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八十四日後、満願の日。
箸(おはしさま)が願いを叶えてくれる。
祝いだろうが、呪いだろうがーー
恐怖小説の匠・三津田信三が描いた怪異が、
海を超え、伝染し、やがて驚愕の真相に辿り着く。
日本・香港・台湾の人気ホラー&ミステリー作家が競演!
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三津田さんの新作と聞いてみたら、まさかの海外の作家とのリレー小説。
翻訳本が苦手だったのでかなり読むのに苦労しましたが、第四章で話の構造が分かり始めてからはスラスラ読めるようになりました。読んでいるときは第五章の展開が好きになれませんでしたが、あとがきを読んでリレー小説で苦労したことが分かると好きになれました。
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三津田信三氏の短編『おはしさま』をスタートとする、日本・台湾・香港の作家たちによる箸をめぐるリレー小説。
日本を舞台に箸を用いた儀式を描くホラー短編から始まり、台湾の道教信仰を題材とした青春ストーリーや、香港の若者たちが事件に巻き込まれるサスペンスに発展し、そこからそれらの話の後日談と前日譚に至り、それが『おはしさま』の儀式のそもそもの由来を探るファンタジーアドベンチャーにて結末を迎える筋書きがダイナミックであり、それぞれの作家たちの手腕の凄さを感じさせられた。ゾッとする展開にハラハラした一方で、もう一度通して読みたくなるようなどんでん返しを迎えるなど、とても楽しめた。
また表紙イラストもとても美麗で不穏な雰囲気を醸し出しているのがとても素敵だ。
国境を超えて作家たちをコラボレーションさせてくれた方々にも感謝したい。
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三津田信三さんの不穏なホラー短編『おはしさま』を皮切りに、四名の台湾・香港作家が共演するリレー小説(競作っぽい)。独立した複数の物語が、後半の作品では繋がりが整理され謎が解け、そして、ミステリ、ホラー、SFまで含んだエンタメに発展する。怖さという意味では、最初の三津田信三さんの『おはしさま』がピークになってしまっていますが、一つの怪談から発想して発展させる各作者の手腕は見事。
自分的には2021年に読んだ中で一番のヒット。内容も面白いし、アジア作家のホラーや幻想小説をもっと読みたいという欲求を引き出してくれて、世界が広がった感覚がありました。
リレー小説としても面白いし、五作ともそれぞれ独立しても、すごくよい出来。
特に二作目の薛西斯『珊瑚の骨』は好みで、幻想的な雰囲気と謎の余韻が素晴らしく、なんといっても登場人物(探偵?)が魅力的で、後ろの作品にも出てくるのが嬉しい。
夜透紫「呪網の魚」ネットの都市伝説を扱う現代的な作品。毒殺事件ミステリに怪異と。
瀟湘神「鰐の夢」ここまでの物語を、登場人物らの関係性までしっかり関連付け整理して、ミステリとしても怪異としても、きれいに見事に解決を図る。あと出しで作っているはずなのに、ああ、こういうことだったのかとなるのは面白いですね。
陳浩基「魯魚亥豕」は、前の話で完璧に完結してしまっていてどうするのかと思ったら、外伝に逃げずに、なんでもありの伝奇ホラーSF的なエンタメに拡張してきました。面白い。
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日本・台湾・香港のリレー小説がいい感じにカオスです。共通するテーマを盛り込みながら各国の作家さんが趣向を凝らし、驚愕のラストへ・・・
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三津田信三先生のTwitterで知る。
サイン本は買えなかった!
これがきっかけで台湾、香港の翻訳小説を初めて読んだ。宗教や土俗的なところは似ているところが多く、想像しやすい。歴史や名前が出てくるところは新鮮だけど。
和製のじっとり忍び寄る怖い話、人の感情を繊細に描写して人間ドラマも楽しめる話、サスペンス、ミステリーの要素があって誰が黒幕かとハラハラする話、神様がしっかり登場する冒険劇のような話と、色んな要素を楽しめる。箸をキーワードにしたリレー小説で、前の小説を読んで次の作者が書くので少しずつつなぎ合わさっていくワクワクもある。
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日本・香港・台湾の作家によるホラーミステリのリレー小説。箸を使ったおまじないの「おはしさま」。それはただの都市伝説なのか、それとも呪いなのか。なんともおぞましく恐ろしい作品、と思って戦々恐々の心地で読み始めましたが。
まず「おはしさま」。これは文句なく怖いです。嫌です。いや、好きなんだけど。一番短いのに一番恐ろしさは強烈。さすが三津田さんです。
続く「珊瑚の骨」は、切ない青春小説のような読み心地だし。「呪網の魚」は都市伝説を用いたミステリ。「鰐の夢」では今までのあれやこれやが繋がってきた感があって、たしかにこれで完結してもよい気がしました。ならば続く最終章でこれはいったいどのように着地するのだろう、と思いながら最後の「魯魚亥豕」を読むと……うわー、何これ! まさかこんな楽しい物語になっちゃうだなんて! ホラーではあるのですが、少しばかりコミカルで、そして驚かされる物語でした。文さんが素敵だなあ。
とはいえ、本質はどれもホラーミステリなので。ホラーミステリ好きにとってはひとつの物語でこれほどまでに違うテイストを味わえるとは、と感激するばかりでした。どの物語もきちんと繋がっているけれど、それぞれ単独の作品としても読めそう。なんだかとってもお得な感じの一冊です。惜しむらくは中国の伝承や神話のようなものに馴染みがないところだけだけど。それも欠点になるほどではないかな。
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終盤のファンタジー展開に呆然。冒頭の三津田氏のじめじめした怖さとまったく別次元に行きついてしまった。まあ一応ちゃんと話にオチはついていたし、このくらい暴走していた方がリレー小説の醍醐味が発揮されているという気もする。