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《ホームレス、明日は我が身》
ホームレス支援の書籍は、著者が支援者のものが多く、それらはとても生々しい。この書籍はジャーナリストの藤田さんが支援者に同行して書かれたものである。同行していただけではなく「一緒に手を汚し汗を流す」場面は少なくなかった。だから支援者が感じる怒り、切なさ、悔しさに共感している。そして少しだけ後ろから見て感じたことを冷静に取り上げている。
ケースワーカーは「悪」と取り上げられることが少なくないが、人員が不足している、多くの人が行きたがらない部署である、前線にいるのは非正規雇用のワーキングプアであることを冷静に見ている。現場だけが悪いわけでなく『政治』に大問題があるのだ。
SNS闇金は許せない存在だ。自分が貧困状態になるとは思っていなかった人たちが、コロナ禍で一気に転げ落ち、SNS闇金の犠牲者になってしまう。考えれば分かる、調べればわかる、そんな冷静さを失う状態を生み出しているのがコロナ禍だ。
ハザードとは「災害」の意味だ。支援者が「被災者」との待ち合わせ場所で待つ車のハザードランプは、生活が苦しくて死ぬ一歩手前の人にとって、希望の光に感じているのかもしれない。手を差し伸べ、心に寄り添う支援者の生きざまに憧れる。命の使い方として最高だ。
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最後のセーフティネットと言われる生活保護。小生は、仕事柄それらの人々と関わることが多い。 皆病気持ちであるが、十分働けそうな人から、働けそうにない人まで様々である。医師として、働ける旨記載する欄があるが、それが採用されて、保護が中止になった例は見たことがない。なので、この本を読むまでは、生活保護に頼るのはさほど難しくないのだろうと思っていた。
この本の内容はケーススタディが集まったものになっている。驚くことに、いかに生活保護を取得するのが困難であるか、取得したとしても無低と呼ばれる無料定額宿泊所に入らないといけない自治体が多いとのことだ。アパートの一室に数人で住まわされ、プライベートも全くなく、お金管理も自分で許されない。このような宿泊所は、ドヤ街の悪徳ブローカだけの問題と思っていたが、行政側も黙認というか、必要悪としているようだ。要は、行政も忙しすぎて、手が回らないのだ。社会福祉法で定められたケースワーカの配置基準を満たしていない自治体は7割もあり、そのケースワーカーも日雇いだったりする。斡旋するアパートがない、アパートを斡旋すると、敷金、礼金も補助せねばならず、無低の方が迎えにも来てくれるし、行政にとってもコスパが良いのだ。小生の患者には、このような環境下の人は「多分」いない。
では、対策はどうすれば良いのか。残念ながら、本書には具体的には触れられていないので、小生として考えてみた。
1 ベーシックインカムの導入
生活保護に頼りたくないという、頑張る人ほど、路上暮らしを選択していることが本書にも触れられている。マイナンバーで紐付け、国民に一様に給付を行う。高額所得者には、給付を行った上で、所得税で調整を行う(多く税金を支払ってもらう)。
利点
役所の仕事が簡潔になる。生活保護費は1/4が自治体、残り3/4が国の負担となっており、役所としても生活保護を簡単に受けられないようにしているのが現状。国や都道府県は「監査」を行い、より生活保護支給が少ない自治体が優秀とされる。
扶養照会による(三親等)、家族内のトラブル回避。扶養紹介によって、扶養することになった事例は0-0.4%。誰の得にもなってない。この結果、2021年3月の厚生労働省通知で、本人の意向を確認すれば必須ではなくなった。
今の生活保護制度では、働いて賃金を得れば保護費が減るため、働く意欲をなくしている。働く分だけ、自分の所得になれば働く人が増える可能性がある。
例えば、岡山市の30才ひとり暮らしであれば、112840円/月もらえる。(計算式はhttps://seikatsu-hogo.net/city.php?pref=岡山県&city=岡山市#result)所得税、住民税、医療費、国民年金も無料で、病院にいく場合の交通費も支給される。年収に換算すると、少なくとも手取りで約150万くらいになる。税金(所得税、住民税)、国民年金、国民健康保険などを勘案すると働いている人の年収180万くらいに相当する(これは詳細な計算未施行でだいたいの数字)。働いている人と生活保護受給の人の逆転現象が、かなり発生している。これに医療費が加わると、生活保護の人であれば受けられる医療が、低所得者であるために受けられない現状がある。
生活保護受給者は、一緒に住んでいても(住んでないような形になっているが)内縁の関係の妻、夫であることが多い(あくまでも小生の所感)。そうなると、二重所得で、年収300万というのもあり得ない話ではない。
上記逆転現象のために、生活保護は受けたくないという気持ちや、生活保護受給者への社会的バッシングが発生しており、一律支給でこのようなことがなくなるのではないか。
問題点(→対策)
生活保護を受けている人は、もらえる金額が減る。→家賃補助で調整
財源が足りるのか。→コロナ対策の逐次投入よりも財源はシンプルにできそう。これは詳細に検討が必要であるが。
生活保護の基準ってそもそもなんだという根本の問いに向かう必要あり。働きたくても働く場所がないコロナ禍では、多くの人が生活保護以下の生活を強いられている。
2 病気になったら病院へ入院する
これはあまり知られていない方法かもしれない。今まで国民健康保険を払ってない人でも、病気で入院になると、ソーシャルワーカーが行政に掛け合ってくれて、生活保護支給が開始になる例がある。扶養照会の問題が発生することはあるが、多くの人は、孤独で親族とは音信不通となっている。
残念ながら、全例この方法でうまくいく訳でない。何らかの依存症、コミニュケーションが取れない、暴力的など問題のある患者は、そのまま退院となる(たとえ、病院側が住所ないことを把握していても、なす術がない)。
3 空き家や空きアパートを行政が買い取るシステムへ
これから多数出ることが予想される空き家問題。これを行政管理として、生活保護受給者の住宅にする。
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ルポとしての力強さはない
むしろ弱々しい
SOSの連絡を受け困窮者を支援するネットワークに密着取材
コロナ禍以前からあったとはいえ、今の社会に未来を描けない人々がいる
実際にコロナ禍以降での落ちるところまで落ちた者たちには、女性も多い
ぎりぎりであえぐ者、怒ることもしない者、福祉事務所が避けられるのは、などなど死をも覚悟できればその方がマシなのかも
でも生きていれば
という言葉で締め括られる