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世界史の裏にはアルコールが絡んでいる、という視点が面白かった。
護衛が二日酔いだった、戦地で酔っ払ってた、とか。
今起こっている出来事も…?
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1000万年前から始まる、お酒と人間(主に為政者や軍の指揮官)にまつわる様々な失敗や成功のダイジェスト版。世界史をよく知らないので、古い時代の話は登場人物も多くあまり理解できなかった。
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酔っ払いが変えた世界史
~アレクサンドロス大王からエリツィンまで~
著者:ブノワ・フランクハイム
訳者:神田順子、田辺希久子、村上尚子
発行:2021年8月15日
社原書房
とにかく悪文だった。読みにくい。箇条書き的な内容を普通の文章にしているため流れがなく、中身がバラバラで分かりにくい。括弧書きでの補足が多くてそれが異常に長い。ウィキペディアにありがちな素人文章。恐らく原文も翻訳も悪いのだろう。
内容としては、良くも悪くも酒が好きな故に多少なりとも世界史を変えてしまった21の事例について紹介している。古代の話から始まっているので、最初は面白くもなんともない。古代の暴君のような権力者が酒癖悪くて国を滅ぼしたり人々を苦しめたりしても、民主主義がない時代だし、まあ、あるでしょう、ぐらいの感覚。あんまり退屈なので最後近くを読み始めると、これがなかなかに面白い。サブタイトルにもなっているが、例えばロシアのエリツィン大統領が酔っ払いだったことをリアルタイムで知っているので、現実感や臨場感もある。
最も面白かったのが、日本が日露戦争に勝ったのは、ロシア兵たちが酔っ払っていたからだったという話だった。これによると、日本が強かったわけではなかったようだ。
1904年10月14日に旅順に向けてバルト海を出たロシア艦隊(太平洋艦隊を加えて〝バルチック艦隊〟に)は、兵士の多くがアルコール漬けの百姓出で、船乗りの経験がなかった。また、海軍ではウォッカが毎日2度配給されたため、みんな酔っ払い。
見張りが漁船を見つけて発砲するとロシアがチャーターした船だったり、味方であるデンマークとイギリスの底引き網漁船に砲撃して撃沈させたりなど、めちゃくちゃ。また、航海中はアルコールをかすめ取るために他の船を襲撃。長い航海の末、1905年5月27日、対馬海峡で日本の連合艦隊に撃沈される。
一方、艦隊の到着を待つ旅順は、1905年1月に陥落した。その理由も酒だった。待ちに待った汽車が到着、弾薬と食糧が届いたと思い興奮して荷を開けると、1万ケースの箱はウォッカばかりだった。その時点で旅順にはウォッカが溢れていて、欲しいのは食糧だったのに。これを見て、司令官ステッセルは、日本の司令官に降伏の用意があることを告げた。ロシア兵からすると、日本兵は小さな器でサケを飲むだけなので、奪い取る価値がないという思いも、戦意が高揚しない理由だったそうだ。
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リンカーン大統領は、妻とワシントンの劇場で映画を観ているとき、彼のボディガードが劇場を抜け出して隣の酒場で飲んだくれていた時に、熱烈な南軍支持だった俳優にピストルで撃たれて死んだ。
マルクス主義はパリのカフェでマルクスとエンゲルスが酒盛りして話しが盛り上がった結果、生まれた。1844年当時、マルクスはパリで雑誌を発行していた。エンゲルスはマンチェスター(イギリス)にある父親所有の工場経営に携わっていた。エンゲルスがプロイセンに戻る途中、パリに立ち寄ってマルクスに再会、カフェ・ド・レジャンスでビールを痛飲、意気投合。妻が里帰り中の���ルクスの家でさらに飲み、ある手法を確立した。2人が議論した結果をマルクスがまとめ、それをエンゲルスが清書する、という手法だった。最初に出た『聖家族』で2人は注目される。やがて、『共産党宣言』『資本論』へ。
アメリカ独立戦争につながったボストン茶会事件は、酔っ払った偽インディアン(モホーク族に変装した植民地人)たちが船荷を海に投げ捨てて起きた事件だった。
JFK(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ)大統領は、女にだらしないことがよく知られているが、ダイリキとウイスキーをこよなく愛し、酒を片手に激務に夜遊びにと励んでいた。そんな上司を見てか、彼を護るSPたちも酒飲みで、ダラス暗殺の前日もかなり飲んでいたため、最初に撃たれた時の行動が実に鈍かった。彼らが適切に反応していれば、致命傷の2発目を浴びなかったかもしれない。
なお、JFKの父親は、禁酒法で財をなしたジョー・ケネディ。ダラスの暗殺事件真相の諸説の一つに、ジョーがマフィアに作った借りをジョンが払わされた、というものがある。
ニクソン大統領は酒に極めて弱く、2杯飲むとなにも覚えていないほどに酔っ払うが、それで止まらずどんどん飲んでしまう。1973年10月、エジプトとシリアが、イスラエルと起こした紛争において、ニクソンは酔っ払った末にデフコン(防衛準備体制)Ⅲに入り、核爆弾を搭載した爆撃機、発射態勢を取る核ミサイルなどを配備してソ連に対抗した。酔っ払って寝過ごしている間に、あやうく核戦争になるところだった。
1994年の第一次チェチェン紛争で、ロシアは大失敗。大晦日でドンチャン騒ぎしていると思い、1月3日に攻撃。ロシア側は酔っ払っている。しかし、相手は酒を飲まないイスラム教徒だった。
クフ王のピラミッドは20年かけて建設されたが、1日1万人が動員され(奴隷ではなく給料がもらえる公共工事)、毎日5リットルのビールが支給された。20年で3億6500万リットル。周辺に少なくとも1箇所の醸造所跡が発見されている。
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酒は人を変える。それによって失敗する人もいる。一般人の影響力は微々たるものだが、権力者となるとそうはいかない。
酔っ払いをテーマにした世界史とは面白い視点だな。決して教科書では取り上げない「黒歴史」満載だ。
古代ギリシアのアレクサンドロス大王は、深酒が原因で32歳で亡くなっている。宴会をよく開き、酒をあびるように飲み、徹夜も多かったそうだ。そんな生活を送っていたら体が悲鳴をあげるのは目に見えている。
イギリスとフランスの間で長い間、戦いを繰り広げたことで有名な百年戦争だが、ワインが転機をもたらす結果になったとは夢にも思わなかった。
1373年3月21日時点では、イングランド側に優位な戦況だった。森を横断しているときに、イングランド兵たちがワインの入った樽を運んでいる御者たちを追い払った。そして樽を割り、ワインを堪能した。
すっかり出来上がったイングランド兵の酔っ払いたちは、数時間後の戦闘でものに見事に使い物にならず敗北した。
酔っぱらいの影響は明治時代にも及んでいた。日露戦争(1904-1905)で日本は旅順を攻略して日本が勝利へと向かうこととなった。その原因はロシア軍が酒をガブガブ飲んでいたというから驚きだ。
当時のロシアは、ウオッカの値上げで販売商の数を増やしてその利益でもって戦争を行っていた。アルコールは国家の専売品だった。酒を求めていた人からすると戦いに行くことでしか酒をグビグビ飲めなかった。
酒で失敗する例は無数あるが、戦争の勝敗に関わるとは人間の心の弱さなのか。
これからも酔っ払いの世界史は人間が酒を飲み続ける限り永久に不滅だ。ただ、国家の大惨事を招くようなことはないと勘弁してほしいなあ。
そう言えば今日から緊急事態宣言解除で酔っ払いが増えるのかな。
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1000万年前から現代まで、酒が人を変えて歴史を紡いできたことをユーモア溢れる筆致で解説している一冊です。
この時、あの時、なぜこんなことに…という史実の裏に、アルコールの存在があったりなかったり。
素面と酔いの違いが歴史に大きく影響していることに、面白味と人間臭さを感じました。
庶民もお酒で失敗(又は成功)することがあるのですから、国の舵取りを担う指導者のそれにはアルコール度数と摂取量に比例した重みがあるのでしょう。
歴史の資料なのですが、お酒との正しい付き合い方を改めて考えさせられました。
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酔っぱらいが変えた世界史、というより、狂わせた世界史。権力者そのものの酔狂による判断もさることながら、権力者を取り巻く人々の、見えない酔っぱらいぶりが、歴史を狂わせている様子を描いているのが、面白い。
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世界史上の大きな出来事にはアルコールが絡んでいることを興味深く半分恐ろしく感じながら読んだ。
大事な判断をアルコール漬けの頭で行うとか、前日飲んでいて正しい判断ができない、とか、恐ろしい話だ。
アルコールが入った脳では正しい判断はできない。
それを逆手にとって相手を泥酔させて戦いに勝つとか、条約を結ぶとか、これまで学んできた歴史もどこまでアルコールの影響があるのか、邪推してしまう。
まさか原爆を落とす判断の時もアルコール入っていたんじゃないよね、南京大虐殺と言われるものは?あれは?これは?と疑心暗鬼になってしまった。
最近ではロシアのウクライナ侵攻、これもまさか?
本書の中のチェチェン侵攻の話を読むと今と重なる部分があって、怪しんでしまう。
アルコール恐るべし。
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<目次>
第1章アフリカ 1000万年前 ホモ・ノンベラスに遺伝子変異
…
第21章モズドク(ロシア)1994/12/31 グロズヌイ攻撃は、
ウオッカで大晦日を祝う宴席で決定された
フランス語の翻訳本
翻訳が最悪である。読みにくい、進まない、直訳、
つまらなくなる。3人の翻訳者が分担しているが、
どれも同じダメさ加減。
内容自体は、よいと思うが、とにかく読み進めれない。
残念である。
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フランスのジャーナリストの手による、世界史における酔っぱらいがやらかした出来事の記録です。
例えば、ボストン茶会事件の襲撃者たちは、酔っ払っていたせいで大胆になって本来予定していなかった積み荷の投棄をした、とか。(ボストンのグリーン・ドラゴン・タヴァーンはまだ健在だそうで、行ってみたい限りです)
あと、WW1のフランスの兵隊のワイン消費量、兵士1人、1日あたり3〜4リットルって、多すぎでは?とか。
こういった酔っぱらいエピソードが21章にわたって繰り広げられます。
冒頭で、「アルコールの摂取はヒトの進化を加速させた可能性がある。」「人間の遺伝子はお酒を好むようプログラムされている」というのは、ちょっと酒呑みの言い訳っぽい感じもしました(笑
18世紀末のパリ市民は、郊外だとワインの税金が安く、1/4の値段で飲めるということでみんな足を運んでいた、ということなんですが、これ、どっかに酒税特区作ったら日本でも観光振興になるのでは。(東京以外、って手もあるけど、自分で言ってて自殺行為ですね(笑))
本著を読んでいて感じた課題として、フランスの本を直訳するだけだと、良くわからないトコはあるなぁ…と。
例えるなら、日本人が日本人向けに書いた日本史の本で生麦事件を取り上げたとして、日本人なら「あぁ神奈川で起きた薩英戦争の遠因になった事件か」となると思うんですが、本著で「ブルボネ地方」とか、パリの門や通りの名前がサラッと書かれているのは、まぁ固有名詞として流せば良い話ですが、ちょっと引っ掛かる感じがありました。
(「シゼの森」はカッコ書きで解説がありましたが。あと、「スクーナー」もサラッと書かれてましたが、帆船の種類だってググって判明)
酔っぱらい話としては、他に類著があるのでそちらをまずオススメしたいなという感想です。