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「三十八度通り」
「千羽びらき」
「猫の舌と宇宙耳」の3本立て。
つじつまの合わない悪夢を見続けているような読み味!"龍"が現れたことで科学も文化も全てがスピリチュアルに呑み込まれた世界のように思えた。全てが不可解だけど、「三十八度通り」の主人公が灼熱の夢に身を灼かれ続けているのは龍の祟りなのか?とか、「猫の舌〜」の主人公は最後猫に祟られてしまったんだろうか?とか考えてしまう。
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毎年購入している早川書房の「SFが読みたい」の2022年版のランキング(国内篇):ベスト30の第2位受賞、それと日本SF大賞を2度受賞した作家(皆勤の徒・宿借りの星)による連作小説集ということで期待に胸を膨らませて読んだら、難解に次ぐ難解で読み終わるのにだいぶ時間を費やしてしまった。後半はかなりの気合注入、ねじ巻いて一気に読み切った。結局、私にはこの第2位の意味は判りませんでした。
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連作短編集で、こんな世界になって欲しくない、これに尽きる。
不思議を通り越してもはやよくわからない。でも、普段の生活でも実は似たようなことがあるのかもしれないと思う。
いちいち疑いながら行動するのは大変そう。
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水にありがとうみたいなスピリチュアルが常識となっている社会を描くSF。現実でもありそう(笑) 序盤から意味不明なのだが、だんだん彼らが何を言っているのかわかってくる。龍ってそれ!?って確定したとき、それまで読んだ話のヤバさが後追いで!
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世界観が独特で特に丁寧な説明もないので一文一文考えて理解して推測しながら読んでいくのが結構辛い。頭に入ってこない
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読み始めた時は、文章が難解すぎて挫けそうになったが読み進めると世界観がわかってきて面白かった。
個人的に、2→3→1の順番で面白かった。
考察とかみると自分が見落としていたところがわかり、もう一度読む必要があると思った。
漫画『税金で買った本』で登場し、題名が特徴的なため興味を持った。
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民衆が自ら科学的思考や理性を手放していったら、既存の強権的ディストピアではなく下からのディストピアが完成する。作者の持ち味である湿度の高く有機的な表現によって描かれる悪夢のような世界に頭まで浸かることのできる作品。一見滑稽な設定にニヤニヤしながら読み進めていると途轍もない狂気がいきなり顔を覗かせて顔が引き攣る。収められている作品がほとんどコロナ禍の前に書かれていることに驚いた。民衆がいかに簡単に理性を手放し得るかが一連のコロナ禍によって分かった今読むとより真に迫る恐怖を感じる。
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オカルト好きな私ですら、やりすぎちゃう?と感じるほどの世界観。
ただ、今の物質主義から、精神主義に置き換わったらこんな感じなんだろうなと妙に納得する部分も。
本当に「良い」ものでも、行き過ぎた主観のせいで使いこなせないのが人間なんだろうな
るん(笑)の世界でも、価値観の押し付け合いは健在。途中から現代の日常をただ目の当たりにしてるような錯覚に陥りました
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科学とスピリチュアルの立場が逆転した世界、気持ち悪すぎる……。
視点になる登場人物たちがみんな多少疑問を抱きつつも基本的には世界観を疑ってない側の人間で、感情移入しながら読むとこっちまで頭おかしくなりそう。こわい。
縁遠い陰謀論者じゃなくて、あくまで身近にいそうな「迷信信じがちな人」のグレードアップ版みたいな感じなのもまた、気持ち悪さに拍車をかけてる。
現実と地続きのディストピア、面白くも気持ち悪い読書体験でした。
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不思議な感じ、ふわふわしている
スピリチュアルと科学の逆転とはとおもいながら読みまた。
こんな世の中にはなって欲しくないと思いながらも、こういう考えの人もいたりするんだよなと……。
医療系の仕事をしているので、サプリメントや絶対にお薬を使いたくない人に遭遇することもあるけど、こういうことを考えられているのかなとふと思うような場面もありました!
皆がこんな考えになってしまわないようにと切に願います!
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科学とスピリチュアルが逆転した設定はめちゃくちゃおもしろくて読んでてワクワクとほえ〜という感想があふれました。
が、読み慣れない単語が多くて最後の方はちょっと疲れてしまいました。
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も、ものすごく自分と相性が悪かった…。難解とか以前に、論理的な組み立てなく文が続いていくのがきつい。頭に入ってこなかった。合う人は合うのでしょう…
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スピリチュアル・似非科学・ホメオパシー的なものが”常識”となっている日本が舞台。病院での医療や科学は本来人がもつ生きる力を奪い、携帯やPCは電磁波が出て脳をやられる。
登場人物が共通する短編3話構成で、私は特に2話目の「千羽びらき」がこたえた。
ネガティブな言葉を使うと気が悪くなるので言い換えがすすんでいる。タイトルの「るん(笑)」は癌の言い換えで、口に出すときは笑みを浮かべての意。
内容に合わないPOPな水玉表紙や、章タイトルの丸ゴシック体も、すべてをポジティブにしようとするこの世界を体現してるのだろう。すごいね。
物語が進むと、単語のやまいだれ→疒をとった言い換えが進む反面、ねこなど本来ネガティブでない単語の漢字に疒がつくようになってくる。
登場人物やこの世界の狂気の進行と連鎖しているようで怖い。
誰も悪人でなく、基本的に善意の一般市民が、正しいと信じているものに従っていくうちに泥の中に沈んでいく。現実でも程度は違えど同じかもしれない。
読んでいて息苦しくなるような本だった。
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『三十八度通り』では三十八度超えの微熱(?)に苦しむ男性が主人公。
熱に苦しんでいるもののクスリや病院は頼ることができず、
妻や周りの人のアドバイスを聞くしかない。
そのアドバイスは、血液型、星座、エレメント、などなど今の自分の世界から見ればトンデモなものがどんどん出てくる。
しかし、この作品はおかしいなで終わらずその後に、でも今後ありえる、、と思わされてしまう。
この世界観を紹介しつつ、周りの人の優しさ(ただしスピリチュアル)に翻弄されていく男性のおはなし。
『千羽びらき』では今この世界で「癌」と呼ばれる病気にかかってしまった女性のお話。
最初は病院に入院していたものの、家族に退院させられて自宅に戻ることになる。
そこで様々な治療を受けることになり、その一つが癌を「るん(笑)」と呼ぶという治療だ。
この話では特に[[酉島伝法]]先生の言葉遊びが面白く、うまっと何回も思わされてしまった。
ただし言葉遊びだけでなくお話もとてもよい。闘病中ながら母としての役目も果たす主人公と、その家族の行動がなんとも切なく、感動してしまう。
『猫の舌と宇宙耳』では小学生の男が主人公である。
おかしな世界を小学生の目線から見るとどうなるのか、というのが示されているような作品であった。
不思議だと思いつつもそんなことより友だちと遊びたいという小学生の気持ちは物語内の世界も、この現実世界も変わらないのかなあと感じた。
ちょっとズレている世界の小学生たちによる冒険はワクワク楽しめた。
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読み始めて半刻ほどで、簡癉に憑かれを得られます(笑)瘕だからって心縁でもない言葉に興味をもった自分が癋いんですけど(笑)あとやっぱり印刷本は思想矯正のエネルギーで触っているだけで手から冷えていくのを感じます(笑)手書き以外を読むべきじゃなかったです(笑)
わるい冗談はさておき。
終始怖気立って、1秒も早く読み終わりたい、抜け出したい、と願いながら読んだ。作者は人間や社会がきらいなのか……?
知人にはちょっと薦めづらいけど、この本の被害者は増やしたい。他の方の考察も読みたい。そういう気持ちになったので、自分なりに考えたことを書き起こしてみます。結論らしいものは特にありません。
※作中とは順序が異なりますが、世代順で書きます。
■第一世代
成人した頃からか、就職した頃からか、社会に出てからは『自分の方が、親よりも現代のあれこれに詳しい』という感覚がある。子どもの頃は、当たり前に親=大人の方が物知りであって、助けられてきたはずなのに。
そして、新しいものごとの方が、旧いものより優れているとも思う。あのねえ、昔は噛んだものを与えたかもしれないけど、今は赤ちゃんにキスもしないんだよ。大人の虫歯菌が伝染るんだから。もうそのやり方は古いんだよ。
障害者っていう言葉はいけないんだよ、存在が害じゃないんだから障がい者と書かなくては。いや実は障碍者と書くんだよ。それは仏教用語の誤用だからやっぱり障害者と書くんだよ。etc.
親世代も、きっと我が子可愛さ半分、変化に抗うには衰えすぎた心身半分、言われるがまま新しさに流される。そういう風景は日本のどこでもきっと見られる。
親子関係と共に、夫婦関係にもあるあるを感じた。
オスが、社会と接している自分こそ正しいと信じていて、聞き齧った新しい価値観をメスに押し付けるのがキモすぎでした(後でメスのキモさにも触れるので、安心してください。)
その他思ったこと。
・郊外〜田舎という舞台設定も巧妙。中途半端に情報が入ってきて、表面的なアップデートだけがすすむ。似て非なる「っぽい」ものが権威を得て蔓延る。
・電波がどうこう言いながら、電車やバスが走っていて利用もしている矛盾がリアルだ。無線通信を一切積んでいない車体という可能性はある。
■第二世代
自分は、第二世代の話がいちばん苦しかった。固有名詞も個々の選択もまったく意味がわからないのに、根底で共感できてしまう感じ。怖かった。
現実は、周りが科学で成り立っているから科学信仰上等と思えるだけで、いざこういう世になったら自分も染まってしまうんだろうか。例えば科学信仰の根拠を求められたら、「だってそう習ったし、みんなそう言ってるし、沢山の人が研究してきてそれが正しいってことになってるし、」としか説明できない。
体制側の利権と対立したら、覆ることもあるんだろうか?とか考えるのは、まあ悪趣味で楽しい。
悪趣味といえば。出産後の「アレ」と言われて、具体的な言及がなくてもソレのことかな〜とすぐ思い至った自分のキモさには引いた。(ソレを摂食する行為のキモさではなく、自分の価値観と一致しないものものを溜め込む抽斗が浅いところにあるのってキモい、という話です)
生きているだけで、意図せずとも色んな知識を取り込んでいるものだ。
ここのペアは、真弓の「貴方のためなのに理解ってくれない」「こんなに尽くしてるのに」「言わなくても分かってよ」みたいな旧き良きメス様ムーブにキモさがありました。
自然派信仰であること以外は自分たちと同じ、と読者に感じさせるためなんだろうけど、あまりにもテンプレートなジェンダー像で煽るじゃん……作者はやっぱり人間がきらいなのか……?
・親世代とうって変わって、都会に住まうことの閉鎖感、他人との繋がり、忙しなさ、情報の雪崩、それらにも追い詰められる生活は苦しかった。
・竜とかナントカは最後まで得体が知れないまま読んだ。第三世代で山になったことだけは把握したが、結局なんだったんだ。
(後日追記:他の方の感想を読んだところ、あれは異常繁殖した牡蠣のことだと書かれていた。自分が読み落としていただけらしい。丁寧な考察も添えられており、楽しく拝読した。ありがたや。)
■第三世代
第三世代ともなると麻痺してきて、思考放棄気味でサクサク読める。ねこがいなくなっちゃったのはつらい。猫の声に目頭を押さえる老人たちのシーンは、なんだか心に引っかかっている。ねこちゃんたちが滅ぶまでにどんな地獄が繰り広げられたのか、考えたくもない。
いない同級生の点呼とか、考えた人間がすごいし、なんとなく受け容れられていることもすごい。凄まじい。褒めてはいません。
彼岸でようやく年金がもらえる、という制度もよく考えたものだ。此岸でお金を稼ぎすぎること自体がたぶん穢れなんだろう。そうでも無い限り、自然派の本質が金儲けだったら、そんな制度が受容されるはずないんだ。現実がそれを教えてくれる。
とりとめなくなってきたので、これにて〆。