紙の本
今後の展開も楽しみです
2021/08/15 16:44
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投稿者:ojo - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ3作目は嘘について。嘘はどこまで許されるのか、許せるのか。人を傷つけない嘘なら許されるのか、結局は嘘をつかれた側の受け取り方によるのか。いろいろと考えることが出来た作品です。主人公の宮司に関わる人間関係のところは、ゆっくり読みたいけれど付喪神たちに関わることは早く先が知りたい大好きなシリーズです。
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今回は騙りをしながら旅する親子、
大きな法螺貝が竜に化身して空に飛び立つ時に
大きな洞穴ができるという言い伝えと、
平家の滅びにまつわる話、
薬草の話がもの語りのテーマ。
子供同士の嘘と真実、真心の狭間。
名刀、弓、の化身。
いつも不思議なこのシリーズの中に流れる
歴史と心に関してのやりとり。
どんな風にこれから展開するのか?
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〈小烏神社〉の宮司で様々な術を操る竜晴と二柱の憑喪神・抜丸と小烏丸の活躍を描くシリーズ第三作。
今回は竜晴の友人で医師の泰山が体調の悪い男・十兵衛とその息子・一悟を神社に連れてくるところから始まる。
一方で竜晴は天海大僧正に頼まれて『法螺抜け』と呼ばれる穴を確認するが特に不審なものはない。
しかし十兵衛・一悟親子は花枝・大輔姉弟の父親が営む旅籠〈大和屋〉に宿泊中、治療代を宿泊客たちから集めた翌日に姿を消してしまう。
前作ではあからさまな悪意を持つ危うい娘が登場したが、今回の十兵衛・一悟親子は悪意があるのか本当に困っているのかの見極めが難しい。
花枝・大輔姉弟と父親・朔右衛門は彼らを信じたいと思っているが、状況は十兵衛らに分が悪い。なのに一悟は大輔を試すような煽るような質問を繰り返す。
『嘘』はどこまでなら許されるのか。何を以て『嘘』になるのか。
相手を信じたい気持ちとそれを揺らがせる状況。
『信じたいのであれば信じ続ければ良い』という竜晴の言葉。
人を信じようとする姿勢は美しいが、人が好すぎて騙されないかとハラハラする気持ちもありモヤモヤする。
これまでの二作での大輔はちょっと生意気で真っ直ぐな少年だったが、この作品では一悟という同世代でありながら全く違う人生を送り全く違う考え方を持つ少年と出会うことで様々なことを考えるようになったようだ。
もう一つ気になる『法螺抜け』の巨大な穴。最初に竜晴や憑喪神たちが調べたときは何もなかったのに、大輔と一悟が入ると何だか不穏な空気に。
そして前作同様、伊勢貞衡と憑喪神アサマが狙われる。それもアサマを使って竜晴を襲うという荒業に出ている。
十兵衛・一悟親子の顛末については前作と違ってホッとした。何より大輔が傷付かなくて良かった。
しかし伊勢貞衡を狙う者については相変わらず分からない。小烏丸の本体についても手がかりなし。まだシリーズは続くようだ。
シリーズとしては高度な術を操る宮司としては優秀でも人間性にはいささか問題のあった竜晴が少しだけとは言え思いやりや気遣いを見せ始めた変化が嬉しい。
今後シリーズが進むに連れて更に丸くなっていくだろうか。
※シリーズ作品レビュー
①弟切草
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4344429966
②梅雨葵
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4344430441
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小烏神社奇譚 シリーズ3
小烏神社の若き宮司・賀茂竜晴は「抜丸」と「小烏丸」という付喪神によって育てられた人間で、
普通の人間は、怒る時、喜ぶ時、悲しい時、楽しい時は、こう振る舞うものだ、と教えられてきた。
今までは、何の障りもなく、こなしてきたが、立花泰山、氏子の花枝・大輔姉弟との付き合いが深まるうちに、竜晴の感情が、何とはなく変化してきた。
ある日、泰山が、十兵衛・一悟親子を伴って小烏神社にやってきた。
二人は、花枝・大輔姉弟の父親・朔右衛門が営む旅籠「大和屋」の泊り客で、父親の十兵衛が昨夜から腹痛におそわれて、泰山が、薬を処方したが、一向に良くならないため、憑き物の類かもしれないので、連れてきたと言う。
だが、竜晴は「私にできることはない」と冷たく言い放つ。
「大和屋」の泊り客から、お金を集めた親子は、翌日未明に姿を消してしまう。
この親子の正体は?
付喪神の「小烏丸」の本体は、壇ノ浦の合戦で海の底に沈んだものとされており、今なお、本体の行方は、分からぬままであった。
それがために「小烏丸」は、壇ノ浦以前の記憶を無くしているが、過去が少しずつ、明かされていく。
平家物語・民話・万葉集と、ふんだんに登場。流石、篠綾子さん。
次作品も楽しみである。
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切ないな~。
でも、最後は丸くおさまってよかった。
小烏丸の過去と、江戸を狙ってる?何かが気になります。