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『超マニアックな球界の不名誉本』
野球選手らしく(?)試合中の乱闘による暴行から、覚せい剤使用やスピード違反まで、プロ野球選手が起こした大小さまざまな刑事事件を一覧にした図鑑のような一冊。
対象はNPBに所属したことのある選手全員。大物有名選手や一軍出場経験のない無名選手、聞いたこともない昭和の選手、助っ人外国人選手までを網羅。前半は50音順に一覧形式、後半は関わった選手の多い脱税事件(1997-98)と黒い霧事件(1969-70)についての詳細がまとめられている。
正直、読者ターゲットは超マニアックなプロ野球好きに絞られると思うが、ウィキペディアにも掲載されていないような内容をよくここまで調べたな、という印象。すべて出典が明らかにされており、時系列に順を追ってエビデンスベースで事実のみが淡々と綴られている。
昨今の球界では女性関係の不祥事が相次いでいるが、ファンの目は厳しく、ここ10~15年ほどでコンプライアンスの強化、クリーンな経営が強く求められるようになり、時代が変わったことを痛感する。
加えて、社会人経験の少ない10~20代の選手を多く抱える球団には、税金や資産形成の教育、SNSとの向き合い方、セカンドキャリア支援など野球以外のことについても前時代よりもサポートが求められているのだろう。
日本におけるプロ野球選手としての社会的影響力の大きさを鑑み、聖人君主であれとは言わないが、本書のような不名誉記録ではなく、本業での活躍で名を残してほしいものである。