投稿元:
レビューを見る
YouTubeと劇場映画。今時。 『何かを選ぶということは他のすべてを切り捨てるということであり、その判断を脳が正確に行うことができる回数は1日のうちでそんなに多くはない』 うん。
投稿元:
レビューを見る
本に挟まれていたチラシに朝井リョウくんの一言が載っていた。
どの家庭にも届く“新聞”に
小説を連載することは
子どもの頃からの夢でしたが,
いざ現実になったとき,新聞の影響力は
小さくなっていました。
そんな認識のズレを行き来するうち
削り出てきた文章たちです。
本作品は,もともと「朝日新聞」に連載されたものらしい。
いいものとは何か? 価値あるものとはなにか? そもそも,万人に価値のあるものというものはあるのか。
映画監督をめざす二人の大学生(尚吾と紘)。卒業したあと進んだ道は,今までの映画界の王道(尚吾)と,ユーチューブを舞台とする新しい発信地(紘)。
ライバル意識も燃やしながら,それぞれの場所でもなかなか満足できない二人。二人が,それぞれに自分のやっていることの現代的な意味などを考えながら,自分が求めたいものとは何かを考えていく。そこに絡んでくる千紗の物語も,とてもいい。
主人公の尚吾と,その友人,紘。そして尚吾と同棲する千紗。3人とも前向きな生き方をしていてとても共感できた。というか,今回の小説は,みんな前向きだわ。読んでいて気持ちいい。372ページの千紗の言葉が一つの結論かな。
最初に紹介したチラシによると,本作品と対照的な形で「正欲」という作品が来年春に出版されるらしい。「本書が白版,『正欲』は黒版」だとリョウくんは言うが…。どんな作品なのか今から楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
ほんとに、簡単に、いろいろなものに触れられる時代で。生きていれば自然に触れるものだけでも、いい意味でも悪い意味でも、自分の考えに影響を与えていく。
自分の考えを信じたいと思うと、違う考えの揚げ足をとるようになったりして。だけど、そのすぐ後に、いやでもそっちの考え方もわかるよ、とか言ってみたりして。
頭の中でぐるぐるぐるぐる、ほんとに生きるのってめんどくさい。でも、そのめんどくさいの繰り返しが人生で。違う考えの人がいるのは当たり前、だって違う人なんだから。
このぐるぐるを、大切に、愛おしく思えるようにいきてゆきたい。
投稿元:
レビューを見る
朝井リョウはずっと現代と向き合っている作家だ。だけど描く人間の懊悩や逡巡については、その現代に対しどう向き合っていくか?と言うところからすごく普遍的で感情移入しやすいです。この作品も映像作品に向き合う人々の逡巡が語られるけど、最後のキーワードを語るのは別の誰かとなる。真理は全てに通づる、そんなことで映像に関わらない自分も勇気づけられた作品となりました。
誰もが自分の価値観とやり方で自分の信じる道を歩いている。其れを「間違いだ」と言うことは意味の無いことで傲慢な事なんですよね。
投稿元:
レビューを見る
質の高いものを作っても対価を払って見てくれる人は少ない。質にこだわらず量産すれば沢山の人が見てくれるけど記憶には残らない。自分は何を信じればよいのか悩む若者たち。相変わらずざらざらと心に触る話を書きますね、朝井リョウ。
他と比べるのではなく、自分のよいと思うものをきちんと説明できるようにする。
価値観が多様になるなかで何かを作っていくことの難しさ、そしてその中の答えのひとつを差し出してくれています。
投稿元:
レビューを見る
朝井リョウさんの本は読後感があまりよくない本もある。それが魅力とも言える。
この本については、明確な結論が示されていないものの登場人物皆が前を向いている終わり方で、良かったなぁと感じたのであった。
投稿元:
レビューを見る
学生時代に共同監督で映画祭グランプリを受賞した二人が、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。
作品の価値を何で測るのかというテーマに、双方に共感と反発を感じたけど最後には背中を押された。今の時代に創作活動する人には避けて通れない問い。
投稿元:
レビューを見る
自分が昔目指していた所も、時代が変わると同じように存在するとは限らないと考えさせられた。
現代の流れにうまく寄り添って、物語や尚吾と絋の心情が描かれていてすごく惹き込まれました。
投稿元:
レビューを見る
そんな滔々と自分の考えを語れるんかぃ、ってくらいサシの会話が随所で蘊蓄くさいけれど、言いたいことは伝わるから良し。
投稿元:
レビューを見る
なんでこんなに、若いひとの感覚とそれがわかんないひとの感覚が、わかるんだろう……
世間についけいけなくて、でも、ついて行ってるひとのことがどうにも好きになれなくて、というか、嫌いで、そういう社会の少数派の気持ちをすくってくれてる文章にどうしても安心してしまう。
時代の変化と時代の新しくて若い部分が、ダイレクトに反映されてる気がする。
誰も、間違ってない。
間違ってない。
間違ってないから、難しい。
投稿元:
レビューを見る
質や価値の基準はどんどん細分化されているから、全方位にウケるのは難しい。いろいろなものに触れながら、自分の納得できる方向をしっかり理解して進んでいくのが、これから世の中を幸せに生きていくために大切だと思った。自分の心がわかっていないと、ずっと比べることから逃れられなくて、辛いと思う。
投稿元:
レビューを見る
誰かにとっての質と価値は、もう、その人以外には判断できないんだよ。(p372)
私は誰かがしてることの悪いところよりも、自分がしてることの良いところを言えるようにしておこうかなって、思う(p373)
なあ、紘、よかて思うものは自分で選べ。どうせぜーんぶ変わっていくと。(p38)
投稿元:
レビューを見る
今の時代を表していて、サクッと読み進めたが、最後に二人がどう変わっていくのかもう少し見せて欲しかった。
投稿元:
レビューを見る
時代のスピードに翻弄されながらも、自分にとって大切なもの・価値観を見つけていく作品。
読み終えた後も、千紗の言葉がずっと心に残ってる。
【誰かがしてることの悪いことよりも、自分がしてることの良いところを言えるようにしておこう】
【星って、本当は星形じゃないよね】
自分が何かを突き詰めて上手くいかない時ほど、必要以上に周りと比べて落ち込んでしまうことってある。でも、その突き詰めてきたものは、自分にとってはとても価値があって、自分を形成する大切な1つの要素。
時代の流れに乗ることも大切だけど、自分を見失わないように、自分にとって大切なものを見つけて貫いていこうと思った。
投稿元:
レビューを見る
自分の考え方、生き方を見直そうかなと思った。人と比べて生きることが多い私にとって勉強になった一冊。ぐさっときた。プライドは高くない方だと思っていたが、気付かぬうちにそういうとこがある、そういう発言していた改めて思った