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新興宗教のように思われている団体を、
内側からみたときの嫌悪と陶酔。
人は自分の育った環境を、それがどんなものであっても子供にはその世界しかないから拒絶しきれなくて、一方で、自分には知り得ない他人の環境に憧れたりする。
とても説得力のある、よく書き込まれた作品でした。
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幼少期に育った環境って、人格形成する上でとても重要なんだなと改めて感じさせられる。
辻村深月特有の心理描写がとても繊細かつリアルで多感な小学生時代の気持ちを思い出した。
共働きで子供を預けて働く女性はきっと共感しかないのだろうと思いながら読ませていただきました。
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読み終えました。途中ちょっとだれてしまった(私が)。辻村さんの作品は名前を書き留めて読むようにしてます。
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大人の理想に閉じ込められた子供達。その教義の中で育てられた子供達は、信じていたものが崩れた時にどうやって生きていくんだろう。琥珀の夏というタイトルが秀逸。素晴らしかった。
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読み終わるのに時間がかかった。
重い、暗いに加え登場人物があまりにも人間社会の「人間」過ぎてちょっときつかった。
でも考えれそうなこともいっぱいあって、それは良いなと思った。
印象的だったのはケン先生の考え。親が理想の教育を求め過ぎて、子供には分からない遠い理想に夢中なのは本末転倒ということはそのとうりだなって思った。
私的には久乃が晒そうとしたことも美夏が部屋に閉じ込めたことも〈ミライの学校〉の大人達も全員無理。
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宗教絡みの小説は、引き込まれてしまう。
洗脳とかお布施とかのネタはない。
一つのことをずっと信じているのは難しい。
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いろんな人間の感情が入り乱れてて、ただ「この登場人物に感情移入した」とか言い切れるものじゃなかったと思った。住む世界が違う、考え方が違う、そういって割り切っている相手がただタイミングと状況が少し変わっただけで全く同じ立場になる。それがこれまで自分自身が「どうして?」「なんで?」と理由が理解できなかったことだったとしても、ある日突然法子のように”ああ一緒だ”と感じるときがくる。その時に、その理由がわかるようになるわけじゃない。ただ理性や論理じゃ割り切れない何かの存在を感じるだけ。
いつか私もそういうときが来るんだろうなあ。絶対理解できない、どうしてなんで、って頭で思っている出来事をなぞるようにして、ならないと思い込んでいた立場に気づけば立っているってことも。……と漠然と思った。そういう認識について、深く触れたお話だったのかな~。
そういう認識っていうテーマが合ったお話だったとして、でもやっぱりそれとは別に、第八章のミカの最後の独白に全部の感情がもってかれた。あの一節を読んだ瞬間読んでる私の感情がわって溢れて胸がぎゅってなった。辻村さんって本当に感情を乗せる言葉を紡ぐよなあって勝手に思ってる。
お話の構成を客観的に見てみると幼少期の法子の初潮という性と出会う出来事と、ミカの大人たちの宿舎での性と出会う出来事、それが伏線として潜んでいて対比になっているんだなあっていうのがすごい~と素人目に思った。前者はその時親に、ちゃんと向き合ってもらえた。後者は親に、隠された。”衝撃の展開”って言って種明かしを称すんじゃなくて、あれが伏線だったことがわかるのが衝撃だったなあ。
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かがみの孤城の作者の作品。
カルトじみた教育機関「ミライの学校」
そこでは親元を離れて幼稚園から高等部の子供たちが暮らす。(高等部とは言え、学校ではないので世間的には中卒になる)
主人公は30年前に一週間の夏合宿に3年間参加した。夏合宿では一般人も参加し、合宿でミライの学校の理念に接する。
そこで、カルトで暮らす子供たちと仲良くなる。
30年経って、自身も子供を持ち、保育園落ちたり共働き育児に苦しんだりしている中、カルト教団の敷地内で30年前の白骨死体が発見される。
殺したのは、当時カルトで暮らす仲良くなった子供であるミカだとされ、死体の母親(といっても教団に預けっぱなしで、死んでいることにすら30年気付いてないわけだが)に訴えられる。
仲良くなった子も、自分が殺したと主張する。弁護士になった主人公は、当時のことを調べて、何があったかを知る。
殺されたヒサノは問題児で、夜中に先生のロッカーから現金を盗んでいた。併せてロッカーに入っていたゴムやエロ本を見つけて、先生の愚行を暴露すると言い出す。それに自分の価値観を破壊されたミカは怒りで自習室にヒサノを一晩閉じ込めた。
自習室の天窓から脱出するために、椅子や机を高く積み上げたが、バランスを崩して打ち所が悪くしんでしまった…ということが30年後のミカが法廷で語り、無罪となる。
読んでいくごとに、引き込まれていく子供時代の描写に、現代の保育園や共働きなどの親を取り巻く問題を添えた名作。本屋大賞にノミネートしそう。
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前半は今村夏子著「星の子」と同じようなストーリーだったが、途中から現実的な内容となっていった。単にオカルト的だと排除するだけではないところが、良かった。
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2021/06/09リクエスト 6
泉に流した宝ものが、油性でなく水性絵の具だったから泉が汚れたことにはならない。
油性だったら、この話はどこへ着地するんだろう…
一つ一つの些細なエピソードが、子どもだったあの時の不安さを思い出す。
1人になってしまわないか?
誰も寝るのか、段取りが心配になる
誰か桃を切る女の子お願いね
自分だけスクール水着で恥ずかしくて早く脱いでしまいたい
わかっていることなのに、答えることより、後で周りの目が気になる
それがここ、ミライの学校では、評価される。大人が自分と考えて話してくれる。それはノリコにとってどんなに嬉しかっただろう。
その思いが、痛いほど伝わってくる。
もう忘れてた気持ちなのに。
思っていることを、ここでは人目を気にせず、きちんと真面目に話していい、学校では、遠慮して言えなかった本当の思いを出せる幸せな気持ち。
子どもの頃になにが不安だったか、先生に可愛がられる自分は人から嫌われ、それをどうしたらいいのかわからなかったこと、自分の居場所を作るために努力することをだんだん覚えたこと…たくさんの昔の記憶が蘇ってきて、読んでいて辛かった。
最初は大して興味なく読み始めた本ですが、結局一度読み、そのまままたもう一度読みました。
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SL 2021.7.8-2021.7.11
途中まで何気ないふうに進めてきて最後にはちゃんと持っていく。
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きっと、私の両親は、自分たちのことさえ
、信じられなかったのだろうと。
だから、ミライの学校に入った。
私のことを、ミライの学校という社会に託して、
手放した。
私は「親」としての自分を、果たして、
信じられるのだろうか。
ーーー
親になったら、誰しもが感じるのではないか。
子どもに対して、果たしてこれでいいのかと
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親と離れ、子どもたちだけで生活していた〈ミライの学校〉の跡地から子どもの白骨遺体が見つかり、自身の孫かもという老夫婦の依頼で東京事務局を訪ねる弁護士の主人公・近藤法子。実は彼女もまた夏休み、サマースクールのような形で小4、小5、小6と3年連続で〈ミライの学校〉へ行っていた一人だ。そこで会ったミカちゃんと最後の年会えなかった事が心にひかかっていて、その遺体が彼女ではと不安に思っていた。
子ども時代の回想を挟みつつ話は進み、事務局で対応してくれた田中という女性が実はかつて〈ミライの学校〉で会ったミカちゃんだと言われる。その後、遺体の身元が井川久乃と判明、その死に関わっていたとミカ=美夏や〈ミライの学校〉が訴えられる。その弁護を美夏の元夫・滋から依頼され、悩んだ末、弁護を引き受ける。事件の真実、〈ミライの学校〉がしてきた事の意味、大人の醜さ、狡さ。美夏は守られていたようで実は縛られていたのでは…友達とは…子供時代の人間関係の不安、いろんな事を考えさせられる 内容だった。
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弁護士の法子、子ども時代に合宿で参加した〈ミライの学校〉、そこで出会ったミカ。
かつて、ミライの学校があった敷地から白骨遺体が発見された。それは、法子の知るミカのものではないか。
子ども時代のノリコとミカ。大人になってから再開した法子と美夏。遺体の発見により、紐解かれて行く30年前の真実。
友達との関係、スクールカースト、保育園事情、親の愛情、親の抱える悩み、さまざまなテーマが盛り込まれているように感じた。
自分が今、子育て世代であることもあり、共感できることが多かった。
子どもとっては、やはり親の愛情が何より大切なんだなと改めて実感させられた。立派な人になることよりも、優れた教育をすることよりも、家族そろって笑い合える時間があれば、それが幸せなのではないか。家族を大切にしたいと改めて思える一冊だった。
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主人公の法子をはじめとする登場人物達の年齢が、私と同じ世代で、現代から小学生時代と振り返りながら話が進んでいくので、自分も小学生時代を振り、なんだか懐かしさを感じながら読み進めていました。
大人の価値観に翻弄される子どもたちの姿が描かれていましたが、まさに、こどもというのは大人に翻弄されるなぁ・・・と、最近『親ガチャ』なる言葉が流行していることも相まって、切にそう感じさせられる作品でした。
***ネタバレ***
後半、法子とミカが、手を握りながらポロポロ涙を流す描写が、友達として過ごした時間は短い間ながらも、いつまでも心に残っていることが、こども時代に受けた感情はいつまでも忘れないものなんだと、胸が熱くなるものがありました。