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過去の因縁でつながる人々に降りかかるドミノ倒しの悲劇。繰り返される惨劇。そして終盤のどんでん返し。
なぜか横溝正史を思い出した。
テーマが少年犯罪なので現代的なテイストになっているが、構造的には伝統的なミステリーだ。
本格ミステリーではなく、「人間関係ミステリー」。
横溝正史や松本清張に代表される「過去が復習に来る」恐怖。
文章が読みやすく、一気に読み進められる。複線で走るプロットも巧みに交差し、前半の伏線が回収されていく。ミステリーだがアリバイ崩しや密室ような面倒くさい謎もなく、自分のような読者には面白かった。
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私にも子供が3人います。
全員成人してるので、少年法の適応はないです。
私の子供達は犯罪者ではないですが、今後その可能性がゼロかと言えば分かりません。
私自身もそうです。
自分の子供が犯罪者になってしまった時、
自分が子供達に対してどうなってしまうのか
想像もできませんが、考えさせられる作品でした。
何が正しいのかは読み終わっても分かりません。
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読後、さまざまな事件の被害者家族の報道が、頭の中に浮かんできた。実名をさらされ、プライバシーに踏み込まれた被害者家族は、裁判で戦うことで、なんとか悲しみの中で生きていこうとしているのだと思えた。
主人公桧山の妻は13歳の少年たちによって殺害される。遊ぶ金欲しさの強盗殺人だ。加害少年たちが見つかるものの逮捕されるのではなく補導だという。少年法によって守られる加害者たち。マスコミに追われ、好奇の目にさらされる被害者。更生とは何か。贖罪とは何か。
児童自立支援施設を訪ねた桧山は、同じように何らかの事件を起こしたのであろう少年たちが、野球に興じる様子に怒りを募らせる。当然の感情だ。自分の大切な人がそのようなめにあったら、絶対に許すことはできない。では、加害者がどんな姿であることを望むのか。
被害者と加害者が複雑に絡み合う怒涛の展開で、ドキドキしながら一気読みした。立場が変わったり、相手のことを知ることで、考えも少しずつ変わってくる。
被害者が本当に赦してくれるまで償い続けるのが本当の更生なんだ、という桧山の言葉が作者の考える結論なのかなと思った。そして被害者側が置き去りにされている制度を改め、せめて被害者の心に寄り添い、被害者の心のケアを行うものであってほしいと思った。
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被害者遺族と加害者についての物語。
少年法についてと、更生とは何を持っていうのか、、、をすごく考えさせられました。
少年院で働く人たちは未来ある子供の将来を奪うなと罪を犯してしまった子供達を守り、桧山は自分の大切な人が同じことをされても、同じことが言えるのか?と。
貫井の『罪を犯した少年たちに教育を施すのは絶対に必要なことです。でも、自分が被害を合わせたり命を奪ってしまった被害者やその家族に対する贖罪教育とそれをきちんと被害者の方たちに伝えていくシステムがかけてるんです』
なるほどと同時に現実はどうなんだろう、悲しいニュースが多い中、現代はどのようになっているんだろう。。何も知らない自分は未熟だとも思った。
後半点と点が繋がって洋子の過去もわかり、まさかの犯人‼️後半は一気に読んでしまいました!
読み終わって、天使のナイフという題名がより胸が熱くなりました。
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ミステリーというエンタメとしても、社会問題と向き合う機会としても満足度が高く、つまり総合的に最高。
切なくもあり感動するなんて、読む前は想像もつかなかった。
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なかなか重いテーマで、読後スッキリとはいかないが色々考えさせられる小説だった。
二重三重に重なり合う事件に意表をつかれっぱなしだったが、最初に感じた違和感も見事に回収される。
スキのない物語作りなのだが、一点だけ納得できないのは相沢弁護士と祥子の因縁のくだりは果たして必要だっただろうか。あまりの都合のいい偶然に少し興醒めした。
あの挿話はない方が物語の真実味がより増すやような気がする。
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テーマが難しいのよ。
巻末の参考文献の量の多さが難しさを物語ってる。気がする。
被害者家族の気持ちも分かるし、可塑性うんぬんも分かる。なんなら加害者家族の気持ちも分かる。
ただこの主人公は少年を追ってる時点で、加害者が少年じゃなくても大して変わらなかったのではないか。
復讐心って本能の様なもんだと思うからゼロにするのは無理だと思うけど、短気であるべきだと思う。
復讐心を持ち続けるのは大いに不自然だと思う。
そしてこれを逆手に取る奴は極刑。
あとがきに、高野和明さんの「13階段」に影響を受けた的なことが書いてあったが、分かる。
似たような雰囲気を感じた。
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著者の薬丸岳が江戸川乱歩賞を受賞したのが本作品。
この著者の本は初めて読んだ。
少年犯罪という、重いテーマを扱った本作に興味を持ち、読んでみた。
読み終わって感じたのは、主人公の桧山の周りにいる人物が少年犯罪に関わっている。そのプロットがちょっと、出来過ぎなんじゃないの?と思った。
複雑に組み合わされたプロットと、ミステリーには、お決まりのドンデン返しは、なるほど乱歩賞を受賞するだけのことはあると、おもった。
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初めての薬丸さんでした。
面白かったです!
最後の最後まで、めくるめく展開で読む手が止まりませんでした。
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贖罪というものを考えさせられるとともに、
ストーリーの構造に感心する。江戸川乱歩賞はダテじゃない。
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すごくよかった、気付けばのめり込んで一気読み。あっというまに読了!
少年少女という理由で裁かれない法律、その法律は未成年加害者を「可塑性」を武器に守るけど、被害者を守ってはくれない。大切なものを失い、時が止まり、人生が終わったのに、終わらせた未成年の未来ばかりが大切にされる。だから連鎖を生む…。本当の更生とは?贖罪とは?
重いテーマと主人公の心情に胸が痛むと同時に、
ミステリー作品として出来上がりすぎていてページを捲る手が止まらない!これがデビュー作なんて、すごい。薬丸作品他にも読んでみたいな。
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3人の少年によって妻を失った男の話。
彼らは法によって罰されることもなく、彼らと法廷に立つことはおろか、彼らの名前も顔も知ることができない。
被害者の人権は守られず、まるて少年たちを守るためにあるような少年法に憤りを覚える男。「国家が罰を与えないのなら、私の手で殺してやりたい」と発言した数年後、少年のうちの一人が殺される。
===
少年犯罪というものに、運良く縁がなく過ごしてきた。どんな凶悪犯罪であれ少年少女の『可塑性』を信じ罪に問われないことの非情さを、被害者遺族の目線から書かれるところから始まるが、ただ一辺倒になることなく、物語の展開と共にあらゆる視点で「更正とはなにか」に真っ向から向き合っていく。
犯人が見つかり解決スッキリ!なんて全くしない。にもかかわらず、読後感はとても温かく、満足している。
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後半からの大どんでん返しというか何というか
とにかくすごかった。
夜1人で読んでいたので何故か背後がひんやり怖くなったが、どんどん読み進めてしまった。
結末を知った上でまた読み直したい。
1人を除いて登場人物全員に同情した。
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被害者と加害者の気持ちが細かく描写されている。
罪に問われない未成年犯罪者についても詳しくかかれているので面白い。