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序 「憲法を巡る政治」の一〇年
「三分の二の政治」の難しさ
安倍流改憲の失敗の本質
「平成デモクラシー」の権力再編
「改革の不足」と令和の改惑論
第1章 改憲が自己目的化する力学 2012〜2013
1 「裏口入学」九六条改正論
再登板した安倍の「奇手」
憲法審査会と「中山ルール」
橋下維新と自民改憲草案
脱・押しつけへ「何でもいい」
改憲が遠い特異な構造
公明が待った、世論も逆風
安倍と憲法学の断絶
参院選後の微妙な勢力図
2 内閣法制局も「首相支配」
憲法解釈に人事で風穴
民王党と安倍の通奏低音
遅々とした「積極司法」
九条と個別的・集団的自衛権
「武力行使と一体化」の論理
憲法学の影薄い官邸会議
第2章 集団的自衛権と憲法九条 2013〜2015
1 「解釈改憲」への陰路
安保法制懇と「芦田修正」論
安倍の本音「限定容認」
高村の武器「砂川判決」
波紋広げた会見のパネル
元法制局長官らの批判
公明が甦らせた「幸福追求権」
シーレーン機雷掃海に穴
閣議決定で「在庫一掃」
2 「長谷部ショック」と分断国会必
与野党論戦は二日だけ
内閣と国会に協働なし
憲法学者三人が「違憲」
「立憲主義の地霊」現る
失われる「共通の土俵」
安保成り、改憲は遠のく
第3章 象徴天皇と「アベ政治」 2015〜2016
1 衆参両院で「改憲勢力」
臨時国会の召集要求無視
自民改惑草案「20日以内」
「緊急事態条項」浮き沈み
識員任期など「お試し改憲」論
元最高裁判事の「覚え書き」
「機能する憲法」長谷部理論
参院選後の未体験ゾーン
至難の改惑マネジメント
国民投票と選挙の分離論
2 「天皇退位」で半年空白
陛下「おことば」の衝撃
「能動的な象徴天皇」の論理
世論高支持が決定打
「先例となる特例法」浮上
自民改憲草案を棚上げ
第4章 首相が改憲を提案するとき 2016〜2017
1 憲法学から「第三の論陣」
「放談会」と化す憲法審
退位立法へ「衆参合同」
共産が合意へ流れ加速
表の国会審議は形だけ
ヤフーが「民間版憲法審」
護憲・改憲超える新潮流
重み増す個人情報保設法制
2 「2020年」へのカレンダー
九条残して自衛隊明記案
公明取り込み、野党分断
野党に「逆•長谷部ショック」
内閣の改憲「発案」の是非
「国会専権」も中山裁断
「改憲より解散」へ潮目変化
第5章 「自衛隊明記」へ自民攻防 2017〜2018
安倍と枝野、因縁の対決
臨時国会で冒頭解散
安倍流権力の「過剰適応」
一九年発議へ仕切り直し
国民投票法の遺恨
「感情」勝った英Eu離脱
2 消えた「必要最小限度」
「自衛隊」を書けない理由
浮上する「自衛権」明記案
100を超す九条改正案
石破抑え「本部長一任」
大災害時の緊急事態条項案
党議決定を控えた理由
第6章 「中山ルール」の重みと限界 2018〜2019
1 憲法審査会の「開かずの扉」
公明から国民投票法改正案
「手を切り落とされても」
「職権開会」巡り緊迫
総裁三選で「ギアチェンジ」
「職場放棄」発言で紛糾
2 「改惑勢力」1ミリも進めず
参院選で「三分の二」割れ
憲法審査会長に「国対族」
発言封殺に石破激怒
参院に「独立財政機関」構想
「強い首相」に「強い国会」
第7章 コロナとデジタル「新しい中世」 2020〜2021
1 感染症対策と統治システム
緊急事態条項の論争再燃
「新型インフル特措法」とは何か
脇に置かれた「法の支配」
責任問われる「独裁官」
くすぶるロックダウン法制
「オンライン国会」動き鈍く
20年改惑絶望で安倍「残念」
2 「ゆるふわ立憲主義」の国
菅が学術会議で任命拒否
立憲と国民の野党内対立
国民が「情報自己決定権」
物足りぬ「デジタル憲法」
変容する「個人と国家」
コロナ特措法に罰則導入
国・地方の調整混乱
行政「白紙委任」に違憲説
「硬質な立惑主義」は可能か
国民投票法改正案が成立
終章 憲法改正論議の三原則
岸田首相「国民の理解を」
公明が「デジタル憲法」公約
内閣の「改惑発案権」再考
「政治主導」に専門家の支え
政党間競争とは切り離し
「憲法改正会議」になれるか
「平成デモクラシー」の検証から
議院内閣制とは何か
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安倍晋三の改憲の方針が「96条から」となった時から、ある政治記者が憲法について勉強しながら記録をとり本にしたもの。
憲法が主題だが、当然集団的自衛権を巡る論争、天皇の生前退位、緊急事態条項、コロナ、そして平成デモクラシーとは何か、この10年で政局はどう動いたか、そういったことをまとめて知ることができ大変勉強になった。今は名前をあまり聞かない政治家たちもつい数年前まで活躍してたんだな。
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日経記者が改憲論議を軸に過去10年の政治の動きを整理したもの。一般的な報道では改憲か護憲かで与野党の対立がクローズアップされるが、その他に憲法学者と政治家との対立があることがわかる。この立憲主義(憲法学)と民主主義(政治学)をどう融合してデザインしていくかが問題となるわけだが、学者は各々の専門領域に閉じこもり、官僚は憲法には手が出せず、政治家は日々の問題解決や選挙で忙しく、マスコミは勉強不足で無能という状態で、結果的に改憲議論が進まない状況であることがわかる。著者は記者の中ではバランス感覚もあり勉強もしているマトモな方だと思われるが、300ページ以上もある新書を読むのは国民のごく一部だろうし、どのように世論を喚起していくべきかがあらためて問われているように思える。
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憲法改正 そこは最後の政治フロンティア。これは自由民主党が、再登板した総裁のもとに平成~令和において任務を続行し、 未知の改憲プロセスを探索して、新しい憲法と日本を求め、前人未踏の国会に勇敢に航海した物語である。
上皇陛下の譲位がなければ、改正の発議までたどり着けたのだろうか?と言う巨大なifが残る。
あと、優秀なルポタージュが突然「あるべき論」になって面食らう。