投稿元:
レビューを見る
【生物の進化から学ぶ創造プロセス】
生物学的進化のしくみから、人間の創造へのヒントを探る試み。
これは、言語とデザインの関係性を研究していた著者が考えてきたことで、それを体系化したのがこの本。
デザインに興味がある人にも、
ビジネスやイノベーションに興味がある人も、
歴史や生物学、その他学問に関心がある人にも、
キャリアや人生について悩む人にも、
学際的にも
広く興味深く読める本だと思う。
本書を通して伝えられているのが、変異と適応の往復。葛藤。うねり。
この2つを様々な視点から見ると、それは右脳と左脳であり、狂人と秀才であり、流動性知能と結晶性知能(年齢を重ねると強まる)、発想とリサーチ…
どちらかが重要なのではなく、そのバランス、行き来、をしまくることらしい。
それを自然としている人を私たちは天才と言っているのかもしれないけれど、この本を読んたらいと敵にもこの天才しかなしえないような創造を手にすることができる、という希望あるお話。
変異と適応という2つの作用を強調し、変異については9つの典型的な変異方法、適応については、4つの観点を紹介。それぞれについて、生物の進化の事例、そして、その仕組みを創造の過程に当てはめて考えるとどういうことかが説明される。
一見分厚めの本だと思うかもしれないけれど、
言葉をかみ砕いたり言い換えたりして何度も説明されているので、とても読みやすい。
途中、抽象的に論じられていると思ったら、とても具体的な話が出てきたりと、
その行き来もとても思考の運動になる。
そしてたくさんのワーク(演習)がていじされるので、自分の想像したい対象について思考を試す機会がたくさんある。
とても興味深いし希望ある本。
気候変動などの人類の課題に取り組むためのヒントとしても伝えられている。これについては、たとえ一人の人間でこの天才的進化思考を遂行できなくても、みんなで補い合い、必要な創造を実現していくことができると思った。