紙の本
生命の根本単位である「細胞」についての理解が深まった
2022/08/15 16:50
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
特に、著者の専門である「細胞」に関する記述が、自身の研究史と豊富なエピソードなどを交えた非常にヴィヴィッドな書きぶりで面白くかつ印象的な一書。間違いなく良書です。一方で、サイエンスに関する部分(特に、ステップ4)はかなり理解が難しい感じも。この辺は、しっかりした解説(図示なども含め)が別途付されるべきではなかったかと思いました。
「自然淘汰による進化がもたらす重大な結論は、なんといっても、すべての生命が同じ先祖で「繋がっている」ということ。生命の樹をさかのぼってゆくと、枝はどんどん太い枝へ合流してゆき、最終的に一本の幹になる。だから、われわれ人間は、地球のすべての生命体と縁続きという結論になる。」(93頁、同旨95頁、257~8頁)
「細胞では、命を維持するために絶えず働き続ける、何千もの異なる化学反応が起きている。こりゃもう、最大級の化学工業プラントで利用されている化学反応の数でさえ、霞んで見えてしまう。なにしろ、プラスチック工場を支えているのは、たかだか数十個の化学反応なんだから。」(120~1頁、生命現象とは化学反応である)
「こうした細胞内では、細胞小器官が正確に配置されて成長し、細胞が変化するにつれ、その位置を調整する。この空間的な秩序がどのように発達するかが、生物学の難題の一つだ。満足のゆく答えは、「情報がどのようにして、空間と時間を通して伝えられるのか」を理解することにかかっているだろう。目下、われわれが充分に理解しているのは、分子がそのまま集まってできた、生物学的な物体の構造だけだ。」(182頁)
ともあれ、細胞について書かれたよりビジュアルな参考本を参着しながら、何度も読み返したいチャーミングな一冊でした。
紙の本
生命とは
2022/07/25 14:46
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投稿者:gaco - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNAや細胞分裂について、高校の生物で学習して以来触れなかった内容でした。少し生物の知識がないと文字だけでは理解しづらい箇所があります。日本語訳の内容が一部違和感がありました。
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個人的にはもっと専門的な内容も欲しかった
2021/05/17 02:27
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投稿者:ケビン - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章から第5章までは細胞分裂や遺伝子の基本的な話を平易に書いてあります。
そして第6章では第1章から第5章まで説明した事が具体的にどのように社会で役立っているか、第7章では著者の思う生命とは何か、とタイトルにある通りの内容が書かれています。
これは生物学や科学についてあまり詳しくない人に向けて書かれた著者の自伝的一般書です。
本書には生物学や細胞生物学、遺伝子工学を勉強している人にとっては当たり前のことしか出てきません。
もし著者がノーベル生理学・医学賞を受賞した方だからと、専門的な内容を期待するとハズレだと思うかもしれません。科学的な軽い読み物と思うと楽しめます。
本書には、何か複雑な事柄を解明しようとするなら、その事柄と同じ分野の単純な事柄から調べると、背景には共通の理屈があると言うことが書かれています。
未知の分野に挑戦するときの勉強法としても同じ事が言えると思います。
私は未知の分野に挑戦するとき、とかく派手で目立つ華やかな、そして複雑で難しいことにいきなり取り組もうとします。本書を読んで、単純だったり地味に感じる基礎というものがいかに大切かを改めて思い知りました。
他にも著者が研究者になるきっかけから研究人生で得た様々な教訓が書かれています。
本書は科学読み物ですが、科学的視点から、著者が人生において大切なことを教えてくれる良書だと思います。
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遠心調速機を用いたホメオスタシス(恒常性)の説明が面白かった。
人体にビルドインされた自動調節機能を想像するとき、人間もメカニカルなんだと気付き、違った視点を得られる。
地球上で(もしかしたら宇宙上で)生命がたった一度だけ誕生したという奇跡。
再現性のない(もしかしたら明日新たな生命が生まれる可能性もあるが)たった一度の奇跡が、今のこの世の中を創り出したという、壮大な物語を想う。
我々が生きている、ただそれだけで素晴らしいと思える一冊。
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生命について素人でも分かるレベルで説明した本。
今まで生物学に興味を持てず避けてきたが、食わず嫌いはいけないと思い読んでみた。
結局のところ途中で読むのを断念してしまった。自分には合わない学問なのでこれ以上の深追いはしないが、我々人間にとって非常に大事な学問である事は間違いない。この学問が更に発展して人類に貢献出来る事を期待する。
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後半が面白かった。前半の細胞、遺伝子、進化、DNAの部分は、わかりやすい言葉で説明してくれるが、なかなか頭に入らない。後半にコロナウイルスも含む現在の問題に対する考え方は納得感のあるものだった。特に生命とは何か?の章は、地球上での生命の始まりについて述べられており、とても壮大な物語だ。翻訳者のあとがきでも触れられているとおり、全体に著者の生命への大きな愛を感じる。
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この手の本が好きな方には、既知の内容が多いかもしれません。
最終章「生命とは何か?」が読みどころ。
この分野、ものすごいスピードで発展してるんですが、それでもまだまだ分からないことだらけで、生命って知れば知るほど複雑だなと思います。
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非常に素晴らしい本だった。生命とは何か?という答えのない問いに正面から挑んでいた。
細胞、遺伝子、自然淘汰による進化、化学としての生命、情報としての生命という5つのステップで論理的に述べられていた。高校の時に習った生物の内容を復習しつつ、さらに深い知識を身につけられた。最も印象的だったのは「今日地球上にある生命の始まりはたった一回」ということ。その一回から作られた生命がさまざまな進化を経て地球上に溢れている。だからどんな生物にも自分と同じ共通点が必ずあるということ。視野を広くして生物をみれるようになった気がする。
また改めてゆっくりと読みたい本。
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ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースによる生命科学本。生命について「細胞→遺伝子→進化→科学→情報」の5段階の流れで解説される。著者が生物学を学ぶきっかけとなった黄色い蝶の話や、家族の話などを交えながら分かりやすく説明されている。細胞~進化の部分までは大方知っていたが、化学・情報の部分は何だろうと思って読んだがなるほどな感じで面白かった(若干難しい部分もあった)。新型コロナに関しても触れられていて、各国に感染対応に暗に指摘する部分もあり。
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酵母と人間の細胞は似ている。どんな生き物の細胞も似ている。だから、生命は一度だけ誕生し、その後進化をしてきた。全ての生き物は、たどれば同じ場所に行き着く。ロマンチックな事実だ。科学の壮大さを感じる。
生命とは、遺伝子を増殖させ、その過程で変異させることで進化するもの。周りとの壁を持ち、境界を持つもの。そして、化学、物理、情報的な機械。
温暖化や人口増加、新型ウイルスによるパンデミックなど、これから人類は極めて重大な課題に直面する。そのとき、遺伝子組換え食品やワクチンなどは、極めて重要な対策になるなもしれない。これを科学的な検証をせずに否定するのは、犯罪とも言える。科学を学び、科学を活かそう。
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細胞周期の制御因子cdc2を発見した著者による一般向け啓蒙書。
細胞説、遺伝子発現、自然淘汰説、生化学、情報生物学と順を追って平易な言葉で解説しているが、細かい話はあまり出てこず本筋のところだけ優しく概要を述べる感じ。
この後の生命とは何かについての見解もさすがと唸らせるというよりは平易に優しく、である。
控えめな性格が伺えて読後感は悪くないが、細かい知識や発見の苦労話を期待している向きにはちょっと肩透かしかな。
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タイトルの通り、「生物って何?」というテーマに沿って、生物の謎が解明されていくストーリーで語られていて、非常に面白い。
生物学の知識がなくても、理系に苦手意識があっても 、「生物って不思議!」「生物ってそういう側面があるんだ!」と楽しめる内容。
個人的に好きなのがステップ4の『化学としての生命』
この章での「分子の世界が見える眼で、生きてる細胞を見ていると想像してごらんよ。科学的活性の沸き立つような大騒乱が、あなたの感覚に襲いかかるはずだ。」という所、そしてここからの十数行はニヤけてしまった。
ステップ5で引用されていたシドニー・ブレナーさんの言葉「数学は完璧を目指す学問。物理学は最適を目指す学問。生物学は、進化があるため、満足できる答えを目指す学問だ。」もすごく印象的。
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書かれている内容は半分くらいしか理解できなかった。勉強していくともう少しわかるようになると思う。
わかりやすい語り口で説明される最新の「生命とは何か?」という問いへの科学的に正しい解答。
生命とは情報である?的な?
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少し難解。理解できない部分も多々ありましたが
なるほどと思うところもあり。。
最後の『今日地球上にある生命の始まりはたった一回だけだった』というのが、頭に残りました。
なるほどと思いました。
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What is life?というと、人生ってなんだろう?。この年になると、哲学的な問いではなく、これまでを振り返って、何かしら、思うのですが。
What is life? を、生命とは何か? 地球全体の歴史とロマン、そしてこれからの課題。となって、何かとってもイイねって思いました。