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・テーマ/世界観 ★★★★★
・背景描写 ★★★★★
・キャラクター ★★★★★
・インパクト ★★★★★
・オリジナリティ ★★★★
・テンポ/構成 ★★★★★
・文章/語彙 ★★★★
・芸術性 ★★★
・感動/共感 ★★★★★
・余韻 ★★★★★
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中学受験を舞台とした母親と息子を描いた小説。
中学入試問題によく出題される作者が描いた家族ドラマですが、むしろ中学受験性には読ませられないくらい、親の葛藤がとてもリアルに描かれています。
たしかに、この小説の親は不安定だし、自分の子どもが「何をしたいか」を気にかけているように見えつつも、息子が他人の子供よりもいかに優れているか、またそれを他者から指摘される(褒められる)ことで自分の承認欲求を満たしているところも見受けられ、読者からは反発されるだろうと思います。とはいえ、これがある意味で「リアル」な親の姿なのではないかとも感じます。
息子も、「親の期待にこたえたい」とズルをしてしまったりストレスに押しつぶされそうになったりするなど、読んでいてつらい時もありました。
「子どもの意思を尊重することが大事」ということはわかっていますが、やはり小学生にすべての選択をさせることが「易きに流れる」ことにもなりかねないとも思いますし、改めて子育ての難しさを感じます。
自分自身が中学受験をしたこと、その過程で親や塾の先生に叱責されたことや、親に隠れて勉強をさぼったり、はたまた偏差値で友人のランク付けをしたり、「あいつには負けたくない」と対抗心を燃やしたり嫉妬したりしていたことを思い出しました。
振り返ってみれば、中学受験を経たことは(当時はそれなりにストレスをためたこともあったのでしょうが)自分のなかでは「よかったこと」として残っています。
息子にも中学受験を経験してもらいたい、とは思っていますが、果たして受験に向いているのかどうか、とうことも先々考えなければなあ、と思うところです。
受験を考えたときには、また読み直して、家族としてどのような姿勢で中学受験に臨むべきなのか、改めて考えたいと思います。
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中学受験を母親の視点で描いた作品。
中学受験は益々過激さをましているようだが、高校受験、大学受験と異なるのはその主導権が親にあることだろう。
多分誰もが、中学受験へ何気ない一歩を踏み出していくのだが、ゴールまでの長さ、そこに費やされる精神的、経済的プレッシャーは並大抵ではない。
また受験する当事者である子供の成長も関係してくる。親の言うことが全てである低学年から自立へと向かう自我が芽生え、反抗期の入口を迎える受験期等、子供自身の心ありようも重要だ。この作品では親の「気持ち」、そして子供の状態を小説として描き、中学受験の一面を伝えている。
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中学受験をさせようと検討中のご家庭は必読かも。
低学年で気軽に受けた模試がよかったと気軽に始めた中学受験。塾のクラスの上下 模試の点数 志望校をめぐる価値観がどんどん歪んでいく。最上位から「転落」して感じる焦りが子どもへの虐待に。お友達の貴子さんの存在が救いに。
大げさに思えるけど どの親も思い当たるところがありそうだな。大丈夫だったかなって思い出せる限りの行動を点検してしまった。そして自分はママ友に対しても貴子さんのように率直に意見を言いたいな。
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あんなにちっちゃくて、ほっぺがぽちゃっとしてて、私の肩のあたりに頭があって「ママー」って呼んでくれて。私が差し出した手を、いつも握り返してくれた。小さかった泉太郎。そうか、君は、どんどん大人になっていくんだね。
「勉強なんざ、一流だろうが、二流だろうが、やらされているうちはだめけんよ」
「中学受験をやめろ」は、親が子に言ってはいけない言葉No.1だとどこかに書いてあったが、同時に、言ってはいけないのに言ってしまうNo.1なのかもしれなかった。
ずっと忘れていた気がしたが、この子が本当に大事だった。そして、この、世界中の何にも代えがたい大切な魂が、今、自分で自分を壊そうとしていることに気付いた。たった十二歳の幼さで、こんなにも自分を痛めつけようとしている。
「山登りの鉄則は、危険を感じたら引き返せ、だ」
全ての中で最も異常だったことは、翼が難関4に落ちたことでも、その日帰宅した真治が翼に殴りかかった時でも、翼に覆いかぶさった自分の上に参考書の山を落とされたことでも、翼が風呂に入っておらず家を飛び出していったことでも、110番をしてパトロールの警官と一緒に近所を探し回ったことでも、コンビニのトイレ
に閉じこもっていた翼が店員に諭されて円佳に電話をしてきたことでも、見つかった翼と母子でふたり深夜のエンジェルスであたたかい飲み物を飲んだことでもなく、そうしたすべてを経てもなお、自分の心の中にまだ、息子に中学受験をさせたいという気持ちがのこっていることかもしれなかった。
翼のためにわたしたちが変わらなくてはいけない。もう遅いかもしれないけれど、一秒でも後回しにしてはいけない。
息子が受験勉強を始めた。これまでずっとずっとずっと彼は勉強をしていたはずなのに、今、この子が初めてそういうことをしたように、円佳には見えた。その姿はいじらしく、しかし、気楽に声をかけてはいけないくらいに遠く、逞しいものに見えた。やっと、誰かのためでなく、自分のために勉強することができたのだ。そう思った時、眺めに眺め続けてきた偏差値表の学校名や数字が、初めてどこかに溶けてゆく気がした。
どのような結果を迎えても、翼は翼だ。何も変わらない。
自分が選ばれないことの百倍も千倍も、子どもを選んでもらえないことが辛いとは。こんなに辛いことだとは、知らなかった。
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中学受験に狂っていく様子がとても良かった。
最初は子供思いのいいお母さんが、徐々に成績だけに執着してくのが怖い。
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我が子だからつい世話を焼くし期待もする。我が子だから何をしても何を言っても大丈夫。だってあなたのためだから。親と子の距離感はとても難しい。
そしてそれぞれの親子にそれぞれの適切な距離感がありこれが正解というマニュアルは存在しない。
中学受験って親にも子にも相当な覚悟が必要な気がするけれど割と多くの人が中学受験に臨んでいるという事はそこは乗り越えがいのある壁という事なのだろうか?
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首都圏での中学受験がテーマの小説。中学受験にのめり込んでしまう親の姿がリアリティをもって描かれている。
読んでいて、中学受験に嵌りこんでしまうことの狂気や醜悪さ、愚かさをひしひしと感じ、中学受験も人生における1つの選択肢としてはありだと思うが、こうなってしまっては絶対によくないなと思った。他山の石としたいと感じた。
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翼の翼
朝比奈あすかさん
中学受験のお話。
まだ、幼い翼くん。
文武両道の翼くん。
可愛い可愛い翼くん。
小学2年から、進学塾へ。
ちょっとやってみて、ダメなら、
やめればいいから。と、
はじめてみたけれど、
やめられなくなる。
ここまで費やしてきたんだから。
ここまで頑張ってきたんだから。
胸が苦しくなって、
涙が溢れた。
子供のことは、辛い。
親は誰しも、愛する子供の将来を案じ、
愛する子供の幸せを願う。
子供のためを想う。
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好成績だとすごく誇らしくなる。
良くなかったら子供を激しくなじってしまう。
6年前に中学受験を経験した者としては、身につまされるセリフも多かった。でも家庭の数だけ受験事情がある。うちと違うと思うところも多々あった。
中学受験というと子供が可哀想とかいう風潮もあるが、うちの場合はして良かったと胸を張っていえる
。すごくいい経験だった。まぁそう言えるのも、うちがとてもうまく行ったから。中学受験は結果がすべてだから。
読んでいて、涙は出ないが、心理状態が伝染してしんどくなる。
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中学受験に対峙する親子の葛藤と成長がテーマ。
全員が公立中に進学するような地域で育ったため、知らない世界を描いた作品と思い購入、読了。
惹き込まれる良い作品でした。
バッドエンドでなくハッピーエンドで終わったのは良かったです。
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図書館本
お受験のお話し。
悪い人出てこないし、母の思いに寄り添った感があり、あまりストレスなく読めた。
まだまだ学歴重視な日本。その傾向はどんどん薄まっていくといい。子どもが言える、選べるような社会が良いなあと思う。
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中学受験がテーマなので、もう関係無いかなと思っていたのだが、かなりの高評価なので気になり手にした。
昔と違って今は、中学受験をする子どもも少数ではなくなってはいる。
だが、どうしても子どもが決めるのではなく親の希望だろうと思わずにはいられない。
ほんとうに勉強が好きで行きたいと思える中学なのか…。
それを子どもが決めれるのか⁇
親のため、と子どもが思っているのは間違いだろう…
などと、どっぷりとはまってしまった。
加熱する親の心情もわからないわけではないが…
子どもがついていかないよ、と。
受験がテーマではあるが、家族の在り方についてとても考えさせられる深くて凄絶な内容だった。
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中学受験で娘に勉強教える自分の姿が記されていた。中学受験は子供のためなのか、親のためなのか。
コンコルド効果でやめられなくなる、合格すれば全て報われると考えるのは本当に正しいのか。親子の関係を壊す、一生しこりを残す苦い経験にもなる可能性がある。それぐらい負荷がかかるもの。
かといってやめさせるつもりもない。超難関校を目指すつもりはないが、(目指す能力も親の気合もない)自分もすごく気をつけないとこの本の親のようになってしまう。何のために受験をしているのか、どこまでいったら終わりにするのか、決めたい。
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非常にリアリティーがあり壮絶で心がしめつけられます。
面白いというと語弊があるかもしれませんが、強烈なインパクトが残る本でした。
涙なしには見れません。