投稿元:
レビューを見る
八方それぞれを向いた短篇ミステリーが勢揃いといったふう。
〈2020年ならでは〉を描写に取り入れた作品もあれば、がっつりトリックに組み込んだ作品まである。
青崎有吾、北山猛邦目当てで読み始めたが、どの作品にも印象的な場面があり、記憶に残る。
練られたトリックに「あ、そうか」とちゃんと納得するのが青崎有吾であり、どこか不思議な世界観の中で考察の歩調を揃え、主人公とともに解き明かすのが北山猛邦だろうか。
櫻田智也、降田天、結城真一郎の作品はミステリーのあのゾクゾク感が味わえ、読後はすっきり。
物語の展開速度が程良く、好きな作家がまた増えてしまった。
投稿元:
レビューを見る
既読作品も含め、全部面白かった。最近気になり始めた芦沢さんは意外な展開で良かった。『スモールワールズ』で話題の一穂さんはイヤミスってわけじゃないのかな?青崎さんの風ヶ丘シリーズは単体でも面白い。京極さんの序文も良かった。
投稿元:
レビューを見る
【収録作品】「#拡散希望」結城 真一郎/「風ヶ丘合唱祭事件」青崎 有吾/「九月某日の誓い」芦沢 央/「ピクニック」一穂 ミチ/「夫の余命」乾 くるみ/「すべての別れを終えた人」北山 猛邦/「彼方の甲虫」櫻田 智也/「顔」降田 天
粒ぞろいで読み応えがあった。
「#拡散希望」YouTuber絡みの話。「トゥルーマン・ショー」を彷彿とさせる。こっちはブラックだが。
「風ヶ丘…」裏染天馬シリーズ。合唱祭での衣装喪失事件。
「九月…」異能もの。続編希望。
「ピクニック」祖母が預かっていた孫の死。虐待か。真実がわかると怖い。
「夫の…」叙述トリック。夫の浅薄さが鼻につく。
「すべての…」コロナ禍ならではの悪意。
「彼方の…」魞沢もの。人種差別。「被害者」より「加害者」に同情する。
「顔」地下鉄車内で起きた殺傷事件の「関係者」である高校生テニス選手のその後。連作の一編とのこと。
投稿元:
レビューを見る
珠玉のミステリアンソロジー。どれをとっても絶品です
お気に入りは芦沢央「九月某日の誓い」。少しばかり不思議な読み心地の物語で、ぐっと惹きつけられました。彼女たちの物語が今後どのようになるのかもとても気になります。
乾くるみ「夫の余命」にはやられた! というほかありませんでした。実はとてもシンプルな物語なんですよね。なので余計に、騙された感がものすごい。終盤になってから、それまでを慌てて読み返してしまいました。
投稿元:
レビューを見る
♯拡散希望
日常に刺激が欲しいあなたへ
コロナ禍で家でやることがなく、毎日を淡々と過ごし変化のない日常に退屈している人にオススメの一冊である。
主人公は子供が4人しかいない島に住む小学生。家が厳しく、携帯を持ってなく、ネットを観ることを禁じられており、ネットがない環境下で生活している。そんなある日1人の女の子が携帯を買ってもらい、他の3人の子供と携帯の機能で遊んだり、一緒にYoutubeを観て過ごした。この日を境に主人公の周りの人達の主人公たちへの態度が変わった。後には、主人公と親しい人物が殺されることとなる。
読んでいて素通りしてしまうところにも細かい伏線がはられており、読書後は、「あれってそういうことだったのか!? なるほど・・」と点と点が線になり、途中ではられた伏線が非常に綺麗に回収させる見事な作品となっている。
また、今の世の中で、主人公が携帯を持っていない、島のお話であることから、自分とは遠い世界のお話だと思って読み始めると大間違いである。ありえなそうでありえそうな話であり、いろいろと考えさせられる作品。
ただのミステリー小説といえど、インターネット、SNSが普及し、誰もがそれらを使い、投稿者に対して簡単に批判ができるインターネット、SNSの使い方に対して、疑問を呈しており、読者に考察の余地を残しているところも非常に面白い。
投稿元:
レビューを見る
待ち時間の読書
どんでん返しがおもしろい作品がたくさんだし、どれも短いお話で読みやすいんだけど、病院で読んだためか集中できずに2作でギブアップ。残りはまた今度読もうっと。
追伸
待ち時間が長く、ソファで読了。こんなにどんでん返しが多い作品集も久しぶりだ。最後まで気が抜けない緊張感が時間を忘れさせる。ただ、少し凝り過ぎではないか? どんでん返しを意識しすぎて、本筋が甘くなりすぎる気がする。贅沢な感想かな。