紙の本
四部構成の妙
2021/09/20 12:27
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらすじによると、四部構成の中、全ての部に驚きが待つストーリーとのこと。その通り、各部の終わりに一つの大きな展開があり、絶対に次が気になる仕掛け。読み終えて、最後の伏線回収に少し不満は残りましたが、そこに至るまでとテンポのいいストーリーと四部構成という構成を活用した仕立てや裁判シーン、登場人物のキャラクター、そして分かりそうで分からない意外性のある犯人と、大満足のミステリーでした!
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弁護士ジョン・プレスコットは法廷にいた。
気の毒な依頼人の正義のため――ではない。
彼が被告だからだ。
罪状は、殺人。しかも二つの殺人である。
1968年の、いきなり法廷から話は始まる。
被告席には、ジョン・プレスコット――しかし、彼は白けきっていた。
陪審員も、弁護人も、裁判に関わる者皆、界隈の住人すべてが、ジョン・プレスコットが犯人だと、すでに断罪しきっているのだ。
ばかばかしい!と、彼は落書きなぞしている。
そして、読者は――なにがなんだかわからない。
なぜあなたは殺人犯なのか、
あなたの夫人とは誰なのか、
そもそも誰が殺されたのか、
もう一人誰が殺されたのか、
なんだかさっぱりわからない。
そんな読者を知ってか知らずか、ジョン・プレスコットは過去に思いを巡らせる。
それはおよそ6年前、彼がまだ独身の時のことだった。
――
近頃の海外ドラマでは、数話で完結、続編なしという形があるらしい。
1話ごとに見せ場も山場も設けて、かつ、続きを見ずにいられないように作り込む。
この『運命の証人』はまさにそれだ。
裁判の行方は気になるし、どうしてこうなったか気になるし、ジョン・プレスコットの来し方から行く末まですべて、気になってしようがない。
彼はいつ、どこで、なにを間違ったのだろう?
第一部から第四部まで、続きを読まずにいられないのだ。
当然ながら、最後には犯人と真相が明らかにされる。
その時、読者は、あああと思い当たるのだ。
あの時のあれも、あの時のそれも、皆、これを指していたではないかと。
そして、さすがディヴァインと唸るのである。
ディヴァインの作品に、シリーズものはない。
おなじみの探偵も筆記者もおらず、すべてが独立して完結している。
だから、どれから読んでもかまわない。
手の中の一冊に没頭することができる。
読んだことのない人は、ぜひ、読んでみてほしい。
あなたは必ず驚き、唸る。
さらに感じ入るかもしれない。
というのも、この『運命の証人』を読んで、私が感じ入ったのだ。
よい人生のために大事なものは、よい友人、よい伴侶、そして、自尊心であると。
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ロバート・ベイリーの法廷ミステリーにはまったので、同じく法廷ものの翻訳ものを読んでみた。
主人公のブレスコットが優秀な弁護士でありながら、友人のピーターを殺した疑いで被告人になるというところが面白み?
最後まで誰が犯人かがわからないので、どうしても最後まで読む。(推理小説とはそういうもの)
やはり、ブレスコットははめられただけで、犯人じゃなかった、それにしても、ピーターといいブレスコットといい女性を見る目がなさすぎ。
でも、ノラも最初は魅力的に書いてたものね。
ピーターの妹、ハリエットが最初から”ビッチ”て見抜いてたね。
で、友人で医者であるホーンビーがピーターを自殺に見せかけて殺し、それに気づいたブレスコットの秘書(ピーターの父親の愛人だったサンドラ・ウェルチ)も殺害してそれをもブレスコットに濡れ衣をきせようとした犯人だったというオチ。
で、ブレスコットとハリエットが結ばれる、めでたしめでたし。
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あらすじによると、四部構成の中、全ての部に驚きが待つストーリーとのこと。その通り、各部の終わりに一つの大きな展開があり、絶対に次が気になる仕掛け。読み終えて、最後の伏線回収に少し不満は残りましたが、そこに至るまでとテンポのいいストーリーと四部構成という構成を活用した仕立てや裁判シーン、登場人物のキャラクター、そして分かりそうで分からない意外性のある犯人と、大満足のミステリーでした!
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なーんか覇気のない主人公が自分の感情さえ物申せないままに被告にさせられる。デジャヴ感強かったが、同じ作者だった(苦笑)
4部作で、其々きちんと完結していて終結に流れる。彼の作品は何故女性を見る目がない男性が多いのか?もしかしてそこがミステリーかも、、
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無実の罪を着せられた弁護士が最初は何の抵抗もなく、罪を受け入れていくが、あることがきっかけで汚名返上に転じていく。
どこか映画でありそうなストーリー。
4部構成の前半はゆっくり進行も、3部ぐらいから展開がかなり急に。
なんで無罪判決?なんでそんなに突然推理が展開する?という感じもあったが、まずまず面白かった。
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発した言葉で論理の組み立てるのは、覚えていないので、あまりすっきり落ちないが、初読の作者なので、別の作品を試してみるか。
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2021/7/18読了
『紙片は告発する』以来、4年ぶりのディヴァイン新刊で、原題は”The Sleeping Tiger”(眼れる虎). ネットでざっと調べてみたが、tigerには「強い男性」のポジティヴなイメージがあるようだ(同じネコ科猛獣でも、lionだと「重要人物」や「権力者」のイメージらしい)。周囲から軽んじられがちだったジョン・プレスコットは、殺人の濡れ衣を着せられても無気力状態だったが、彼の無実を信じる女性の証言をきっかけに“闘う男(トラ)”へと覚醒する。結局、彼の本性を正しく理解していたのは、リース兄妹だけ。持つべきは良き友と伴侶、ということか。邦題も良いけど、原題のニュアンスも欲しかったなぁ……。