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劉慈欣「火守」読了。池澤春菜さんに直接勧めてもらった。挿絵の雰囲気がとても良かった。そのおかげで読んでいて不思議な世界観に没入する事ができた。読み終わって数日後、たまたま朝早く目覚め、ふと窓の外に立ち昇る朝焼けに思いを馳せ、只々この世界の素晴らしさに感嘆の情念が湧き上がってきた。
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難しい設定はあまりなくて綺麗な挿絵で場面想像しやすく絵本を読む感覚でさらりと読めた。
少年サシャの好きな女の子の病気を治すために、願いを叶えてくれる火守という老人に弟子入りして、捕鯨してロケットに必要な材料揃えたり、月面に行ったり幻想的な物語。
女の子の命を救っても、火守との約束を果たして仕事を引き継ぐサシャの男気にじんわりした。
(女の子が生きてるだけでいい、っていうところもじんわり)
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中華SFの大作『三体』の劉慈欣による、今のところ唯一の童話、だそうです。
挿絵たっぷり、余白たっぷりの絵本の体裁で70ページほど、短ければ数十分もあれば簡単に読み終わってしまう1冊ですが、余韻も感じる素敵な1冊でした。
こういう「夢(夜見る方です)」のような展開を、綺麗にして世に出す、というのは物語としてとってもプリミティブな営みで、短い読書体験ながら、普段と違う脳の部分が刺激されるようで、心が洗われるような気持ちになりました。
1日の色々が全部落ち着いた夜に、ウイスキーかブランデーか赤ワインでも飲みながら、ゆったり読んでいくと、その日の寝付きが良くなりそうな気がします(笑
ただ本著、どう見ても大人向けのパッケージングではあるのですが、ストーリー的には子ども向けでも良いのでは?とも思いました。もちろん、本著は本著のままで、大人向けの1冊として素敵だと思うのですが。
言い回しも平易に直す必要が出てきちゃうとは思いますが、こういうストーリーに子どもの頃から触れるコトで、何らかの化学反応を引き起こせるような気がします。
ただ、それで若年層に売れるの?と言われると急に自信が無くなるので、KADOKAWAさんの判断はきっと正しいんだろうな...。
あらためて翻訳も、絵も装丁も素晴らしい1冊でした。
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『三体』の著者による童話だそうで、SFとファンタジーによる素晴らしい物語でした。
月を舟にして星の海を漕いでいく場面は幻想的でとてもよかったです。
子どもの頃、アニメのエンディングで、月でブランコする場面があったと思うのですが、あれは何てアニメだったっけ…
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ジャンルは童話みたいですね。絵が好きすぎる。恐らく絵がなければ出会わなかった本。 でも、物語も良かった。哀愁という言葉が似合うかな。読むタイミングが違えば感想も変わる本かな。『訳者あとがき』も是非読んでください
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SFの人の作品だからSFかと思って読んだら、童話だった。SFと思ってた影響で、月やロケットのつくりが気になってしまった。最初から童話と思って読んでいればもっと違ったかもしれない。挿絵が好み。火守のタイトルに最後は納得。
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・結果的に絵本になっているでしょうか。
・太陽の運行を司る火守は孤島でたった一人、一生続けねばならない過酷な仕事だがサシャは身体を壊した愛するヒオリの星を治してもらうことと引き換えに火守を引き継ごうとする。
・絵がとても美しいです。それだけでも手に入れる価値はあるかも。
・SF小説『三体』はいずれ読みたいとは思っていますがなんとなく気が重いのでとりあえずその著者で比較的楽に読めそうなものを、と。
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劉慈欣氏初の童話。物語はサシャという青年が東の孤島に立っている場面からはじまる。淡々と描かれる情景描写。火守が持つ能力。サシャの願いが叶った後に描かれる火守の仕事に圧倒された。劉慈欣らしいラスト。私は少しだけ怖い。→
童話を読まずに大人になったので、深読みしすぎなのかもしれないが、火守の仕事があまりにも過酷で驚いた。若き火守となったサシャはこれからずーっと火守なんだろうし、背の高い老人はずーっと火守だったんだ。
誰かがやらなければならない仕事だし、でもそれを1人の火守にやらせるのはどうなんだろう
好きな描写は40ページ。三日月の船が星々の間を通る場面。星がぶつかるときに「夏の風になる風鈴のような音を奏でる」らしい。すごく綺麗。
あと、蟻が出てきた瞬間テンション上がった(笑)
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サシャは恋人を助けるため,火守のいる東の孤島へやって来た。火守だけが空に上がり命の星を治す事ができる。火守の仕事を引き継ぎ,一生島で暮らすのは過酷だと思う。三日月の船が幻想的。
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劉慈欣はアイデアの人だ。垢抜けないが、それでもその手があったかと思わせる設定や展開やディテールが次々と出てくる。段取りや手順を語る時は理屈っぽく説明調なのに、たった一言の情景描写で突然詩的になったりする。『三体』と一緒だ。でも『三体』と違って、すごく短くてファンタジック。劉のエッセンスが詰まっている感じがする。挿絵も物語の雰囲気にぴったりで素晴らしい。
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中国のSF作家である劉慈欣による童話です。
ヒオリの命を救うために、サシャは世界の果てで隠遁生活を営む火守を訪ねます。
夜空に輝く星は人の数あり、各々の星を磨き直せば体も回復すると火守は語ります。
三日月へロケットを飛ばしロープを引っ掛けるシーンは、幻想的かつ科学的で素敵な雰囲気でした。
火守にヒオリを救ってもらう見返りにサシャは仕事を引き継ぐ約束をしますが、ヒオリが回復した後に心変わりはしないでしょうか…。
世界観、文章、絵、全てが温かい一冊です。
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不思議な童話。毎日太陽を昇らせる火守、愛する女の子ヒオリの病を治したいサシャ。火守のお陰でヒオリの病気は良くなったけど、サシャは再会しない。火守にも止められなかったんだから、自分の村に戻ればよかったのに。そこが不可解。
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こんな祈りのように治せない病を磨けたら。みんな夜空に鈴の音がする透き通って輝く自分の星がある。星は魂であり、いつかは輝きを失って流れ星となって落ちていく。
月が硬い銀色をした無機質な天体ではなく、柔和な色で質感も柔らかく絶えず満ち欠けしている舟っていうイメージすごく良い。
朝を動かす人たちは私たちの日常にもいて、みんなが新しい一日を始められるようにそれぞれ引っ張っていく。そこには確かに愛がある。愛を知っているから遠くにいる愛するもののために、あらゆるもののために火守を続けられる。早くもなく遅くもなく、そのときどきのリズムで毎日を綱ぎ続ける。
砂浜に横たわる貝殻のような大きな鯨の白い骨、気球のように浮かんでは沈んでいく太陽が印象的。
日本語版は西村ツチカさんの絵で嬉しい。池澤春菜さん多才だな。
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病気の恋人を治すため、サシャは火守の元へ赴く。
なんとあの「三体」の劉慈欣の児童書・絵物語です。日本版では西村ツチカさんが絵を描いているので、原書ではどのような雰囲気なのかちょっと興味がありますね。
ストーリーは月や星を行くとてもメルヘンな仕上がりで最後はふっと切なくて、他の作品で読み慣れた劉の印象はあまり感じられません。それでもところどころSF作家だなあ、と思わせる描写があったりして面白かったです。
この世界観を支えるのはなんと言っても西村ツチカさんの絵で、静謐な世界観を美しい、独特のタッチで描き出しています。西村さんといえば映画化もされた「極北百貨店のコンシェルジュさん」などの著作がありますが、その独特ながら図抜けた画力と画風は唯一無二といえます。
そんな西村さんと劉慈欣のコラボした本なんて見逃せるはずはないのです。劉のやさしい世界観と西村さんの圧倒的画力をぜひご堪能ください。