つい想像してしまった人は、実はいるに違いない。
しかし、その警戒は無用! 安心して手にとってほしい。
どこに向かっていくのか、先の見えない物語がここにある。
『そう、読書がほかの何よりもいいものであることは確かだった。ネットフリックスよりも、アトランタ・ホークスのバスケットの試合よりも、人をゾンビのように無気力にする、ネットの世界にあふれた、ありとあらゆるくだらない動画なんかよりもずっといいものなのだ。』 (112頁)
断筆した作家といい、それに憧れる青年といい、この物語には本に関わる人が多くいる。
彼らが折りにふれて語るのは、本のこと、本を読むこと、小説を読むこと、小説をつくりだすことについてだ。
さらには、章の冒頭に挙げられる一文においてでさえ、様々な作家が口々に述べたてている。
そうそう、と思わず頷くものもあれば、感銘をうけて何度も読み返したくなるものもある。
呆気にとられるものもあり、痛みを伴うものもある。
「人間は本を読まなくなった、そういうことだ」 (33頁)
さらには「書く」ということについて。作家の「書くという行為(エクリチュール)」について、著者は手を変え品を変え、色々な角度から、念入りに重層的に説いている。
あなたが本好きならば――小説、物語、本を読むことに憑かれているならば、これは読むべき本である。
※ Amazonのレビューには要注意。
話の展開が無造作に全部書かれてしまっている。
非常に好意的な評価なのだが、たいていの人をすっかり興醒めさせてしまうだろう。
読むなら読後である。
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世界的な売れっ子作家のフォウルズは20年前に断筆宣言し地中海の島に引きこもっている。出版関係者やジャーナリスト達との交流を絶っていた!?
フォウルズのファンで小説家を目指すラファエルは自分の書いた小説原稿に対するフォウルズの指導を受けたくて島に渡る。
時同じくして新聞記者のマティルドはフォウルズとのコンタクトを画策?する。
そんな中、平和な島で不気味な事件が起きる・・・
ボリューム良し、中盤以降のテンポ良し、島の雰囲気良し、社会性有りというところです。
ある意味と仮定において、世界の闇に触れる作品かと思いました。
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ミュッソの洗礼を受ける作品。
ミステリーというとどんでん返しや種明かしがあり、再読によって初めて理解されるというのが王道。大半のミステリーは揺るぎない真実に収斂する。
この作品はそうはいかず。ミステリアスの形容詞を最後まで脱がない。
作中作(『作家の秘められた人生』が物語中に)の手法があり、さらに著者ミュッソ本人がエピローグに登場。犯罪の謎と共に「書く行為」(エクリチュール)そのものの謎に読者は酩酊する(飲酒しながら読まない方がいい)。
死を面前にして初めて甦る人生の輝き、そのくだりに感動した。気宇壮大。
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素晴らしい想像力と構成。
330ページほどなのに、小島を舞台にしながら、現在と過去、真実は?悪は?と視点を大きく振らされ、充実のミステリーで満足。
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面白かった、が第一印象。構成も凄く引きこまされた。人物描写もそれぞれ描き分けられてリアルだった。時々右足でブレーキ踏み込みながらの読書だった。
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3.5という感じかなあ。
『ブルックリンの少女』『パリのアパルトマン』と読んできて、どうにも気になるミュッソですが、今回のミュッソは、私の期待とはちょっと違っていたなあ。(まあ、読者の期待なんて勝手なものですから。)
構成もうまく出来ていて、謎も魅力的で、テンポもよくて、面白いことは面白いんですが。
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作中作過敏症になっているのを自覚させられた。面白かったのは間違いないが、普通なら余韻を味わうべきところで一足先に醒まされてしまうせいで評価が下がる。
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ボギャ貧の私には、読後感を書くには巻末の表現しか思いつかない・・≪小説が現在のスタイルを呈するに至った長い歴史を取り入れ≫ミュッソが「書くという行為に徹した強かさ」を見せつけられた。
ヘタな頁数なく、ラストにかけての40頁の衝撃、自然風景の描写に心くゆらせつつの読書は素敵な時間。
単なる老作家のノスタルジー、心の闇をほぐすものと思いきや 作中作の巧みさ、ミュッソ自身のエピローグでのトークは読む行為を堪能させられた。
生きる、死ぬ、銃声・・それのみで終わらず、殺戮と死に至る時間で己の咎を自省せしめる・・う~~ん。
イエス「兄弟の目の中のおがくずは見えるのに、自分の目の中の丸太には気づかない」★この箴言の意がリフレインする
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20年前、突然の断筆をし、地中海の島で隠遁生活を送る超人気作家フォウルズ。彼に陶酔する作家志望のラファエルは島に移り住み、原稿を読んでもらおうと訪ねるが、発砲され追い返されてしまう。同じ頃、記者のマティルドの訪問を受けたフォウルズは彼女の目的をラファエルに捜査させた。ラファエルが発見した数々の謎と浜辺で見つかった女性の惨殺死体、そして、フォウルズの断筆の秘密。二転三転する推測に最後まで翻弄された挙句、終章では混乱の中に突き落とされた。自分の解釈が合ってるのかどうか自信がないが、ソコがまた魅力なのかも。
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予想外の展開に惹き込まれ、思いもよらない結末に…。前作同様、後半から一気に伏線が回収されていく様は圧巻!面白かった‼︎
筆の早い作家さんのようなので、他の作品も翻訳して欲しい。
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地中海にひっそり浮かぶ小島に隠棲した、まるでサリンジャーのような作家の秘密を探る物語…。とても魅力的なあらすじだし、「ブルックリンの少女」「パリのアパルトマン」のギヨーム・ミュッソ作となれば期待は高まる。前作までの次から次へと謎が噴出し、徐々にクライマックスに向けて盛り上がる…というより今作は最後の四分の一で一気に解決する流れ。しかも主人公の作家フォウルズの1人語りで大きな謎(いきなりサラエボ!)が解明されるのはちょっと2時間ドラマ風で物足りないな。語り手が結末を見届けずに舞台からさるなどの斬新な仕掛けもあるのだが、期待の高さでギリギリ4.0かな。
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はじめての感覚、こうした捻った作品、大好物です。いくつもの作品を一度に読んだような充実感に浸れました。いやー、作家ってすごいですね。
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ミュッソ初めて読みましたが面白過ぎました!
これから他の作品を読むのが楽しみです。
地中海の雰囲気が大好きなので、情景描写の素晴らしさが素敵でしたが、
人々の織り成す関係性や心情が作ったものと思えないみずみずしさを持つ
エネルギーで一度読みだすと引き込まれてしまう1冊だと感じました。
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図書館で。
個人的には作家志望の彼も、目的があって近づいた彼女も接近方法が結構乱暴で、これじゃ引きこもってる人には逆効果だろうと思ったらそうでもなかったのが意外。まぁ彼が引きこもっていたのは他に理由があったから、と言う事もあるのかもしれないけど。
それにしても復讐ってすごいなぁ。とっても根気がいる話だなぁ。私たちの子供と孫を殺した男を誰も殺してないって遺言を残す祖母もすごいけど、巻き込まれたコソ泥二人はぶっちゃけ被害者だよな。彼らの子孫は復讐しても良いレベルじゃないか、アレ。
共感は出来ないし、最後そういうオチ?とも思いましたが中々引き込まれました。でもやっぱり部外者を巻き込み過ぎだよな、とは思いましたが。