紙の本
200年に凝縮された数々のエピソードが面白い
2022/02/05 00:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
わずか200年程度の歴史、系図もこれまでのハプスブルク家やブルボン王朝などに比べるとシンプルだが、フリードリヒやらヴィルヘルムやら何人も居てややこしい。それはさておき、ヨーロッパの中では比較的短い期間だと思うが、エピソードには事欠かず、そしてヨーロッパや世界史にどのような影響を与えたかがわかって面白い。
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読了:2021/8/14
前書きにある通りハプスブルク家やブルボン家と比べると目立つ女性が少ないので華やかさはあまりないなぁ。ビスマルクが登場してからが断然面白い。
p. 166 一八八八年、帝国議会で皇帝崩御の報告をするビスマルクの声は震え、声は途切れ、ついには手で顔をおおい、嗚咽をもらして議員らを驚かせた。七十二歳の老宰相は戦友を失いら片翼をもがれたのだ。もうこれまでどおり悠然と空を飛ぶことはできない。(中略)ヴィルヘルム一世はビスマルクの政策に否を発することが多く、だからこそビスマルクは知恵をしぼって練り直し、説得させるだけの十分な論拠を用意した。皇帝の胸先三寸でいつでも宰相は罷免されてしまう。ゆえにビスマルクは常に成功しなければならず、実際、成功し続けた。そんな宰相に去られることを、皇帝は何より恐れた。お互い腹を立てつつ離れがたく、苦労も多いがやり甲斐も大きい。二人を引き裂こうとする勢力は常にあったが、彼らの信頼関係はびくともしなかった。
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シリーズ第5弾とのことだが、わたしは初めて拝読した。
私事になるが、プロイセンの歴史については独学ながらそこそこ知識があると自認している。この本は初心者の頃に読みたかったと感じた。
「名画で読み解く」というシリーズのタイトルにある通り、この本は有名な絵画を多く用い、そこに登場する人物についてのエピソードを紹介する形になっている。なので、人物伝を集めたものといった印象が強い。また、同時期に他国で起こっていたことについても紹介されており、大変興味深い。
ただ、残念に思ったのは、現在時点で訂正されているはず(とわたしは思っている)出来事が、それがされないまま紹介されていることだ。なるほど、この本は「名画で読み解く」ものなので、絵画にまつわる有名なエピソードだったから紹介されたのだろう。出来る限り最近発表・出版された書籍を参考にしている様子も伺われる。けれども〝漏れ〟があったことは、ずっと人口に膾炙しているエピソードで、この本でも多く文面を割いて紹介されている人物のものだっただけに、残念でならない。
繰り返すが、この本は初心者の頃に読みたかったと思った。学び始めの方がプロイセン王家=ホーエンツォレルン家について、簡単に知っておくためにこの本を最初に読むには、ちょうどよく、読みやすいものだと考える。
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安定の面白さ。ホーエンツォレルン家なんて、人生で初めて聞いた気がするのに、面白く読めた。(日本史だもの、ってことにしよう。)
印象に残ったのは、ビスマルクのおそるべき有能さ。
しかしこの本らしく絵画で言うなら、一番驚いたのは第6章の扉絵『シャルロッテンブルク宮殿庭園のフリードリヒ・ヴィルヘルム三世と王妃ルイーゼ』。なにこの「少女漫画かよ!」っていう絵は。奥様自慢がよく伝わるけど…けど…!
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他の有名王家に比べてしまうと、日本でのプロイセンは知名度が低いように思う。フリードリヒ大王が何世かなど露知らず、だろう。
そもそも美術史からこの界隈に入った自分からすると、ドイツ諸国はロマン主義まで絵画の知名度が低い、耳の国だ。故に知らないことがとにかく多かった。ドイツ第二帝国の短さにも驚きだ。
他の王家に漏れず、ここも沢山のドラマがある。そして他王家とも繋がっている。相変わらずこのシリーズはビジュアルから入れる上に歴史をかいつまんで知ることができるようまとまっていて面白い。
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ベルリンで、プロイセン王国の歴史を知ろうと色々な本を読み、歴代王・皇帝の名前を覚えたが、まさにそのプロイセン王フリードリッヒ1世以降の王・皇帝それぞれの物語だった。それほど目新しい内容はなかったが、肖像画などを使ってその人物の見た目も紹介していて、一層各人の個性が引き立てられたように感じた。
素直に面白かった。
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情報量が多い!最高!
倒置法を用いた次章への引きで往年の美の巨人たちを思い出した。
本書はドイツ統一を果たしたプロイセン:ホーエンツォレルン家のおはなし。
1701年、スペイン継承戦争のドサクサでプロイセンは公国から王国へ昇格し、王朝の始まりとなった。以降、9代、217年で幕を閉じる。
フリードリヒ1世(猫背のフリッツ)
フリードリヒ・ヴィルヘルム1世(兵隊王)
フリードリヒ2世(大王)…生前から死後まで国内外で大人気の大スター
フリードリヒ・ヴィルヘルム2世(デブの女たらし)
フリードリヒ・ヴィルヘルム3世(不定詞王)…王妃ルイーゼが人気
フリードリヒ・ヴィルヘルム4世(ひらめ)
ヴィルヘルム1世(白髪王)…鉄血宰相ビスマルクと二人三脚。ドイツ統一しドイツ帝国皇帝へ。
フリードリヒ3世(我らがフリッツ)…即位後数ヶ月で病死
ヴィルヘルム2世(最後の皇帝)
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おもしろくてあっという間に読んでしまった。ハプスブルクの同シリーズの後に神聖ローマ帝国がよくわからない~と思って読み始めたけど、プロイセン史は歴史の流れが日本の幕府っぽくてイメージが掴みやすいのと、地域が現ドイツのエリアからそこまで大きく変わらないので(いや、植民地を多く持ったり、領土をびっくりするほど大幅に拡大してたら本当は彼らは良かったんだろうけど)分かりやすかったような気がします。絵画ベースなので近々積んだ「物語 プロイセンの歴史」あたりも手を付けられる勇気が出てきたぜ
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遅れてきた帝国、
ヨーロッパ地図を塗り変える――。
『怖い絵』シリーズなどベストセラー多数のドイツ文学者、中野京子さんの最新刊、いよいよ発売!
ヨーロッパの歴史を名画とともに紐解いていく、光文社新書を代表する人気シリーズで、5作累計30万部を突破。2008年に刊行した『ハプスブルク 12の物語』以来、増刷を重ねています。
長い群雄割拠時代を経て、19世紀にドイツを統一したプロイセンのホーエンツォレルン家は、帝国を形成しヨーロッパ最強国の一角に食い込みます。
フリードリヒ大王とビスマルクという二人の傑物を生んだプロイセン。
本書では、その激動の217年の光と闇、運、不運、そして熱い人間ドラマを、色彩豊かな名画とともに読み解いていきます。(アマゾン紹介文)
確かに「ホーエンツォレルン家」と言われてもぴんとこない、どころか全く知らなかった。プロイセン(ドイツ)の旧支配者のことなのね。
画が主題ではなく王家の物語が主なので、前者を期待するとちょいと肩透かし。ただ、さすがに物語は面白く語られているので、楽しめるんじゃなかろうか。
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GDP世界4位、EUの盟主。”欧州最大の国”ドイツ。その成り立ちは?名画で読み解く王朝シリーズ5作目。今回は、どれよりも物語の方を楽しませてもらった。プロイセン王家は9代。それぞれが強い個性。全員簡単に覚えられそう?いやいや、そこはそれ欧州の王家。同じ名前が何度も繰り返す。一世、二世、名前で追ったら記憶が定着しない。便利にも国民がつけたあだ名がある。「ひらめ」「白髭王」「猫背」「不定詞
王」に「デブの女誑し」・・。成したことと結びつければ統一帝国の出来上がり。「鉄血宰相」?これは王ではなかった。
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今は歴史にしか残らないプロイセンという名の国
ドイツの前身とも言える国がどのように出来て行き、近隣諸国との関わり変化の経緯がとても分かり易い書き方で記されている。
中野京子さんの本は怖い絵でもあるように、自然と興味を持つような言葉で惹きつける。
絵画から紐解いていく当たり、ただの文章で史実を述べられているのとは違う納得感がある。
たくさんの邦国からなる国が、プロイセンとなり、ドイツ連邦となり、戦争へと突入し敗戦し、また敗戦していく。
そんな成り行きの元となるものが垣間見れる良書である。
手にしやすい分量であり大変お勧め!歴史が好きな人には是非読んで欲しい。
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中野氏らしくユーモアを交えながらプロイセンの歴史を紐解いてくれる。
華やかなハプスブルク家の網目のように張り巡らせたヨーロッパの支配に対するプロイセンの立ち位置も納得した。
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絵画とともに歴史を辿っていく本。
フルカラーなのがとても嬉しい。
歴代プロイセン王の名は、九代全てが「フリードリヒ」と「ヴィルヘルム」の組み合わせからできていて大変覚えづらく、歴史書を読むときも大変苦労する。
(あなたさっきも出てきませんでした?と何度もなる)
〜プロイセン王〜
初代 フリードリヒ一世(猫背のフリッツ)
二代 フリードリヒ・ヴィルヘルム一世(兵隊王)
三代 フリードリヒ二世(大王)
四代 フリードリヒ・ヴィルヘルム二世(デブの女たらし)
五代 フリードリヒ・ヴィルヘルム三世(不定詞王)
六代 フリードリヒ・ヴィルヘルム四世(ひらめ)
七代 ヴィルヘルム一世(白髭王)
八代 フリードリヒ三世(我らがフリッツ)
九代 ヴィルヘルム二世(最後の皇帝)
しかしこの本では、絵画とともにエピソードやあだ名なども紹介してくれているため、大変分かりやすい。
また、難しい言葉を使っていないのも、この本の分かりやすさに繋がっていると思う。
新しく得た気づきは、バイエルンについてだった。
バイエルンはプロイセンを嫌っている、というイメージがずっとあったのだが、なぜなのかは知らなかった。
バイエルン(を含む南部)はカトリックであり(プロイセンはプロテスタント)、バイエルン・ヴィッテルスバッハ家はハプスブルク家との婚姻も多かったという。
それを読んで、なるほどとなった。
印象深かったのは、大王についてだった。
大王(フリードリヒ二世)が王太子だった頃、カッテ少尉と国外逃亡を企てたときのことだ。
二人は捕まってしまい、フリッツは要塞に幽閉され、少尉は死刑(斬首)となったのだが、本にはその処刑直前の絵が載せられいる。
窓から両手を伸ばすフリッツと、それを見上げる少尉。
その二人の姿が痛々しく、小さく載せられた絵だったにも関わらずどうしても忘れられない。
男性が好きだった大王は、少尉と恋人同士だったのではと本には書かれている。
プロイセンの歴史については詳しい本を読んだことがあるが、覚えるのが苦手な私は忘れてしまうこともしばしばある。
この本は大まかな流れを確認したいときにかなり重宝しそうだ。
読めて良かったと思う。
参考文献の本も読んでみたい。
ざっくりと歴史を知りたい人や、歴史が少し苦手な人にもおすすめの一冊。
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中野京子さんの本を久しぶりに読む
絵画から歴史的なことも学べるの楽しい
ヴィルヘルム1世とビスマルクのお互いに認めあっている関係性、それがあって国が強くなっていったのかと世界史で習ったけれどさらに深く納得
最終章の戦争絵画の怖さよ…悲惨さが伝わる
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プロイセン王家 ホーエンツォレルン家のお話。ホーエンツォレルン家、ファーストネームがややこしい。フリードリヒとヴィルヘルム以外の名前はないのか?しかも女性にヴィルヘルミーナまでいる。名前の多様性が欲しい。
ポーランドに臣従していた国がポーランドを分割するようになるとは、思ってもみなかっただろうな。
スペイン継承戦争でレオポルト1世がスペインを手に入れるため、プロイセンの兵力を当てにして見返りとしてプロイセンを王国にしたのは知らなかった。
次代の王と先代の王が仲が良い、という例があまりないのも、他の王家と共通している。兵隊王(2代目)と大王(3代目)の仲の悪さは知っていたが、他もあまり良くないように思う。2代目のお妃がゾフアア・ドロテア。アールデンの公女の娘。こちらも母と同じ名前だ。アールデンの公女があまりにも鮮烈に覚えていたので、娘の方はあまり気にしてなかったけれど(兄はジョージ2世になるし)、娘はあのフリードリヒ大王を産むのか…。歴史ってなんだか凄い。
兵隊王とフリードリヒ大王の仲の悪さは有名だけれど(昔のゲイは本当に命懸けだったんだろうなあ)、目の前で処刑って…。フリードリヒ大王の10年我慢も凄いけど。
父がいうところの「笛吹きフリッツ」は多分ホーエンツォレルン家で最も有名な人物になる。恋人と逃亡したときに処刑されていたら、歴史はことごとく変わっていたのだ。大王が凄いのは分かる。運にも味方されている。しかもその運は自分の啓蒙主義から引き寄せた運だ。それでも王妃に全く関心を見出さなかったのは、何だかなあ。父王が死んだ後、離婚したら良かったのでは?久しぶりに会った妻に「マダムはお肥りになられましたか?」って…。
大王の後、甥が後を継いだが、デブの女誑しって…なんというあだ名。これだけなら、愚鈍な王かと思うが、大王から受けた人口、領土を大きく増やした。ドイツ的であれ、と言いながら、フランス語を話していた大王に比べて、アカデミーの会員や劇場の監督をドイツ人に変えた。すこぶる有能。愛人いっぱいで家庭的ではなかったけれど。
1848年、革命の嵐が吹き、ビスマルクが登場する。プロイセン王はドイツ皇帝になり、オーストリアと対決できる位の国となる。しかしビスマルクを辞職させ、第一次世界大戦が起こり、ドイツは共和制となり、王は亡命、ドイツ帝国は終焉する。
今回は知っている絵が少なかったせいか、あまり絵に注目がいかなかった。けれども、歴史がよく分かる話で、とても興味深かった。