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加藤さんの作品はなんだか読みづらくて苦手だなと思っていたけれど、この作品は続きが気になる作品だった。
いつもなら著者の顔が頻繁にちらついてしまうけれど、登場人物の個性が際立っているからか、今回はそういう事もなく楽しめた。
主人公が章ごとに交互に代わって物語が進んでいくので、飽きずに読み進められる。蓉の章は読み応えがあったが、尚志の章は少し物足りなかった感じがする。
それでも、進むにつれて主人公たちが関わり合っていくのも読んでいて面白かったし、後半は文章から映像のスピード感が感じられた。
高校生限定のマッチングアプリという発想も面白いし、アプリをしていてもしていなくても、高校生達がそれに影響され、翻弄されているという点も興味深かった。
「苦しい思いに対して、成長させてくれたと感謝することがある」という描写があったけれど、そうしないと次に進めないからな。もちろん嫌な思いなんて誰もしたくないけれど、起こったことは起こったことで受け入れて、自分のためになったんだと思い込まないと虚しいだけだ。
オルタネートは名詞だと代理人、代役という意味だけど、自分に代役なんていないから、自分は自分を生きなくてはいけない。間引きをして成長して、殻を破っては成長して。
主人公たちも最後は成長して前を向いていて、読後はとても清々しかった。文庫版でまた読み返したい。
「やさしくないことに気づいてから、やさしくなれるの。」
「やめないよ、だって好きだもん。それでやめたらさ、僕の好きな気持ち、人に盗られたってことになるじゃん。僕の好きは自分で守るし、誰にだって奪えない」
自分らしく咲きながらお互いにいい影響を与え合うコンパニオンプランツは、人間にも当てはまる。
餃子とカルボナーラ食べたい。
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まず、わたしはNEWSのファンでもなく、ジャニーズのファンでも全くない、ただ単に小説好きの、小説家としての加藤シゲアキくんのファンです。ピンクとグレードから好きでアイドル小説家として色眼鏡かけられるのが本当にもったいない、面白い作品ばかり生むのに。
今回直木賞ノミネート!おめでとうございます!!
馴染めない登場人物の名前ばかりで、キラキラネームすぎるだろ!思うのですが、どうなんですかね。あと大阪弁も…胡散臭く響いてしまったんだけど。それを差し引いても個人的に好きでした。
こういう人の心のどろっとした感情描いた作品、好き!
けど、どうだろ、直木賞は無理だろうな。朝井リョウくんの何者には遠く及ばないと感じてしまいましたし、なんか似てるし、似てると感じた時点でダメだろな。
でも、デビュー当時は水◯ヒロのつまらない小説が比較対象だったのに、よく残ってくれたし、その後も書き続けてくれたなーと嬉しくなっちゃう!
ジャニーズの忖度とか読んでもないのにアンチが減って、ちゃんと読んでくれる人たくさん増えるといいな。
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初めて加藤さんの作品を読みました。
オルタネートというmixiのようなアプリを介した青春群像劇です。
高校生特有の揺れたり迷ったりするさまがわかるなあ。
「私は私を育てる」が心にのこってます。
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本当に楽しくてワクワクしながら最後まで読めた。最初は登場人物が多すぎる?って思ったけど、最後の方ではそんな事は全然気にならないくらい全員が必要な登場人物だった。加藤シゲアキさんの本は全部読んでるけど、どんどん上手くなってきて(私調べ)、1人の作家さんとして次回作が楽しみです。
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全国の高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」。恋愛相手を探すだけでなく、友達を探したり、情報共有としても活用されている。
ある高校を舞台に「オルタネート」によって繋がれた人達が、恋愛や友情、情熱など何かに熱中していく姿が描かれた青春小説です。
何よりも最初に読み始めて思ったことは、“今“ならではの作品だなと思いました。蓉(いるる)や凪津(なづ)といった登場人物が出たり、マッチングアプリといったアイテムを使って全国の高校生と繋がるという昔とは違った高校生像が描いていました。
物語の構成としては、三人の登場人物を軸にそれぞれの物語が同時進行し、章ごとに視点が変わっていきます。
料理コンテストやマッチングアプリ、音楽にそれぞれ苦悩しながらも、懸命に頑張る姿が描かれています。
最初は、微妙なところで繋がっていますが、後半に差し掛かると、3つの物語がシンクロしていき、良い具合に調和されていきます。
個人的には、加藤作品の中では一番好きでした。
今までの作品でも心の葛藤や嫉妬といった“闇“の部分が際立って描くことが印象深かったのですが、今回は高校生たちの青春っぽさ、何かに熱中している描写も相まって、陰湿さがあまり際立っていませんでした。むしろ、青春小説としての醍醐味を味わうことができました。言葉の表現も以前よりも豊富に散りばめられている印象で、全然アイドルよりも小説家の作品として楽しめました。
一番好きだったのは、料理コンテスト大会のパートでした。
難しいテーマに立ち向かう高校生の奮闘や恋愛の甘酸っぱさ、テーマに沿った料理の完成作品が面白く、夢中で読んでいました。
他にも何かに熱中するが、そこで待ち受ける苦悩、それに負けずに奮闘する姿が、丁寧に描かれていて、世界観に惹き込まれました。
マッチングアプリで繋がる人と人との繋がり。AIで導かれる最適の恋人、機械に頼らずフィーリングで選ぶ恋人。はたまた友人も。色々な方法がありますが、スタート地点にしかすぎません。そこから、どうしていくのか。判断は自分にしかできません。高校生に限らず、色んな世代にも当てはまるかと思います。登場人物達の恋愛模様は、読んでいて甘酸っぱくもあり、ほろ苦さもあり、青春だなと感じさせてくれました。
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祝!直木賞候補!
いろいろあった2020年だったけど、「タイプライター」で感じていた又吉との差が埋まる気がする。
加藤シゲアキ、待望の長編。
毎年1冊ぐらいのペースで新作を書いているが、前回はエッセイだったので、新作が出て「待ってました!」と思ってたけど、メインのテーマが高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」と言うことで、読み始めるまでは抵抗があった。
でも、「タイプライター」を観て、一念発起。
前作の長編「チュロベースで待ってる」でミステリー要素もあり、大人な作品を書いていただけに、青春小説に戻ってしまったことが、少し残念。
内容も、もっと「オルタネート」に振り回される高校生の姿が描かれるかと思ったけど、実際には「オルタネート」はそれほど登場せず、「ワンポーション」と言う料理大会に熱情をかける蓉、「オルタネート」に自分の恋愛を任せる凪津、大阪から転校した友人を探しに来た尚志と大体3人のパートで構成される。
最後に劇的な何かがある訳でもなく、純文学としては悪い作品ではないが、物足りなさは感じる。
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今の高校生たちの、多分最先端の、あるいは少し先のリアルなんだろうな、これが。
SNSが生活の中に当たり前にある彼らの、そのSNSへの依存具合、そこに判断のすべてをゆだねる現実と、あえてそこから一歩引こうとする次のステップとのせめぎあいのような。
高校生専用のSNS(実名も、個人情報も登録することで相性のいい相手をマッチングしてくれるツール)を頼りに友だちとつながっていく高校生。
ネットでつながることに抵抗のないデジタルネイティブたちが、そのデータだけの相性から少しずつリアルでのつながりへと軸足を移していく姿になんとなくほっとする。
それでもきっかけはどんな形であっても、実際に会うことから、相手の顔を見て、言葉を交わして、同じ時間を過ごすことでしか得られないものを自分の手でつかんでいくしかない、それが現実。
親への幻滅からデータだけで完全なる相性の良い相手を見つけると決めている凪津、ゲイであることをSNSでカミングアウトしているダイキ、料理を通じて自分の居場所と進むべき道をつかもうとしているいるると三浦君、そして大阪から小学生の時の相棒を探して上京した尚志。それぞれの痛みが手に取るようにわかる。わかるんだ。
これが高校生のリアル。使うツールは違っていても彼らのそれぞれの目の前にある不安や焦り。そして怒りと情熱は、多分きっと普遍的なもの。
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THE青春といった感じ。
学生時代こんなこともあったけ。こんな学生生活送りたかった。何かに真っ直ぐ熱くなるっていいな。
あのときのキラキラした気持ちを取り戻せます。
ただ、読後の余韻や何か残るもの、考えたくなる要素はいまひとつ。
次回に期待。
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一つ一つのお話が簡潔で分かりやすく、それでいてそれぞれにちゃんとドラマのある群像劇だった。
群像劇が苦手な人にもおすすめ。
マッチングアプリ、料理コンテスト、軽音、と合わなさそうな3つを題材に、違和感なくストーリーが組まれているのも良かった。
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最初は離れていた各々のグループがだんだんと近づいてきて交流していくところが面白いし、それを混乱させずに描いていくところは、スティードでも感じたが、優れた構成力だと思う。
料理やドラム・ギターのシーンなど会得した豊富な知識をもとに描くシーンの迫力はさすが。
ただ、会話シーンや独白シーンの間に、カラスや猫を使った描写で、心理を表現しようとするのは、あまりにありきたりで工夫がないように感じる。
また、各々の人物の問題の解決と成長を感じさせて終わる最終章(「出発」)も、終わり方としては物足りないように感じる。
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眩しいー!ザ・青春小説という感じ。基本的には悪者が誰も登場しなくて、雰囲気もキラキラしてる。
料理コンテストのパートが激アツだったな。料理の描写が読んでて面白かった。
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高校生限定のSNSオルタネート。軽音のグループと料理研究グループ。オルタネートをしながら距離が縮まっていく青春ストーリー。今の時代にマッチしており、SNSは無くてはならないもの。
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高校生。自分が見えてきて、まだ何者になりたいのか分からなくて悶々とした気持ちや、何かに全力で打ち込むエネルギーとか、色んな気持ちを持っていて、目の前のことに一生懸命で。特有のパワーが溢れている気がする。
色々なことに正面から向き合うのは怖くて勇気がいるし、必死になると気持ちは剥き出しで痛々しくもある。でもそれができる人はすごく強い。
誰もが迷いもがきながら自分を育てている。
その力強さを瑞々しく捉えていると感じた。
後味はとても爽やかな青春小説。
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今までのグロさとかハードさがひとつも無くて、
若者の生きづらさとかを大人に共有してくれる!
生物の先生好きだな〜そんな大人が増えたら子供は楽なのにって思ったり。
販促でマッチングアプリを全面に推すことが勿体なさを感じる。全然そうじゃないのに。
でも若者が手に取りたいと思うことが加藤シゲアキの1番望んでることで、役目なのかな。
ハード系が好きな私としては、
今まで出した中で3番目ぐらいに好き
加藤シゲアキのファンの感想
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高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。
アイデアは面白いけれど、そもそもこの物語にその「オルタネート」は本当に必須なのか?あんまり機能していない様で、もったいない。
物語が動き出す後半からは面白い。前半がつまらないとまでは言わないけど、導入部分が長いのかな?
そのせいもあって後半の加速が印象に残る。