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<目次>
第1章 日吉大社・慈眼堂・石山寺(滋賀県)
第2章 羽後町田代・阿仁根子(秋田県)
第3章 能登半島(石川県)
第4章 八頭町・智頭町(島根県)
第5章 奄美大島(鹿児島県)
第6章 萩(山口県)
第7章 三井寺(滋賀県)
第8章 南会津(福島県)
第9章 青ヶ島(東京都)
第10章 三浦半島(神奈川県)
<内容>
東洋文化研究者で、徳島県の祖谷や長崎県小値賀島に滞在型の古民家宿を経営しているイギリス人。彼の「隠れ里」探しの旅の記録。著者の人生の話も出てくる。われわれ日本人が気づいていない、日本のよさを教えてくれる。圃場整備が進んでいない棚田。ブルーシートで屋根や田畑が覆われていない、茅葺や杮葺きの村、寺、神社。近代の杉が意図的に植林され、放棄された山ではなく、いわゆる里山(これとて原生林ではない。近くの村人がかつて管理していた林)。そこに美しさを見出す。高度成長期に日本人が陥っていた、駆け足の「物見遊山」ではなく、その地域の自然を文化をじっくりと愛でる旅。これからの社会で必要なのは、稼ぐために、どこでも同じ金目のものを作り(駐車場や土産物屋)、乱暴に管理し(木の枝は「ごみ」を出すから伐採するとか)、荒らしていくのではなく、”今そこにある状態”をゆっくりと眺める旅、観光なのだろう。
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知る人ぞ知る「かくれ里」を巡り、紹介する紀行文。
1、日吉大社、慈眼堂、石山寺
2、羽後町田代、阿仁根子
3、能登半島
4、八頭町、智頭町
5、奄美大島
6、萩
7、三井寺
8、南会津
9、青ヶ島
10、三浦半島
3、8、10以外はなじみがなかった。
訪問を今後の楽しみにしたい。
文章のインパクトはやや弱め。
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著者は日本人以上に日本を愛している方です。
そして誰よりも日本を憂いています。特に観光
に関わる点においてです。
オーバーツーリズム、大規模開発、景観問題
など、日本人が見過ごしている問題に対して
強い危機感を抱えています。
一方でまだその危機が幸いにも及んでいない
場所には、敬愛の念を隠しません。
この本では、そういったまだ観光地化されて
いない場所を訪れたルポです。
しかしそうなると、これから人が押し寄せて
しまうのでは?と誰もが思うでしょう。
著者もその矛盾を抱えながら旅を続けていま
す。
そして1971年「かくれ里」を著した白洲正子
さんの言葉を引用しています。
「人が知らないところは、人に知らせたいし
知らせるとたちまち汚されてしまうのは、ま
まならぬ世の中だと思う」
本当は行って欲しくない場所を巡る一冊です。
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白洲正子の文筆「かくれ里」(1971年)に魅せられた東洋文化研究者、アレックス・カー(米人)が、ひっそりとした寺社、山間の集落、海沿いの棚田などを巡り、日本の隠された魅力を紹介した本。「ニッポン巡礼」、2020.12発行。能登半島「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」、鳥取県智頭町「板井原集落」、萩「東光寺」、滋賀県「三井寺」、南会津「大内宿」など。
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観光地化されていない地方を巡り紹介している。
派手な看板もなく、場所によってはアクセスが困難だが、棚田だったり、集落だったり、素朴な美しさが目をひくが、著者が紹介することにより、人が殺到し、今見ているこの景観が失われるのではないかと危惧する矛盾を抱えている。
観光客が来やすいように開発すると、そこにあった美しさが損なわれ、かつては観光地だったが、今はただ廃れた場所になったということは多い。
1日の観光客の人数制限や完全予約制を取り入れたりといった方策を取らなければ、自然や景観や、地元の人々の暮らしを守ることはできないのではないかと考えさせられた。