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伊勢宗瑞から始まる関東の雄、北条五代の物語。上巻は3代目のJソウル、じゃなくて氏康の途中までだけど、著者の火坂雅志氏が執筆途中で亡くなったため、終盤は伊東潤氏が筆を繋いでいる。で、これがやっぱり明確に違いがわかって、これはこれで面白く感じる。また、五代分を上下巻で描くため、物語の展開は早足になるけど、その分テンポがいいと言える。各代でのキャラ付けも特徴を誇張していて、読みやすく仕上げられているから、初めて北条ものを読む方にもおすすめできると思う。
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北条早雲は、風雲児的な印象があるのですが、実は領民を大切にし、租税も軽減したことから、ほかの地からも移住者が相次いだと聞いたことがあります。
早雲以下、氏綱・氏康・氏政・氏直の五代をつづったものですが、下剋上の時代にありながら、一族が離反せずに当主を支え続けたのはすごいことと思いました。早雲の遺志である「祿壽應穩」(“禄「財産」も寿「生命」もまさに穏やかなるべし”とのことで、”北条家が民の命と財産を保障する”)を堅実に守ったからなのでしょうか。また、早雲は「早雲寺殿廿一カ条」を、氏綱は5カ条からなる「遺訓」を残し、これがなかなか良いことを言い遺しています。
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/kanko/hojo/p09809.html
伊東氏は、「三代・氏康までは火坂氏の意図を汲んで書き、四代・氏政~五代・氏直は火坂氏のメモも少ないため自分なりに書き上げた」と、巻末エッセイ・「衣鉢を継ぐ」に書いています。氏政・氏直の代は、信玄・謙信・信長・秀吉・家康などの時代に突入し、また伊東氏の思うように書けたこともあってか、ここはまさに圧巻。早雲の志と現実の勢力図との間での北条家が揺れ動く葛藤や緊迫した動きが、まるでその場にいるように描かれています。
小田原市は、「北条五代を大河ドラマに」の運動を起こしているようですが、小田原出身の社員の話によると、「資料が焼けて史実が少ないので、N◯Kが採用しないんですよ~」とか。本書をもとに、「北条五代を大河ドラマに」に一票投じたいと思いました。
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火坂雅志さんの未完の遺作を、伊東潤氏が引き継いだ作品。
早雲から氏綱、そして、氏康へと移り変わって行く。初代の意気込み。それを維持し超えんとする二代目、の葛藤。父を見、祖父を見、そして、己を見つめる三代目。北条氏の大河。良き。
「下」が、今年最後の読書となることだろう。良き締めである。
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火坂雅志氏の志を受け継ぎ、伊東潤氏が完成させた待望の一冊。
初代の伊勢新九郎盛時から二代の北条氏綱、三代の北条氏康まで。
初代のいわゆる北条早雲については、いろいろと小説になっていますが、氏綱、氏康まで、生き生きとその若武者ぶりが表現されていて、大変面白い。
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北条早雲、氏綱、氏康を描いた話は読んだことが無く、非常に新鮮に読むことができた。
トントン拍子で領土を拡げていったのかと思っていたが、三代に渡り室町幕府の勢力と対峙しながら一進一退を繰り返しながら、理想とする国造りを進めていく姿に引き込まれた。
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とっても読みやすくてサクサク読めました。
歴史的な流れは 詳しくないので難しい部分もありますが、情景が思い描けるような文章で、テンポよく流れていきました。
当時の勢力図みたいなものや、お城のあった場所の地図を調べて、それを見ながら読んでいます。
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急逝された火坂雅志先生の遺作を伊東潤先生が引き継いだ作品。上巻は宗瑞から氏康の途中まで。火坂先生の描く氏綱が素晴らしかった。そして、とても面白かった。
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北条早雲から三代目氏康までの流れを割りにさらっと描いている.火坂氏から伊東氏へのバトンタッチもそう違和感なく流れ,淡々とした語り口の中に垣間見えるそれぞれの性格の違いが面白い.
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後北条の5代を描く大河歴史小説。
火坂雅志の絶筆を伊東潤が引き継いだもので、上巻は火坂さんの絶筆までと伊東さんの引き継いだ最初の章までです。
火坂さんが氏康の元服前の放浪開始時点で絶筆しているので、そこからの引継ぎは大変だったと思いますし、作風が変わっても違和感なく下巻につなげるために伊東さんの最初の章が上巻に入っているのだと思います。
お二人の違いは明白で、火坂さんが物語重視に対し、伊東さんは歴史もしっかり盛り込みたいようです。
人物像も火坂さんはいかにも歴史小説っぽい造詣に対して、伊東さんは時代小説的な人間味を盛り込んでいると思います。
章立ても、火坂さんは細かい章立てをしているのに対し、伊東さんは一章ごとが長いです。
特に気になった違いは、火坂さんは人物名を物語当時の状態で語っているのに対し、伊東さんは先にネタバレ(後の○○)をしているところです。
今、連載で読んでいるゆうきまさみの漫画の「新九郎、奔る!」が面白く、設定も含めてこの物語の前日譚的な展開になっているようにも思えて、すんなり関東進出から始まる早雲の活躍は受け入れられました。
氏綱については、若いころのエピソードは面白かったですが、絶筆前後から主人公が氏康に代わってしまったようで、目立たなくなったのは残念です。
下巻は全編、伊東さんの作品として読むことになると思います。
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伊勢新九郎としてスタートしたことが有名な北条早雲から始まり、その子・北条2代氏綱、3代氏康まで気宇壮大な人物たちが若い日から成長していく姿が非常に爽快な物語である。上巻は第1部が早雲・氏綱の活躍と氏康の少年時代。第2部は未完で終わった火坂を伊東が書き継ぎ、氏康が日向の国で愛洲移香斎という人物の薫陶を受けて、成長して小田原に戻ったところから関東平定への物語の開始。面白いが、氏康という人物の一貫性という意味では著者が替わったことの影響を感じざるを得なかった。早雲の4男、氏綱の末弟・長綱(幻庵)の名補佐役ぶりの描写が愉しい。北条という姓が鎌倉北条の権威を借りるもので、天皇の承認を得ていた。氏康の母が鎌倉北条の流れを引いていたという記述が本当なのかどうか?興味深かった。
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北条五代のことはあまり知らなかったけど、とても魅力的な一族。
優れた考え方のもとに、
軍事経済政治を行っていたことがよくわかります。
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早雲以降の後北条氏を書いた本である。
火坂氏は執筆中に亡くなられたので、その志を受け継いで伊東潤氏が早雲以降の北条氏を書く。
早雲は戦国時代の先駆けとなった武将で、関東を次々と切り従えていった麒麟児と言われたが、その治世は民に優しく、遺訓にも、上下万民に対し、一言半句も虚言を申すべからずとした。早雲が理想としたのは、領民の財も命も穏やかであるべしという思想で、数ある戦国大名の中で
これほど民政に心を砕き、民に慕われた領主もいないといえた。
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北条5代の前編。300ページくらいまでが火坂雅志氏、その後を伊東潤氏が引き継ぐかたちで完成させてある。さすが伊東潤である、北条を書かせたら右に出るものはいない。文章も少し火坂氏に寄せているのか、違和感はまったくありません。上巻は3代まで、テンポよく進んでいくのであっと言う間に読み終わってしまいます。
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とても面白かった。二人とも好きな作家で、同じ作品を通して読み比べできるのも、なかなか無いので、そういったところも特別なおもしろさの一つだったと思う。伊東氏のパートになって、始めのところは、火坂氏に寄せた書き方から、最後の方は伊東氏色そのものの書き方になっていたと思うが、二人の共作として、見事に完成させたと思う。改めて、火坂氏の早逝は残念だったと思った。