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どなたの作品も未読
帯に岸本佐知子さんのお名前があっただけで手に取る
なんとまあ、どうしましょうというところから入る旅路に、行きつく先はあるのかしらとやり取りを覗き見る
途中、呪われたのか膠着状態になるも、なんとか打破
夢の中の出来事のような、なさそうでやっぱりないのだけど、微かな現実味にやっぱりあるんじゃないかとドキドキする頃には、もうすでに取り込まれているんだな
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リレー式書簡集、のていをした架空旅行記、とは思えないほどスケッチも写真も呪いの人形もリアル。秘境旅モノの書棚にしれっと紛れていてほしい。
異国情緒を楽しむ趣向もあれど、ところどころ不穏。うっかりすると夢に出てきそうな蟹男の気配におののく。
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2022夏の文芸書フェア
所蔵状況の確認はこちらから↓
https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001014266
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SF作家3名がそれぞれの旅行先で見聞きしたことを報告しあうという設定で書かれた、書簡体のリレー小説。世界のどこかにあるかもしれない不思議な土地をめぐる空想旅行記。
東アジアを思わせる日常的な風景が徐々におかしな方向へズレていく高山さん、旅行先の土地にとって旅人は常に"異分子"であることをホラー的に演出する酉島さん、一番純粋に観念的な幻想の国を組み立てる倉田さん、三者三様の作風の違いが楽しい。そんな三人の旅を、カニ頭の謎の人物と郵便局員シュヴァルが繋いでいく。
酉島さんはどれも不条理小説のようでゾクッとする面白さがあったけど、特に"外国人がイメージするニッポン"をイジり倒した「ッポンの国」は、独自の言語センスも光りまくる独壇場。倉田さんの「雨とカーフューの国」も旧社会主義国みたいな嫌さがあるが、一番好きなのはショーン・タンの絵本にでてきそうな「飛行機の街」。高山さんの連作が一番エッセイとフィクションのはざまを行き来する旅行記らしさがあると思う。
てっきりコロナ禍を受けて生まれた遊びかと思っていたら、三人が売れっ子になる前の2014年からだしていた同人誌だというのもSF的なオチ。
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エッセイを読んでいるような、旅行記や冒険譚を読んでいるような、と思えばSFの世界に投げ込まれるような、不思議な気分にさせてくれる本でした。
架空と分かっていながらそこに書かれるお手紙にワクワクしたり困惑したり、妙な現実味を持って読ませるのは流石作家の技術だと思います。個人的に終わり方もとても好きでした。
私は本を読みながら頭で映像化するタイプでカタカナ語が苦手なタイプなので一気に読むのが辛く途中から1日1通と決めて読みましたが、自分にも手紙が届いているような感覚があって良かったです。
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ほんタメで紹介されていたので、読んでみた(もちろんあかりん帯のものを購入)。
最初は「なんだこれ?」という感想だったが、五通目の手紙を読んでこの小説の面白さに気づいた。まさかあの蟹頭がこの物語の主要メンバーに入るとは……。でも、ある物があるところでは人気者になっていて、あるところでは忌むべき存在とされていて、さらにあるところでは言ってはいけない言葉として扱われているなんて、結構あることなのかもしれない。
「旅をして地図上のまったく同じ地点に立っても、見える景色はまったくちがったもので、それぞれの眺めは厳密なところ、まったく同じ景色として共有することは不可能なんです。(…)ただ逆を言えば、私が見た景色は当然間違いではないし、だれに何も文句を言われることはない、とも考えられるんですよね。これは不安なことでもあり、また同時に心強いことでもあります。」(262〜263ページ)
景色を見た時に「すごーい」「感動した」という感想が出がちだけど、その感情になる背景は一人一人違うんだな、と。だからこそ表面的な感想だけじゃなく、景色を通して自分の深いところに問いかけをして出てきた言葉に耳を傾けたい(自分探しの旅ってこういうこと?)。
多分この小説を読んで思い描いた風景だって一人一人違うんだろうな。
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友達の家に行ったら「面白いから読んでみて!」と、貸してくれた本。
三人の作家さんが新人時代にウェブ上で、21 回にわたり連載したものを加筆修正したという本。
架空の国をそれぞれ一人旅してまわり、行く先々から他の二人に手紙を送り合う内容。幻想リレー書簡集。
手紙だけでなく手書きのスケッチや、お土産的な造形物等の写真も時おり添えて送りあったものが綴られている。三人の作家さん達は皆、イラストや造形物作りがお得意らしくそれっぽくて上手。手紙の他の、それらの物が一役買っていて旅の思い出を盛り上げているので妙なリアル感を持たせている。三人の作家さんがそれぞれ違う場所で旅をして手紙を送り合う体で進むお話なのだが、読んでいてなんだか錯覚しそうにもなる。
海外旅行の醍醐味といえば変わった様々なことにふれられて非日常感を味わえるところにあると思う。
知らない現地の人々、見たことのない動物、通じにくい言語、変わった食材や料理、気候の違い、変わった祭り等の風習、風土等々も興味深く旅をとても楽しくさせるもの。
ただ、この三人が旅したところは想像を越えたようなところばかりで大変だった。でも三人はそれぞれ皆、
郷に入っては郷に従えとばかりに成り行きに身を任せる感じで、過酷であってすら旅を楽しみながら過ごすので読んでいてこちらには辛さや怖さや大変さがあまり伝わらないから楽に読めた。
私としては時々、ウワーッって驚くようなこと、不気味だよね…や、それは危険でしょ!!な 事などが
起こってる内容の手紙を読んでいても、当の本人達が書いてるのは淡々として旅を楽しむ手紙文。それが何とも不思議過ぎる。
はっきりしない感じを受けるからか…そこが幻想的な旅のように感じられる所以なのかな?などとそんな気もしたりして…。
だからこそ単純に面白がれて読める感じもする。
読んでいて…さすがにあり得ない話だなぁと思いながらの部分でも、作家さん達の文章力でもって読めてしまう感じは凄い。
それからやっぱり作家さん達の想像力、発想力って凄いものだなとも…感じた。
この小説で、奇妙だったり大変だったり気持ち悪かったり恐い思いをしたり、変な可笑しさもあったりと、盛りだくさんな三人分の旅気分を味わえた。
でもやっぱり実際には、私が行ってみたい海外旅行としては、普通に安心して行けるところが 良いなぁ…
それは、絶対に!
怖がりだから一人でも行けないし…
今はコロナ禍でまだまだ当分 行けそうもない…。
となると、
風変わりな旅の本だったけれども…
読んで良かった。
楽しめた。
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よく知った世界から枝分かれて進化の袋小路に辿り着いたかのような、何故にどうしてこうなった?と言わずにはいられない強烈な風習、建築、祝祭(と呪い)をくぐり抜けて旅は続く。
土地のパワーに負けそうなところを、好奇心と一種の鈍感力で三者三様にサバイブしていく訳だが、何より敬服するのは食に対する許容値の広さ。現地の食べ物を探すのは旅の醍醐味だけれども、さすがにこれを食べますか…。
旅行に行きたいが、まずは己れの胃袋を鍛え直さねば。
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高山羽根子、酉島伝法、倉田タカシの三人の作家が、架空の国を旅しながら(どうやってかはともかく)手紙を送り合うという設定の「旅書簡集」。そして巻末エッセイ(あとがきのようなもの)は宮内悠介。お、東京創元社のSFアンソロジーシリーズ『GENESIS』で見かけるような作家たちだぞ、と思って手に取った。
読んでみると、GENESISを読むときに似た幻想浮遊感に見舞われる。そして、時折り「わかる」地平に降り立つのだが、そこもどこかしらなにかしらずれている。私が「わかる」と思っていることなんて世界の中のほんの一部なのだなあなどと思っていると、突然、人生哲学とか人間の本質みたいなことを考えさせるようなフレーズが、あったりなかったりして驚かされる。そしてそれよりなにより、この三人の三つの旅が、意外な形でつながりを見せてきたりこなかったりする様に目が離せなくなり、個々の旅の世界を楽しみながらも、いったいこの大きな物語の終着点はどこなのか、それを見届けたいという思いが否応なく高まっていった。
と同時に、現実問題、こんな付かず離れずが絶妙な合作本はいったいどうやったら作れるのだろう?この三人の関係性は?出版社が仕掛けて三人集めて「よろしくお願いします」でできるものなのかな?といった制作の裏側への興味もわいてくる。それへの答えは、ひとつは奥付け手前の「本書は〜を元に〜」といった説明文にもちろんあるのだが、そういった事実関係の説明とは異なる“階層”での述懐が宮内さんの巻末エッセイにあり、これがまた良かった。私が映画監督だったら、この巻末エッセイを含めた本書全体を映画化したい。
以下、自分用断片備忘メモ。
・ほふりの村。祝祭感。(倉)
・着水した飛行機。ハリウッド映画味もほんのりありつつ、おかしさと、得体の知れなさと。(倉)
・島々の話。UVクリーム騒動の顛末に笑い、“満潮娘”とのひとときに癒される。(高)
・川が分かつ街。こちらとあちらに分かれていて、いろいろと暗喩的。美術館がある。(倉)
・雨とカーフューの街。「行政手続きが電子化されてAIが全般的に判断を行うようになったときに入り込んだバグが・・・」というようなSFらしい話が。(倉)
・変な通貨の国。“踊り”が通貨。(高)
・鳥の村。よそ者である自分の魂がそれに完全に乗り移るまで、案山子になり続けるという地元の儀式に参加。(酉)←酉島さんの旅は、敢えてここまで個々に挙げなかったが基本過酷なので、この程度のことはきっと大丈夫だろうと思うのだが、絵葉書に描かれた巨大案山子(その一部として生きている酉島さん自身を含む)の絵は胸に迫るものがある。
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面白かった!各々の先生が旅した様子すべて面白かったのですが、やはり酉島伝法先生の手紙には毎回吹き出してしまいました。
そして何より、カッカ・ピィ(仮)……!
あのキャラクター(神?)はすごいです。こんな風にお互いの旅でからみ合い、驚きをもたらしてくれるとは。大好きです。
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酉島伝法先生はいつでもぶっ飛んでるな…と思ったら、あとのお二方もぶっ飛んでた……。
こういう謎の造形とかの写真が収録されてる小説、もっと出てほしいよね。
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おもしろーい!実際にはない場所だけどあるような感じがちゃんと出てて、すごい!
3人とも違うところにいて文通してるって、なんか夢見る女の子の夢叶えた感じするー!
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3人とも初めての著者。
それぞれの個性が発揮された、どれも楽しそうな旅でした。
そっか!本を開いて想像をする、それも旅なんだ!
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三人のSF作家が架空の国や街を旅して、そこで起こった出来事や、目にした不思議なものや人などについて綴る旅行記。それぞれが他の二人に手紙を書いて送り合うという設定でリレーする短編集となっている。それぞれの手紙にはスケッチや写真のようなものも載っているというこだわりぶり。
架空の国、つまり作り話なのだが、まるで本当に見てきたような細かい描写。プロが本気で遊びにきている、といった感じで、作家さんたちの想像力に驚く。作中で著者の高山さん自身も触れているが、私はこの本を読んでいて『銀河鉄道999』を思い出した。
「そんな状況でどうやって手紙が届くの?」なんて野暮なことは言わずに、ただ面白がって楽しむのが吉。
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架空の旅に出たお手紙交換という設定が面白そうで読んでみた。3人それぞれの世界観がすごい。
だけど、少し想像しにくい場面があったかな。