投稿元:
レビューを見る
先の(2)で、前田慶次の魅力を表している一つは、男同志の友情と書いた、私は
また一つ挙げるとするなら、やはり、女性関係だろう
女性関係、こう書くと、やや爛れてしまうような気がしないでもないが、そこはやはり、前田慶次、汚れた感じが全く無い。きっと、慶次が、命懸けで相手の女性を愛そうとしているからじゃないか、と思う
この『花の慶次‐雲のかなたに‐』に登場する美女らが、慶次に惚れるのも納得だ、と思えるのだ、自然に
恐らく、男性読者の大半も、仮に自分が女性として生まれていたのなら、慶次に抱かれたい、と思うんじゃないだろうか
しかし、慶次の恋路が常に上手く行く、とは限らない。悲しい結末になってしまう事もある。ただ、慶次に惚れた故に命を落とす事になった蛍の死に顔には、一切の後悔はなく、むしろ、幸せしかなかった
そんな蛍を巡って、慶次と戦った、凄腕の忍者・蝙蝠もまた、良い男だった。慶次の優しさに触れ、感謝しながら去って行ったのが、その証拠だ。また、蝙蝠は慶次に、かつて、自分が命を狙い、なおかつ、その気迫に震わされた信長の雰囲気も見ており、それも彼が漢である事を示しているように思える
今、原先生が、『いくさの子 織田三郎信長伝』を連載中である事もあるんだろうが、全漫画家の中で、最も、原先生が織田信長の凄味を引き出せる人だ、私的に
心から慕う父・前田利久を喪った悲しさを噛み締めながらも、決して立ち止まらない慶次は、ついに加賀を飛び出した。まぁ、その際、利家相手に、とんでもない事をしているんだが、それはそれで、慶次の優しさの示し方だった
果たして、慶次が日ノ本に散らばる猛者どもを相手に、どんな大暴れをし、絆を紡いでいくのか、実に楽しみだ。この(3)で、早速、新たな供・捨丸を得た事で、尚更にワクワクする私であった
この台詞を引用に選んだのは、ほんと、前田慶次の男前っぷりに濡れてしまいそうになったので
冗談抜きで、この手の台詞は、前田慶次くらい、良い男じゃなきゃ言っちゃいけないような気がしてくる
こんな事を言われたら、そりゃ、女性からしたら、満足できる死を迎えるだろう
これほどの優しさを示した後に、慶次が鬼の形相となるのが、これまた、彼の愛の深さを、より濃く感じさせてくれる
表情のギャップと言っていいのか、その辺りは自信がないが、とても勉強になった
「け・・・慶次様・・・なぜ・・・私がついだお酒を・・・」
「おれの首は、お前にやるっていったろ。おまえがついでくれた酒なら、たとえ、毒が入っていても飲んださ」(by蛍、前田慶次)