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単行本を既読済みで、単行本未収録の短編目当てで再読。
「表面張力」はタイトル通り、少しでも気を抜くと溢れてしまう、少し危うい感じがでてるなぁ、と。一悟と央ニは出てますが、脇役かな。
本編ほど棘はないけれど、心の裏側が何とも言えなかったです。
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初めての凪良ゆうさん。
かなり好きな一冊だった!
実家の下宿を営む虚弱な和久井さんの元に、両親の離婚で生き別れになった弟が偽名であらわれて…
という所から始まるが、どんどん引き込まれて行く。
PMSと月経困難症に悩む美寿々ちゃん、夢を諦めて制作会社に勤めている隼人くん、みんなのお姉さん的存在の青子さん。
みんな立場も考え方も違うのに、共感できることも多々あって、苦しくなることも何度もあった。
その後を描いた『表面張力』にあるけど、『普通そうにしてても、みんな、誰にも見せない顔がある』が一番物語っていると思う。
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家族と愛情について色々考えさせられた。やっぱ偏ってる事ってあるよなあ!?!?
自分も美寿々さんよりは症状軽いけど、同じようなのに悩んでいるから共感できた。
隼人くんの話もしんどいけど好き。
それぞれのどうしようもなさが伝わってきて、これからのすみれ荘で過ごす日々が少しでも穏やかになりますようにって祈りたくなった。
傲慢なオッサンの描写上手くてキツい。三上さんの行動力だけは予想できなかったな…。青子さんは分かりやすかったけど。
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『流浪の月』がとても好きで、何度か読んでいました。
『流浪〜』は繊細で儚げな雰囲気だったけれど、こちらは主人公の違いなのか、もう少し朴訥で馴染みやすい印象を受けました。
印象は違うのに、凪良さんの文章がとても読みやすく、心にスッと入って来るんですよね
今回もサラサラと読めるが、内容はそれとは逆で、下宿屋でのほのぼの生活とは程遠い、割とヘビーなお話しでした。
兄弟の中で何があるんだろうと読み進めてはいましたが、途中までは芥の「素っ気ない・雑・でも核心をつく、かつ博識」という登場人物との会話が好きで(たまに美寿々も似てると思った)、クスッと笑える部分もあったのですが、最終的にそういうキャラクターにならざるを得なかった生い立ちを知ると、自分の単純さが嫌になりました。
結末は、管理人代理の和久井の、あの性格あってのだとは思いますが、意外と世の中にはこんなふうに解決済みの、事件にならない事件ってあるのかもしれない。
人間は誰しも裏表があり、本音と建前、家庭と職場での顔を使い分けて生きていると思います。
家族にでさえ、そこにまた違う顔が出てくるし。本当の自分とは…。
夫婦、親子、兄弟、姉妹、擬似家族、恋人、様々な愛を描いているけれど、『個人、ひとり』に焦点があるのかも。孤独かどうかは別として。
私は、読書して考えを巡らせるひとりの時間が案外好きで、唯一の本当の自分なのかも、なんて思いました。
物語のその後、『表面張力』
こちらはまた違うアプローチでとても面白く、人間の性みたいなものを一気に見せられた感じで良かった。(ここの芥と担当編集のやりとりも好き)
ある意味、こっちのお寺さん一家の方が恐ろしいかも。形は家族だけれど、本音は自分しか見ていないようで。それを見抜く芥はやはり凄いかも。
凪良ゆうさん、やっぱり好きだわ。と改めて思う作品でした。
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凪良さんワールド。
みんなそれぞれ抱えてるんだな、と思った。
愛は毒か、というのがテーマだったけれど、過ぎた愛は毒になり得ると思う。だけど、主人公たちが愛情を持って歩んでいく姿がとても良かった。
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5冊目の凪良ゆうさん。2018年に富士見L文庫から出版されていたものに加筆修正を加え、さらに後日譚の短編とともに講談社タイガより再刊行されたものです。
実家のすみれ荘という下宿の管理人代理をしている虚弱体質な和久井と3人の下宿人…重いPMSで月の半分を憂鬱に過ごす美寿々、テレビ番組の制作会社に勤める隼人、すみれ荘に住んで16年の花屋勤務の青子。ある日、和久井が自転車でひいて怪我をさせてしまった小説家の芥が転がり込んできて…。
タイトルや表紙の雰囲気からは『神様のビオトープ』系の、凪良さん流の愁いを帯びたほのぼの系かしら?と思いつつ読んでいたら…いやぁ〜なかなかに裏切られました。読んでいて背中がヒヤリ?ゾクリ?とする感じ。でもほのかに未来への希望を感じられるラストでとてもよかったです。
一人一人の各章ごとにそれぞれ語りたくなるようなトピックがあって、PMSだったりSNSだったり、セクハラやパワハラ、夢と現実、虐待や母性神話などなど…本当に盛りだくさんです。
後書きもとてもよかったです。やっぱり凪良さん、好きですね。今年、新作に取り掛かる予定とのことなので、楽しみに待ちたいと思います。
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最後まで読んで、血の繋がりや愛情とはなんだろうかと思う物語。一悟が鈍感で呑気なのに若干イライラする(笑) 央二が過酷な育ちなのに、勘もいいし優しく、一悟が欺かれていた過去をあばくのが嬉しい。自分勝手な愛は、その人を狂わせるのだなぁと思う。これからの兄弟関係、親子関係に明るさを思わせる終わりでよかった。
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話が進むにつれてじんわり感情の矛盾した深い部分が露わになってくる、凪良さんの作品の自分の好きな部分がまた一つわかった。
あとがきで、「不可解な感情について書いている」と凪良さんが自身で書いているけれど、そういう解決できない、正解がない、いや正解があるかもしれないけどそれを選べない矛盾とか、そういう部分が嫌な感じなく入ってくる。
やっぱり事実だけを見ると「こっちが悪い」って思うけど、当事者の中ではそんな綺麗に線引きできないことだらけ。
そして家族だから、親だから、愛があって当然という考えが多くあって、故に深い部分で複雑に絡み合う、だから親族間の事件が多い。私だって感じたことのある家族内の「差」は蓋をしてきたことに気づいた。
たくさん考えることが出てくるけど、また新たな豊かさを知ることができたと思う。すごい。
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下宿「すみれ荘」の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。
「今、目の前にいる『この人』は何用の『この人』だろう。」
人には色んな面があって、見る人によってその印象は変わる。
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凪良さんの作品はこれで3冊目だけど、すごい好き。綺麗なのに、人間の汚れた感情をうまくさらけ出して描くから、怖い。とくに青子とか、こういう人いるって思ったし、三上さんとか、みんなみんないい人に見せるのに、実は…みたいな。
裏と表が錯誤するなかで、和久井と芥の裏がない素直な姿がピュアで、いいなーって。
こういう作品がもっと世に出るといいのに。綺麗事だけでなく、尚且つ厭すぎない、ちょうどいい、人間らしい作品。
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さいっっこうに面白い。
女性作家特有のきめの細やかさに、ぞわっとする。
やっぱり、PMSの話とか男性が書いててもどこか嘘くさく感じるんだよね。丁寧に取材していたとしても、性別が違うんだからあんたに何がわかるの、という反発心を持つというか。今の時代だとたたかれるかもしれないけど、男と女は一生分かり合えないし、分かり合えなくてもいいと思ってる立場なので。
めちゃくちゃ悪い奴が出てこないのよ。
人を殺そうと思ってる本物のサイコパスはいないし、暴力をふるおうとしている最悪な人もいない。でも、普通に生きていて、どこか歪んでいる人が出てくる、
この表現がとにかく秀逸。
異常者の気持ちは理解できないけど、この作品に出てくる人物の不安定さは全部わかる。
文章はうまいことは当然だけど、心理描写とか、言語化力がすごい。
凪良ゆうの小説を参考にすれば文章がうまくなりそうだな。
でもだめだな、こんな風にきめ細やかに誰かを描写する力がない。
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愛とか家族とか血のつながりとか、狡い人に使われると呪いでしかないなって話。
読んだ後、よくよく考えるとちょっと事件がすぎない?って所があるんだけど、
読んでる最中はむしろ自然でそれもまた呪いやなと。
ひどい話です。
それなのに読んだ後は爽やかなんだよなー。
凪良ゆう作品、好きです。
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一言に、面白かった。
読了後の感触が本当に良かった。
知ってしまえば、知らなかったころには戻れない。(作中の言葉)
まさにその通りで、本屋大賞受賞するのもわかる気がする。
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凪良ゆうさんの小説は引き込まれます♪
あっという間に読んでしまいました!
愛って色々な形があるんだな〜と。。。
相手を不幸にする愛は納得できないですが
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家族のような下宿生活。ほのぼの〜と思ったら、とんでもなかった。
一悟と芥の関係性が徐々に明らかになり、周りもふんわり〜という先見も、完全に崩された。
青子…がいなかったら、一悟の人生は全く違うものだっただろうな…
一悟のお母さん、天秤って難しいし、意図的にやるのも違う…難しい…
青子と桜子のお父さんお母さん、何があったか全部知って、一咲ちゃんのこと考えてほしい…
きっと、取り繕いながら、みんな生きていて、全てを晒して生きることが決して幸せではない…人の立体感を感じました。