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平安後宮の薄紅姫 3 恋する女房と物語の縁 みんなのレビュー
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紙の本
千年続く物語の縁
2024/05/13 18:15
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投稿者:月次 - この投稿者のレビュー一覧を見る
※この感想はネタバレを含みます
※後半に自分語りがあるので、読みたくない方は申し訳ありませんが読み飛ばしてください
シリーズ最終巻。本当に良作だった。
親友・右近が千字堂に訪ねてきたことから物語が始まる。その相談が、「縁談相手の物語嫌いをなんとかしてほしい」というもので…
紆余曲折あったけど、右近の恋も薄紅達の今後も綺麗にまとまってて良かった。
右近の経輔に対する恋情がただただ純粋で美しかったな。これから良い夫婦関係を築いてほしい。
しかし、物語が嫌いなだけならまだ良いが、それをこちらに押し付けてくるならそりゃ「即刻破談!」て思うわ。私なら耐えられない。この時代の貴族女性は、出仕することはできても、夫が誰だとか寵愛具合で本当に人生左右されるから恐ろしい…
今回のお話は、何故人は本を読むのかについても少し考えさせられた。自分なりに考えてみたが、学がないので物語はいつの時代でも魅力的なのだろうということしか思い浮かばなかった。
最終巻にして薄紅の姫の正体が書かれており、最後の行を読んで感動した。
恥ずかしながら、私はこの本を読んで『菅原孝標女』と『更級日記』の存在を知った。古典の教養がある方は最初から気づいていたのだろう。
物語を心から愛し、愚直なまでに物語の力を信じていた彼女が創作ではなく千年前に実在していたのだと知って本当に嬉しかった。
『更級日記』を読んだ後にこの作品を読むと作者の工夫が読み取れたり、彼女の今後を知っているからこそ切なくなる部分もあって、初読の時とはまた違った見方ができる。
大学でも薄紅の物語を知るために『更級日記』について研究しようと思うくらいには人生を狂わされたシリーズだった。
近いうちに彼女が書いたとされる『浜松中納言物語』や『夜の寝覚め』も現代語訳で読んでみたい。
中高生のうちにこの作品に出会えて本当に良かった。
彼女が紡いだ物語の縁は、確実に千年後まで続いている。
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