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「現代マンガ」と謳うわりに収録作の偏りが気になるシリーズだけど、「恐怖と奇想」編は今まで以上に偏っているというか異色の収録作で驚く。お世辞にもこの収録作が現代マンガを代表する恐怖マンガ、奇想マンガとはいえない。何しろ、楳図かずおも日野日出志も伊藤潤二も山岸凉子も赤塚不二夫も駕籠真太郎も入ってない。入っているのは丸尾末広や呪みちるはともかくとして、山川惣治や小松崎茂といった漫画家というより絵物語作家や、陽気幽平や楠勝平といったすいませんどなたでしょうか?という今ではほとんど忘れ去られているような漫画家。トキワ荘ともガロ・COMとも違う、「街頭紙芝居」と「戦後をどうとらえるか」という2つのテーマに基づいて編者が選んだらしいが思い切ったセレクトだといえる。
「現代マンガ選集」としてふさわしいかどうかはともかくとして、異色マンガのアンソロジーとしてこれほど異色なセレクトはそうないだろう。収録作の中では楠勝平の「蛸」、小松崎茂の「関東大震災」、金風呂タロウの「訪問」が面白い。特に知らなかったが金風呂タロウは実話系のマンガ誌などに描いている現役の漫画家とのこと。ちょっと注目する必要がある。
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<目次>略
<内容>
「恐怖と奇想」と銘打っている。作品は貸本時代のものから現代マンガ家のものまで並ぶ。小松崎茂の「関東大震災」が出色。
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このシリーズ、確かに今までは「COM」と「ガロ」に偏ってきたが、今回は全然聞いたことのない雑誌名が並ぶ。
かなり「娘に見られたくない漫画」が並ぶ、つまりはビザールな好みが並んでいる。
ついネームバリューに流されがちだが、知っているのは横尾忠則を除けば小松崎茂と松尾末広くらい。
それでも各作家の迫力ときたら。
これもまたひとつの漫画史だ。
「街頭紙芝居」と「戦後をどうとらえるか」という観点を打ち出した編者は、偉い。
と思って珍しく編者について検索してみたら、ななんと1992年生まれの漫画家なんだとか!
要チェキだ。
カラー口絵 横尾忠則『週刊少年マガジン』昭和45年8月16日号表紙
陽気幽平『ぬらり沼』
楠勝平『蛸』★
岩波成芳『悪魔っ子』
山川惣治『指輪』
小松崎茂『関東大震災』★……これは凄まじい。
丸尾末広『無抵抗都市』★……間違いないが、「街頭紙芝居」と「戦後をどうとらえるか」にばっちり。
橋本将次『女を狙え』
凡天太郎『河童』
呪みちる『赤いトランク』★……伊藤潤二っぽい。
金風呂タロウ『訪問』★……絵柄は小田ひで次っぽいか。
新谷成唯『voice/声の存在』★……西岡兄妹+つげ義春。
解説・川勝徳重
総監修・中条省平
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ちくま文庫さんの「恐怖と奇想 現代マンガ選集 川勝徳重編(2020)」を読了。
金風呂タロウ氏の”訪問”が読みたくて読んでみた。
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2020.12.3
丸尾末広が読みたくて購入したけど、全編通して面白かった〜!!!
お気に入りは蛸と河童と関東大震災かな。特に蛸可愛い。
関東大震災、当時を経験された方の作品のインパクトは凄まじいね。
丸尾末広の作品は相変わらず後味最悪で最高◎
少女漫画ver.も今月刊行されるようなので、そちらもぜひ読みたい。
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知らない作家ばかりで絵も古臭くて、それがまた恐怖を倍増させて面白かった。
子供が読んだらトラウマになると思う。
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"恐怖と奇想" ゾッとするもの、おぞましいもの、戦慄を覚えるもの、不思議なもの、変なものなどなど、いろいろな気持ちを起こさせるものだ。
何といっても圧巻は、丸尾末広『無抵抗都市』。敗戦後東京を舞台に、出征した夫の帰りを待つ女と、彼女に付き纏う小人を描いていく。細かな街の風景に対する、写実的だけにグロテスクにも見えるセミ、トカゲ、ガ、アリといった生き物の描写。夫の帰還を待ちつつも生活に疲れ、幻が浮かぶ女の姿が哀れである。おぞましいストーリー展開が続くのだが、最後は敗北の美学を感じてしまう。
金風呂タロウ『訪問』は、日常の中に突如侵入してくる異物の不気味さが、独特なタッチとして描かれている。
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きれい、あたたかい、やわらかい、やさしい、さわやか、心地いい。とは真逆にあるもの!
特に丸尾末広「無抵抗都市」の物凄いエネルギーに目が離せない。
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現代マンガとありますがセレクトはかなりマニアック。怪奇コミックをある程度趣味として読んでいる人におすすめしたい文庫本です。梵天太郎「河童」、呪みちる「赤いトランク」が特によかった。一風変わった怪奇漫画を読みたい方はぜひ。