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自然とともに生きている土地に見知らぬ人々がやってきて、自然を破壊し、先住民の命を奪う。
ジョン・マーズデンもショーン・タンもオーストラリアの人だから、直接的にはオーストラリアの歴史を先住民(フクロアリクイ)の立場から見た物語と言える。
また、ヨーロッパ人がアジア、アフリカ、アメリカ、世界各地で行った植民地支配を描いたとも言える。
白いウサギの姿をした白人たちが圧倒的な武力で自然や先住民を蹂躙していく様子は戦慄もので、絵本とはいえ大人向きであると思う。
しかし作者のマーズデンが書いているように、これは人種や政治や環境破壊の問題だけを描いているのではなく「人間らしい心の危機」や「コミュニケーションの欠如がもたらす悲劇」について描いているのだ。
ウサギがフクロアリクイときちんと対話し、お互いの文化を認め合えていたら?
圧倒的な武力、資金力、科学力があれば、他の生き物の(人間に限らず)住む土地を恣にしていいのか?
これは戦争の本でもあるな、と思った。
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ショーン・タンの描くウサギ星人?があまりにも可愛くなくてびっくりする…
いや、異国民っていうか、外来種族?設定?だからからなんだろうけども
しかし、他人事ではない絵本だったなあ…
我々こそが、他者にとってのウサギになってしまっているかもしれない…
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『ロスト•シング』でその圧倒的な画力に魅かれてショーン•タンの絵本を探した。何冊か読んだが気に入ったのはこれ。文はジョン・マーズデン作で、ヨーロッパ人のオーストラリア移入を彷彿とさせる。作品的には『ロスト•シング』より前。考えさせられる問題を内包しているが、注目点はやはりショーン•タンの描く絵が全てを語っている事だろう。侵略者として海の彼方からやって来る"ウサギ"達は、その建物も機械類も極度にデフォルメされている。"恐怖"と"美"が同居する荘厳な叙事詩だ。
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友好的な始まりから侵略へ進む過程がシンプルに、明確に描かれている。原住民族が追いやられていく描写が息苦しい。侵略する側になったとしても、それを決定する立場にいない者は、不本意ながら巻き込まれ、片棒を担がざるを得なくなる。そうならないようにするには、どうすればいいのだろう。
決定する立場の者よりも従わされる者のほうが多いのだから、従わない決断をする者が増えれば… というのは甘い考えだが、それでも、その決断をするために広まってほしい作品。
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ジワジワと文明の「力」をもった「ウサギ」がやってきて山を砂漠を川を変え、やがて大地を覆い尽くす。もはや長い足の鳥たちが群れ遊ぶ湖はない。
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イグアナぽい原住民がいる大陸をウサギたち(明らかに西洋人を表しているよなあ)がじわじわと侵略していって、戦争もし自然を破壊していく。ショーン・タンの絵がシュール。なんだろうね、この迫力は?!人間のえげつなさがぐいぐい迫ってくる。絵の力だよなあ。