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20220113〜0120 アメリカでは近い将来にZ世代とミレニアム世代が多数派になるということに衝撃を受けた。民主主義においてはやはり「数は力」となると思う。シルバー民主主義の日本からするとちょっと羨ましい、気もするが。筆者の見立てでは「アメリカはもう国民皆保険は手遅れ」という。少なくとも欧州や日本並みになるのは難しいだろうな。
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近年、米国の若者たちの間で、「社会主義」がブームになっている。自由と競争の国で、何が起こっているのか?米国の政治、経済、社会の地殻変動を読み解く書籍。
米国人を対象にした2020年の世論調査によると、社会主義に好意的な人は、前年の36%から40%に増えた。「ミレニアル世代(1981~96年生まれ)」「Z世代(1997~2012年生まれ)」では約5割、2人に1人は社会主義に好意的であった。
ミレニアル世代とZ世代の特徴は、次の通りである。
・人種面で多様。白人比率が低下している
・「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動や気候変動ストライキなど、抗議行動に積極的に参加している
・ITのリテラシーが高く、SNSで不特定多数とつながっている
・国民皆保険や貧困対策、所得再分配などの政策を支持する
最近の米国の社会主義の源流は、2011年のウォール街占拠運動にある。当局の取り締まりにより、この反格差社会運動は短命に終わった。だが、この時のミレニアル世代を中心とした参加者が、米国の民主社会主義や社会主義の基盤となっていく。
2016年の大統領選挙の時、民主党候補者のバーニー・サンダース陣営で活動した人たちが、翌年、「ジャスティスデモクラッツ」を結成した。この政治団体は、擁立する候補者に、大口の献金を受け取らず、「進歩的」な政策・立場に同意することを求めている。
ジャスティスデモクラッツが擁立した候補者の1人が、アレクサンドリア・オカシオコルテス(AOC)だ。彼女は、ヒスパニックで労働者階級出身。大口の献金を受け取ることなく、2018年の民主党予備選挙で同党の重鎮を破る。今やサンダースと並び、AOCは米国の民主社会主義者の「顔」となった。
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三牧聖子の『Z世代のアメリカ』を読んでいたので、本書も手に取ってみた。
統計をベースに、変化しつつあるアメリカの政治情勢を説明しており、三牧聖子の上記著作の論旨がより明確に示されたように思う。とりわけ、今後の人口動態がアメリカの政治地図をどう変えるかというブルッキングスの試算はたいへん参考になった(終章)。
本書を読んで、たいへん驚かされたのは、アメリカの社会主義化を阻止すべく=完全な市場主義を貫徹するためにコーク一族が共和党に大きな影響を及ぼしている、ということ。たとえトランプが失脚したとしても、ダークサイドへの道を整備する大きな力が存在している。コーク一族について書かれている『ダーク・マネー-巧妙に洗脳される米国民』を呼んでみようと思う。