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はっきり基準があって斬っているのはいい。さすが筋金入り。いいと思っていないのに世間的な評価の高い監督らには実に辛辣。
1ヶ所脱字を見つけてしまった。
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著者の好みをオブラートに包むことなく、ストレートに表現し、見るべき監督、見るべきショット、見るべきカメラマン、を提示している。とはいえ、まずは好き嫌いせず多くの映画を見るべきだと解く本。
まだまだ未見の作品が山のようにある。最近の日本映画で、本書に登場した作品で見てみたいと思ったものを列記しておく。
溺れるナイフ
よこがお
淵に立つ
旅のおわり、世界のはじまり
嵐電
きみの鳥はうたえる
ホットギミック
寝ても覚めても
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(01)
新書というからには、映画の「現在」(*02)を扱っている。ハリウッドのデヴィッド・ロウリーやケリー・ライヒャルトといった作家を挙げ、邦画では、濱口竜介や三宅唱、小森はるか、小田香といった面々を推している。しかし、こうした現代の注目作家を並べた上で、映画史として振り返る素振りをもって、映画の誕生から起こってきたこととそれについての見解を、上映時間、サイズ、トーキー、ショット、運動、ドキュメンタリーとフィクション、キャメラマンや美術といった分類で述べ立てている(*03)。ヌーベルバーグの頃に、フランスに留学中であった著者は、その映画体験を語り、批評誌「カイエ・デュ・シネマ」への批評も加えつつ、その後の映画人たちとの交流も回想されている。
(02)
「現在」を歴史的にとらえた時、近代の複写技術としての映画であったとしても、「昔の映画」などということはなく、今、見ている瞬間のその映画に現在があることを指摘し、その映されている事実に驚き、時には安心することを推奨している。著者が盛んに溝口健二の「残菊物語」を見るように諭し、今現在、「ジョン・フォード論」を執筆中であることは、そのような映画の現在性という文脈において強烈な矜恃とも受け止めることができる。
(03)
著者自らが後期高齢者にあることを告げ、放談とも言えるような、作品や作家のぶった斬りを施している。素晴らしい、優れている、駄目などの判断がキッパリしており、読み心地はいい。自らの評価や判断と一致しない意見を述べる者(例えば「カイエ」のアンドレ・バザン)を殺人リストに加えるという徹底ぶりも面白い。
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編集者に語った内容の書き起こしだからか内容は表面的に終わることが多い。蓮見入門としてはいい本と言えそう。
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ヒトの批判が多々見られ、著者の人間性を疑う。全く面白くなかった。典型的な買って損をした...とひさびさに思った新書だった。
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筆者初の新書だけに読みやすい。そして筆者が同時代の映画と常に対峙していることが素晴らしい。この本を読み、出てくる映画も観てみて、なんとなく「驚きと安心とが巧みに塩梅されているものが映画」という感覚が理解できるようになってきた。
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蓮實さんの、映画をめぐるとりとめもないよもやま話、という趣き。特別に理論的だったり体系的だったりするところは一切なく、もうほんとに随想。いろいろ思い違いもあったりするみたいだけど、まぁでも世のほとんどの人に、蓮實さんのこういうリラックスした放談など聞く機会はないわけだし、意見の当否はまた別として先達の話をゆるゆる聞けるのは面白い。先輩の話を聞く、というつもりで読むといいと思う。
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蓮實重彦ってめちゃくちゃアカデミックの権化みたいに思っていたけど、
インタビューを元に文章が構成されているせいか、読みやすかった。
MCUから山戸監督までバッサバッサと斬っていく。
かと思えば、三宅唱監督や濱口監督はベタ褒めで、ストレートな映画ファンじゃんって思った。
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映画の見方の本。著者は映画評論家。
映画評論も色々あるが、この本では映画の作り手、プロデューサーや監督カメラマンについて、著者の考え方を記す。 前半は日本映画について述べているが、自分は最近の日本映画をほとんど見ていないので話が全くわからなかった。読み進めても、見てない映画、知らない映画監督の話ばかり。この本の内容を理解するには、古今東西の映画を何でも見ている事が前提で、よほどの映画マニアでないと 難しいように思う。また著者は好き嫌いもはっきりしていて、自分がいい映画だなと思っていたものが、残酷なくらいけなされていたりする。自分の好みを押し付ける講義というのは、講義になるのか。参考になる話やエピソードもあって面白い部分はあったけれど、見るレッスンというタイトルが何なのか、最後までよく分からなかった。
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いつもは難解で読みづらいけど、口頭筆記の新書で読みやすかった。知らなかった映画作家を知ることができるし、辛辣に批判されてるのがすごいなぁと思う。失われたプリントを捜索してこそ、映画批評家だという気概はすごい。ここで紹介されてる映画を少しづつ見ていきたい。
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こういうのがダサいのはわかってるんだけど、濱口竜介と三宅唱がめちゃくちゃ褒められてて、蜷川美花や山戸結希の悪口が書かれてるのを見て気持ちよくなってしまった。
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自分にふさわしい作品を、自分自身でみつけろ、と著者は主張する。自分で見るべし、勝手に見やがれ、である。
つまり、高尚な映画評論家の好き嫌いにおつきあいする必要はない。ありがたがることもないということだ。あまりしっかりと作ろうとしていない本。話半分で聞けばよい。
とはいえ、溝口健二「残菊物語」は外せない。幻の「狂恋の女師匠」(1926年)は淀川さん的には溝口のベストだそうだ。このほか、プリント発掘こそ評論家の使命(そしてロシアの高速道路で200キロ走行の車に乗って死ぬ思いをした)とか、モノクロだろうがサイレントだろうが、古いと思わず、ひとしく「現代」の体験として見よ、などと傾聴に値する部分もある。キートンは「セブンチャンス」、チャップリンは「巴里の女性」だとか。もちろん、あくまで参考である。見るのはあなただ。
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今まで著者の書籍は手に取ったことがあるものの、私にとってあまりに難解で、通して読むことができなかった。
本書は著者自身初の新書で、比較的読みやすい部類に入ると思われる。
俳優やスタッフの名前(特にフランスが多い)で知らない者も多く、著者の知識の深さ・広さには驚かされた。
映画のあらすじには関心が無いようで、むしろカメラワークへの言及が多く、そうしたところを映画では見るのか、と勉強になった。
ドキュメンタリー映画を撮る小森はるか氏という名前も初めて目にし、今後の映画選びの参考にすることもできた。
とはいえ、時には有名な映画監督、俳優らを徹底的にこき下ろすこともしている。それだけはあまり好きにはなれなかった。
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2021/12/12
メモ
映画は「救い」ではない。() 映画とは現在というじてんをどのように生きるかということを見せたり考えさせたりしてくれるものです。()映画を見る際に重要なのは、自分が異質なものにさらされたと感じることですを
被写体に惚れなきゃダメ
さらば愛しきアウトローは冒頭の銀行の空間からいい。被写体に対する距離の意識が抜群。
映画とは時間の闘いです。時間をどのように自分のほうに引き寄せ、同時に、引き寄せた時間がことによったら自分から離れていくかもしれないという危惧もあるところに、映画の困難があり、同時に映画の魅力の一つだとも思っています。
美形の女優が少ない
東京物語で原節子が東山千栄子の息子の布団で寝る→エロティック。単に綺麗だけではない原節子を描く。
ルソー『人間不平等起源論』二人が小物を二匹狙うより、協力して大物の方がいい。→通貨、言葉、手紙、電話はその手段
個性という仮面がないから何にでもなれる
「細部が見せる一種の色気」存在しているものの影が、描かれているもの以上の何かを見ているものに語りかけることが重要なのです
→蝶々夫人
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本の帯に「他人の好みは気にするな 勝手にみやがれ!」とあるわりには、自分の好みを押しつけてくる蓮實節は相変わらず楽しい。けなすよりほめてる作品の方が多いので、だいぶ蓮實も丸くなったか。特に最近の日本の若い映画作家たちを応援している姿は、読んでいて気持ちよかった。サブスクやTSUTAYAで、なんの映画をみようか迷った時のガイドとしても使える。