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NHKのドキュメンタリー高校ダンス部選手権の3年間の軌跡の本。
TV番組も見たが、こちらの本を読むと、TVでは表現できなかった背景がよく分かり面白い。
担当ディレクターの筆者が、最初は年下として扱っていたが、取材を続けるにあたって、尊敬の念から敬語になる。
最初は、被写体として綺麗に撮りたいと思って大がかりな取材陣で撮影したが、全く良い画がとれない。
独りで手持ちカメラで撮ることで、徐々に高校生たちの生々しさが見えてくる。
2020年はその上、コロナに遭遇し、オンラインでの練習など、過酷な状況が全高校生に襲い掛かる。
高校のダンス選手権の独特なルール、ユニゾン、全員でそろえるが、高校の部活らしさを良くも悪くも表している。
誰かが飛びぬけて卓越しているから価値があるのではなく、皆が努力して一つになることが求められる。
それぞれの個性を押しつぶして皆で一体になる部分にどれだけチームを統一できるか、中々難しい。
ダンスの構成から、すべて1から作り上げる。
その自由さが意外と大会までの時間配分など含めてコントロールが難しいところ。
最後の方に書かれている同志社香里高校の、時間がないからこそ思い切って下級生に一部のダンス構成を託す。
大人でもできないような大胆なマネージメントを行い、萎縮する下級生からきちんと意見をださせ一体感を醸成する。
その結果の優勝。
TVでは普通に優勝候補が努力して優勝したとしか見れていなかったが、かなり深いことをやっていたのだなと感動した。
色々な危機の前で、どう乗り越えるか頭を使って、現実見据えて乗り越えた上での優勝なのだと。
この本を読んで改めて理解できた。
チーム毎のダンスへの取り組みの違い、メンバー間のコミュニケーションなども多種多様。それぞれの高校の取材で個性があり楽しいです。