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ロンドン出身の優柔不断な中年男・アーチーと、バングラデシュ出身の誇り高きムスリム・サマード。ふたりの友情を軸に歴史、信条、言語、世代、遺伝子の差違が招く悲喜劇を描く。
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恐らく世界的な名作。現代をこれほどうまく捉えた小説は少ないだろう。話の内容は若干付いていけないほど混乱しているが、作者の主題がハッキリしているので読んでいて迷わない。読後の印象はサルマンラシュデイの真夜中の子供たちと、かなり似ている。それだけの傑作だと思う。
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なんというか……、とにかくカオスだなあ、という印象の強い上巻でした。宗教観や異文化が登場人物の背景にあるのですが、その背景ゆえの思考や行動がなかなかこちらの理解が及ばないというか、ぶっ飛んでいるというか……。
ただ、それゆえに物語の展開が予想できない上、登場人物の異様な行動にも一種のシュールさが生まれて、なんだか上手く説明できないけれど面白いし、何より日本の小説では味わえないような読み心地が味わえます。
特に面白かったのがバングラデシュ出身でムスリスのサマード。イギリスにやってきて家族を養いながらウエイターをする彼ですが、敬虔なムスリスゆえの気苦労が多く、特に女性関係で悩む姿はなんだか可笑しかった。
問題自体は男のしょうもない部分のことなのですが、彼の欲望に耐えられない姿と真面目さのギャップが思わず苦笑してしまう。さらにはその生真面目さが家族にも波紋を広げていくのも、行動や思考が日本人で無宗教な自分から見るとぶっ飛んでいて、面白かった。
文化や宗教観が分かっていないので、読みにくさや理解のしにくさはありますが、絶妙にクセになる雰囲気をところどころで感じます。
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帯で西加奈子さんとブレイディみかこさんが激賞していたので読んでみた。
宗教と世俗との折り合いや人種の違いといった本書のテーマとなる問題はなじみがないが、悩みの果てにトリッキーな行動を取り、自分を曲げないのでちっとも成長しない登場人物たちは、面倒ながらも愛せる。
歴史上は「馬鹿者」「臆病者」と思われているマンガル・パンデーをサマードはものすごく信じていて、一冊だけども彼を「独立への基盤」と記載した本もあることが、どんな人間でも誰かは受け入れてくれるということを象徴してるのかな?と思った。
「アーチー、アーチー、アーチー、アーチー」
「ミスター・ヒーロー」
「君はどうもわからん男だなあ、アーチー」
「ミスター・ヒーロー」
といったやり取りや、
「ここで費やされた時間÷ほかの場所で有意義に過ごせたかもしれない時間×楽しさ×マゾヒズム=自分が常連である理由」
などの言い回しが、ザ・海外文学のユーモアという感じでとても好き。
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新聞の書評に載っていたので読んだ。
イギリス人のアーチーとベンガル系のバングラデッシュの物語。
二人は第二次大戦で従軍し友情を育む。
そしてアーチーは若いジャマイカ出身の女性と再か婚し、二人の人生は続く。
50代の男性の心理を20代の女性がかくも巧みに描いたことに驚いた。
下巻にいくとさらに物語は暴走します。