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2021-09-26
ほぼ一気読み。不出生主義についてざっくり知るには最適の本。なるほど、そういう事か。ある意味徹底して論理的だし倫理的。
結局、「何に価値を認めるか」ということなのかもしれない。その価値を他者に押し付けるのは良くないとしても、価値を共感してくれる(かもしれない)と期待して新たな存在を生み出すのは是が非か。
不幸の回避と価値共有の期待では、どちらがより重要か。
まだまだ考える価値はありそうだ。(あ、ここにも価値が)
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めちゃ面白かった。魔王が課した「人類は滅亡すべきかどうか」という問いを人類代表の主義主張の異なる10人の登場人物が議論していく会話劇。中心となる主題は「反出生主義」。文字から推測できる通り、「人類を生まれてくるべきではないとする思想」のこと。善悪や自分の思想の前提としていること、道徳のことなどを整理しながら、でもすらすらと読める名著。
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初めは反出生主義の考え方に拒絶反応を起こしていたが,ブラックの論理的な説明によって理解が深まり,議論する余地が自分の中に生まれた。
最近の親ガチャという考え方と結びつくと恐いなと感じた。
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魔王が誕生し、人類を滅亡させる使命がある。しかし、なぜ滅亡させないといけないかが納得いかない魔王は10人の人間に滅亡させるべきが存続させるべきかを話し合うようにさせる。楽観主義や悲観主義、利己主義者など様々な視点から議論が展開される物語。
人類滅亡という重い内容のように感じるのに表紙が可愛いキャラクターのギャップに惹かれた。
とても面白かった。感情・倫理・概念が入り交じり結論がなかなか出ない。しかし、最後には納得の結論で、とても気持ち良く大事にしたい考え方が詰まっていた。
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主義主張の異なる架空の10人が議論する形で、反出生主義に理はあるのかどうかを考えた本。
これを議論と呼ぶか対話と呼ぶかはわからない。しかし非常に哲学カフェっぽい。根拠の根拠を問うているうちに話が脱線気味になる点も哲学カフェっぽい。ただ、現実の哲学カフェではこんなに理路整然とした議論にはならない。
読みやすい文章なのでスイスイ読めるが、本当に自分が腹の底から議論を理解しているかは怪しい。時間をかけてじっくり読むべき本だろう。この議論の中心となるのが反出生主義を唱えるブラック。ブラックは論理的で筋が通っていて強い。ブラックは自分の考えを言語化してくれていると感じる一方、それに反発したい自分もいる。ブラック以外の人達が押されていて、一緒にブラックに反論したくなる。
先日話題になった親ガチャとも繋がる話もあって興味深かった。しかし話が宇宙にまで飛ぶのは行き過ぎではないか。宇宙の始まりではなく、猿が二足歩行始めたあたりが問題なんじゃないか。今続いているものを将来も続けるかどうか?という点で、保守とリベラルの対立もこの議論と無関係ではないと思う。
最後までブラックが議論の中心だったけど、最終的にグレーが風穴を開けた印象がある。自分の中にはいろんな意見を持った自分、ブラックやグレー、イエローもブルーもゴールドもいる気がする。ホワイトはあまりいないけど、それは弱さだと思った。
高校生くらいからの哲学、倫理学の教材としても良い一冊。著者は結構書くの大変だったろうけど、テーマを変えればこの体裁の本いくつか出せるのではないか。
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反出生主義、というものがあることを知った。生まれることや、生むことを否定する考え方。突飛な考えだけれど、話を読み進めると確かに一理ある気がする。反出生主義について、もう少し知りたいと思わせてくれた。
ただ、「人類を滅亡させるべきか」について10人の人間が議論を交わしていたけど、なんか話が行ったり来たりして、たまに読むのが疲れてしまった。
物語というよりも反出生主義をメインとした人間たちの議論。
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この本の面白いところは、各々の考え方や価値観は様々であり、理解は出来なくても認識する必要はあると言うことだと思う。
その上で自分が信じるものはなにかは、個人の数だけあるし、それでいいと思う。
テーマが反出生主義だから、難しい会話も出てくるけど、「食わず嫌いは悪なのか?」でも成立する様な気もする。そうだとすると、やっぱり面白い。
何が正義で何が悪か、何が道徳的なのか、など全て堅苦しい教養の内容ではあるけど、好みの人には刺さると思う。
私自身は色んな価値観に触れる事が好きなので、理解は出来なくても、10人の考え方が知れてとても充実した内容だった。
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とてもおもしろかった。
反出生主義という概念を耳にしてから、ずーっと気になってた。
とりあえず入門というか、本書は読みやすそうな感じがして今の私にぴったりだった。
で。
読む前のわたし
「反出生主義は感覚的に受け入れ難い。かといって反出生主義者を納得させられるような生の肯定ができる気もしない」
読んだ後のわたし
「反出生主義の理屈がちょっと納得できた。しかし受け入れ難いことに変わりはないし、やはり納得のいく反論もまだできそうにない」
反出生主義の主張の根拠について一定の理解はできるようになったが、賛同には至らない。否定するのも難しいまま。つまり読む前の状態とはあんまり変わっていない。でも、おもしろい。
自分の思考の凝り固まっていた部分とか、考えてもみなかった前提の脆さとか、それらがどんどん提示されていきなかなかスリリング。
「反出生って、結局は自分が苦しいってことじゃない?……でもそれだけではここまでのちょっとしたムーブメント起きへんよなぁ、なんか理屈あるんやろな」と思っていて、その理屈の一端を理解した。
それはざっくり言って「道徳を突き詰めると反出生に導くことが可能」というもの。意外だったような、なんとなく分かっていたような……。
本書は、それぞれ主義主張の異なる10人が「人類を存続させるか滅亡させるか」を議論する形で書かれた、小説である。論理を突き詰めて考えるのはなかなか大変だし、自分1人の頭で考えるとどうしても偏りがある気がする。だから議論形式で進むのはとても分かりやすい。(ただし彼らの言葉を素直に聞きながら同時に自分なりの直感や反論や猜疑の目を持つべきだろうなとも思う)
10人の内訳は以下の通り。
・悲観主義者
・楽観主義者
・共同体主義者
・懐疑主義者
・自由至上主義者
・相対主義者
・利己主義者
・教典原理主義者
・反出生主義者
・??主義者
??が何主義であるかは明示されない。
10人それぞれがそれぞれの結論を考えるので、結末まで読んでも、反出生主義がはっきり肯定あるいは否定されるわけではない(どちらかと言うと否定よりではあるけど)。後書きにおいて著者は、本書は反出生主義を考えるための補助線であるとしている。
これはやはり入門書ですね。
ここを入り口に、もっと骨太な哲学書、学術書を読んでみたいと思いました。
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「論理としての道徳の正しさ」も結局「人間であること」には勝てない。あまりにも”正しすぎて”気持ち悪い。反出生主義とはそういう思想なのだなと思った。ブラックさん生きづらそう。白か黒かじゃなくてグレーなバランス感覚を持ちたい。
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装丁は良かった。
作者の反出生主義に対する理解が浅いため、作中でこの主義を主張するブラックなる人物の説明が無理筋で、作中ですら論破されている始末。これをタイトルにするのは詐欺ではなかろうか。あらゆる主張の底が浅いので、執筆当初20代後半の作者には荷が重かったとしか言いようがない。
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幸せですか?それとも不幸ですか?
人に危害を加えてはいけないし、人を不幸にしてはいけない。道徳として当たり前のことだ。では、不幸になる恐れのある人類を生み出す行為、「生殖」は悪ではないのか?
「反出生主義」をめぐる10人の人間によるディベート本。道徳とは何か。発明と発見の違いは。善とは。悪とは。義務、権利。生まれると言うことを考えさせられます。
読めば読むほどに頭がこんがらがり、「うるせえ!」とイライラしながら読み切りました。
おすすめ・・・しません!
「いや、我がそうしたいと思ったからだ。」
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反出生主義?何それ難しそう…そもそも哲学の本とか読んだ事ないし………
そんな自分でも非常に面白く読むことが出来ました!!普通に小説を読むような気持ちで読めますし、これを機に哲学書とか読んでみようかなぁ、と素直に思える非常に良い本でした!!!
強いて言うならもっと読みたかったなぁ、、と。
あまりボリュームは無いので。でもそれが良いところでもあって、スッキリと読み易い内容になっているように思います。
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タイトルと表紙の通り、哲学本としてはかなりライトだしポップ。道徳とは何か、誰のためにあるのかという議題に大きくページが割かれていたことが興味深かった。出生が是か非かの話で道徳が論点になるのは、そりゃそうかとも思うし「それは関係なくない?」とも思う。
切口はポップだけど、読者に対して誠実であり、好感が持てる読み物だった。けれどちょいちょい太字で文を強調してあるのは嫌だったな。あと、横書きってのもちょっと好きじゃなかったです。
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反出生主義という概念にネットで初めて触れたとき、全く共感できませんでした。きっと私自身では一生思い至らない考え、まるで持ち得ない発想であり、すぐには理解することさえ難しかったのです。
しかしだからこそ、その主張をする人々がどういう思考・論理を持つのか気になり、興味本位でこの本を読みました。
結論から言って非常に面白く、読んで正解でした。
反出生主義がどのようなものであるか分かりやすく伝えながら、決して反出生主義思想のみに偏った内容ではなく、様々な主義の人物が登場し活発に議論します。
自分に近い立場はどれなのか考えながら読むのが楽しいです。
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反出生主義を題材にした小説。ほぼ会話のみで議論されていくのだが非常に興味深い内容。
哲学的な小説。
読み終わったあとの余韻が大きい。
面白かったです。