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政治学、特に選挙・投票行動に関して、原因・結果の研究分析の方法がコンパクトにまとめられている。他の社会科学分野においても、本書の方法論は応用できるであろう。同時に研究方法、論文作成のポイントも、特に9章において要領よくまとめられていて参考になる。ただし、マクロな統計分析は、無味乾燥な感じがして、理論としては「なるほど」と思わせられるが、「だからどうすべきか」がいまいち見えてこない。あまりにジャーナリスト的やマスコミ的、さらにSNS的になりすぎて、イデオロギーによるポピュリズムに陥るのも問題だが、著者も最終章で関わって述べているように、より実践的な研究ができないだろうか。考えていきたい。
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因果推論のほんの触り程度ですが政治学との関わりについて丁寧に解説されている。
因果推論の入門ならば別途『「原因と結果」の経済学』のほうがよいですが、政治に適用したいというならば本書は導入としてよいと思います。
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政治学と因果推論:
原因と結果の政治学
単純な比較はうまくいかない
反事実という考え方
なぜ因果推論なのか
ロードマップ
因果効果の定義と自己選択バイアス:
変数とは何か
因果効果の定義
因果効果の測定
自己選択バイアスの影響
自己選択バイアスの例
統制に基づく比較の限界と自己選択バイアスの克服:
交絡変数の統制
回帰分析による複数の交絡変数の統制
無作為割り当て
5つの研究デザイン
無作為割り当てを利用する比較:無作為化実験:
世論調査と社会的望ましさバイアス
回答方式が回答傾向に与えた因果効果の推定
応用例:サーベイ実験・フィールド実験
偶然の割り当てを利用する比較:自然実験:
投票コストと投票参加
自然実験と回帰分析の仕組み
台風が投票率に与えた因果効果の推定
応用例
カットオフ周辺での割り当てを利用する比較:不連続回帰デザイン:
選挙競争と現職効果
不連続回帰デザインの仕組み
党派的現職優位効果の推定
仮定の確認
応用例
偶然が引き起こす連鎖反応を利用する比較:操作変数法:
投票率と選挙結果
操作変数法の仕組み
投票率が政党得票率に与えた因果効果の推定
応用例
経時的変化を利用する比較:差の差法:
女性の政治参入
差の差法の仕組み
市町村合併が女性候補者比率に与えた因果効果の推定
イベントスタディの仕組み
因果推論のはじめかた:
研究を構成するパーツ
リサーチクエッションの設定
良い仮説の見つけかた
因果推論のゆくえ:
因果推論の弊害?
因果推論と日本政治分析