紙の本
もの凄い取材力
2022/02/28 17:44
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投稿者:東京のSS - この投稿者のレビュー一覧を見る
角川春樹を今取り上げる。面白い。角川さんは辛口の人だが、この本は著書の愛を感じたと言い切ってました。父親、弟との確執はあったものの、角川書店を大手にしたのは、間違いなく春樹さんだ。文庫のカバーを派手にして、帯を発明したのも彼だ。メディアミックスで映画、本、音楽を盛り上げた。読んでから見るか、見てから読むかとキャッチコピーも素晴らしかった。主役も素人からオーディションで選ぶ。ある時期、超人的に活動したのも事実。言動が霊的な発言も多い為、胡散臭さもある。また昔は、逮捕、収監もされている。
毒にも薬にも成らない奴が多い中、行動も言動も面白いし痛快だ。
是非購入して一読すべし。
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角川春樹さんの今までを
本人インタビューで綴るドキュメント。
角川映画を仕掛た意味や、収監そして癌を患い、そこからの再起など、この人の精神力には誰も敵わないのでは無いかと。
一気に読みました。勇気付けられました。
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敗れざる者出版と映画と俳諧と民俗学のカオス
富山市水橋という原点
「四月八日」は出所の日
少年時代(~二十二歳)
編集者時代(二十二~三十三歳)
映画プロデューサー時代(三十四歳~)
俳人と映画監督の間(四十歳~)
収監そして復帰へ(五十一~六十二歳)
麻薬事件の真相(51歳)
最初の収監(51〜52歳)
獄中での屈辱
保釈で出所する(53歳)
出版社「角川春樹事務所」設立(53歳)
監督復帰作『時をかける少女』(55歳)
/七畳一間、風呂なしの部屋(56歳)
二度目の獄中生活(59〜62歳)
反省も更正もしなかつた
出所(62歳)
刑務所体験がなければ作らなかつた
瀬島龍三の涙
興行的惨敗と観客の変化
映画と観客の距離を感じた
最後の監督作品
沈黙の10年(67~78歳)
細部に神が宿る
死者を背負って生き
甘美な人生がここにある
それでも敗れざる者
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この前に読んでいたのが文春文庫の正力松太郎の評伝「巨怪伝(上)」であまりの濃厚濃密濃縮っぷりに(下)に行く前に、いったん休憩、とエスケープしたのが本書。出版社にいる友人に、最近、面白かった本として勧められたので手軽に手にした訳なのです。ところがどっこい、本書も相当に波瀾万丈なのでありました。なにしろ、びっくりなのは正力、角川、共通するのは富山をルーツとすること。「越中強盗、加賀こじき、越前の詐欺」という言葉に表される越中出身者の荒ぶるバイタリティも時代は違えども繋がっていました。そして富山の米騒動が角川生家の商売である米問屋をスルーし、警視庁正力は徹底的に弾圧した、という妙な偶然も、それぞれに大衆の欲望との向き合いがそれぞれのビジネスの本質であることを表しているような気もします。いや、正力は置いておいて、角川春樹の人生は、彼が仕掛けた映画を進行形で受け取った世代としては「わかるわかる」と「えーそうだったの」の繰り返しで満喫の一気読みでした。中川右介「角川映画 1976-1986」を読んでいたので下準備は出来ているつもりでしたが、本書の著者の伊藤彰彦のインタビュアーとしての知識の幅と問い掛けの深さは半端なく、角川春樹360°評定決定版みたいな本です。「最後の角川春樹」という書名、正解かも。下世話なネタとして「スローなブギにしてくれ」で南佳孝を起用したのは当時、付き合っていた安井かずみの影響というのも「うわー」だし、映画監督角川春樹と俳人角川春樹を不可分とし、「情念」と「エンターテインメント」の融合による破綻と矛盾を角川映画の本質とする指摘も「うわー」でした。でも一番の「うわー」は裁判と収監の歳月…でした。なんなんだ、この強さとナイーブさは…最後まで大人にならない少年、それが最後の角川春樹なのかもしれません。そんな人物像を引き出した著者は、なんとこれまた名著「映画の奈落ー北陸代理戦争事件」を書いた人と、最後で知りました。
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出版人として稀有な存在であり、映画プロデューサー、監督としても名を馳せた人物、そして俳人としても評価される角川春樹の一代記。ノンフィクション作家への語り下ろし。
角川氏は、ご存じの人も多いと思うが、麻薬の所持などで逮捕、収監されたことのある人物で、毀誉褒貶相半ばするような男である。
しかし、というか、だからというべきか、この一代記は滅法面白い。
彼がかつて率いたKADOKAWAは、今は出版社の大手で売上、純利益ともに3本の指に入る。しかし、かつてはそうではなかった。講談社、小学館、集英社、文藝春秋などに比べ、とても小さな会社だった。それを、小説の映画化などで大キャンペーンを仕掛けて、ベストセラーを連発。業界の寵児となっていく。
メディアミックスも、文庫に目を引くカバーや帯をつけることも、今ではどこの出版社もやっていることだが、すべて角川氏が始めたことと言っていいだろう。
角川氏の逮捕後、KADOKAWAは弟が引き継ぎ、角川氏とは無縁の会社となった。角川氏は別の会社を作り、そちらも成長させている。
逮捕後は目立たなくなったように感じていたが、さまざまなジャンルの小説を仕掛け、成功させていることがわかる。
法を犯して捕まったことは評価などできないが、その後の働きぶりは評価できる。
書籍の編集者はもちろん、角川映画を見てきた人にも面白い作品だろう。
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良くも悪くも角川春樹さんの作ってきた本や映画に影響されて育ってきた世代。
角川春樹さんのことは、もちろんメディアを通してしかしらないが、あの一見こわもて、文人らしからぬ風体から、あまり好んで知ろうとは思わずにいた。
しかし、この本を読んで、かなり印象は変わり、その筋を通した生き方には敬服。
見た目で、イメージだけで判断してはいけない、と今更ながら思わされた。
著者の伊藤彰彦さんは角川春樹さんに関する過去の著書、インタビューや関係者の証言など、徹底的に調べ上げていて、まさに博覧強記。
とにかく、角川春樹という人を知るにも、角川春樹が生み出してきた書籍や映画について知るにも、その時代の文化を知るにも、第一級の資料だと思う。
そして、この国のありようもよくわかる。
多くの人に読んで欲しい一冊。
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角川春樹といえば、角川映画と文庫本のイメージとあと覚醒剤。
この本は膨大なインタビューから成る、多分収まりきれなかった数々に逸話もあるんだろうな。
渋谷で200人相手にひとりで闘ったエピソードや硬派だったのがある時から女性をとっかえひっかえで結婚歴が6回?だったかな。(安井かずみとも関係があったのには驚き)
70歳で再婚して子どもまでもうけてたのね。
父親(源義)との確執。
覚醒剤は所持してたのは事実だけど、会社にお金は手をつけなかったので、全部否認したら実刑になったとか。
うーん、とにかく自分に嘘は付けなかったんだね。
覚醒剤は、持ってた時点でアウトだと思うけど。
松田優作とも懇意で彼は伊丹十三を認めてなかったとか、
大林宣彦から”原田知世は、天才ですよ”という手紙をもらったことや、いろんなエピソードがてんこ盛り。
吉本隆明は彼の俳人としての才能をかっていたらしい。
俳句は死ぬまで作り続けるってあった。
句集、読んでみようかな。
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今後こういう人は日本から出ないだろうなと思わされました。
一代記で日本のエンタメ史を、一面とはいえ、さらえてしまう。そんな人はいないでしょう…。まさに狂気です。
また、宮司だったと初めて知りました。
信仰に篤く、民俗学やノスタルジーへの共感がある。「エンタメの人」というイメージが強かったので、角川氏の多面性に翻弄されたインタビューでした。
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私の青春時代と共に駆け抜けた角川映画…
波瀾万丈の角川春樹氏の人生…
その生い立ち、才能、行動力…大変感銘を受けました。
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かなり贔屓しているしている内容だが、出版を変えた歴史を時系列に知ることの意義は大きい。マーケティングのヒントになると思う。
映画と本の違いはかなり参考になった。
某出版社の社長さんの言動はこの人の影響が大きいと、改めて気付く若手も多いと思う。
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P139
『悪魔が来たりて笛を吹く』のとき、コピーライターの糸井重里に依頼しましたが、糸井をもってしてもインパクトのあるコピーができなくて、宣伝部員が考えた「私はこの恐ろしい小説だけは映画にしたくなかった」と横溝正史が言う広告を窮余の一策で採用しました。『人間の証明』の「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね」から始まる西条八十の詩(『帽子』)、『野生の証明』の「お父さん、こわいよ!何か来るよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」というコピーは上手くいきましたが、どのように宣伝で一般の方々に映画を観たくさせるかということは至難の技です。
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東京五輪のスポンサー選定をめぐる贈賄疑惑で、KADOKAWAの角川歴彦社長が逮捕されたから読み出したわけじゃなく、向こう3ヶ月分の積読本の順番がこの度とたまたま重なる。
本書は、創業以来文芸路線をひた走り、海外文学作品においても通を唸らせるラインナップをしていた角川書店。
その創業者であり実父の角川源義との長きにわたる諍いを経て、1975年二代目社長に就任するやエンタメ路線に大きく舵を切った角川春樹。
たちまち破格の構想力と行動力で一躍時代の寵児に。そして二度の服役と社長解任からの再起…激烈な半生を、2年間・延べ40時間を費やし、インタビュー形式で語るオーラルヒストリー。
70年代半ばより世に角川春樹を知らしめた『角川商法』。今ならコンテンツを所有する会社が映画業界に進出しても何ら不思議はないが、当時は『餅は餅屋』の時代。
既成認識を蹴散らし、自社が発行する小説を原作に映画を続々と製作。アジテーション風キャッチコピーを大量の広告宣伝に乗せ、来館誘引策として文庫のしおりを割引券にする、宣伝と販促を巧みに組み合わせたメディアミックス。戦略はズバリと当たる。
忘れさられていた作家 横溝正史を復活させ、森村誠一の社会性とスケール感のあふれる証明3部作や半村良・大藪春彦・片岡義男・赤川次郎らの作品を次々に映画化。
本書は、1976年『犬神家の一族」から2021年『みをつくし料理帖』までの映画製作に紙幅は割かれ、松田優作・渡瀬恒彦・薬師丸ひろ子・市川崑・大林宣彦・相米慎二・藤田敏八・崔洋一らとの関係を仔細に語り、文芸分野では吉本隆明・中上健次・北方謙三との熱い交流、もちろん実弟 歴彦氏との相容れない関係も生々しく語り、中には安井かずみと付き合っていたとか…赤裸々に坦懐。読みどころは、麻薬所持での2度の収監と屈辱の日々の語りはドキュメント感ありあり。
角川春樹の真骨頂はプロデュース能力。CMディレクターの大林宣彦を監督に抜擢、片岡義男の作品には南佳孝のサウンドが合うとにらみ、三国志を読んだことがない北方謙三には北方三国志を書けと命じ、みをつくし料理帖の作者 髙田郁を発掘…目利きの鋭さが際立つ。
優れたCMプランナーは一見奇想天外と思えるアイデアも後々分析するとマーケティング的にも優れ、アイデアとマーケティングが円環を成しているが、それと同じ匂いを感じる。
何としても触れておかないといけないのは、本書を疾走感のある半生記に仕立て上げているのは、著者の伊藤彰彦氏。この方の存在無しではこの企画は成立しなかったと断言できる。
時代劇評論で健筆を振るう春日太一と、インタビューアーとしては無双感を醸す吉田豪を合体したような印象を受けた。
伊藤氏からは聞きづらいことにも斬り込む強い覚悟を感じ、何よりも多面な顔を持つ巨魁 角川春樹に立ち向かうべく、出版・文芸・映画の知識は言うまでもなく、それに加え宗教・俳句・民俗学等の知識と素養を有することで、貴重な証言や裏話は引き出す、博覧強記ぶりと周到な準備には舌を巻いた。終始、ゴキゲンに語る角川春樹の姿が立ち上る。
インタビューの最後に語った『紙の���物と町の本屋を守る』という言葉に、表題の『最後の角川春樹』は反語的用法⁈と思ったほど、ますます意気軒高を通り越し『角川春樹、不死身説』を唱えたくなった。
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話半分に聞かねばならない部分もあるかもしれないが、
インタビュアーが相当な下調べを経て質問しているので、
そんなに(少なくとも角川春樹から見た)事実とはかけ離れていないのだろうという印象。
角川映画を知っていればいるほどのめりこみそうなノンフィクション。
個人的にはもう少し、幻魔・カムイ以外のアニメ映画の話が聞きたかった。
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『人間の証明』、『セーラー服と機関銃』…活字と映像を交錯させて、表現の力で社会を揺り動かした戦後最大の出版人、その魂の軌跡。
ロング・インタビュー。自らの監督作品への言及が興味深い。
「五月の七日間」への言及が2冊続いたのは、偶然にしては出来過ぎ。