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限界集落
2022/04/24 16:51
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田次郎さんは、こんな小説もお書きになるのですね……。限界集落のお話です。日本のあちこちが、今や、60才以上の人ばかりで。その上、そこに住む人たちは、多くが一人暮らし……。
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浅田氏はこれまで多くの作品があるのに、いまだに多様な良作を提供してくれる。とてもとてもありがたい。
そして、やっぱり紙の本は良いな。
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タイトルから想定されるような、いわゆるノスタルジックな帰郷ものとはひと味違う、斬新な設定の“ふるさと”の話です。
冒頭で描かれる、とある食品会社の社長の“里帰り”が何だか不自然だなー・・と思いながら読んでいたら・・。
なんと、カード会社が提供する「ホームタウン・サービス」という高額サービスだったという驚きの展開です(因みに1泊2日で50万なり)。
東北の絵にかいたような田舎の村、朴訥な村人たち、すべてを包み込んでくれるような“お母さん”・・。まさに「理想のふるさと」がここにあります。
都会に生まれ育ち、ふるさとを知らない人達(そして勿論経済的に余裕のある層)にとって、架空とはいえそこは「癒しのふるさと」という訳で、高額なそのサービスをリピートしてしまう登場人物達の姿に、何だか考えさせられるものがありますね。
それにしても、カード会社との契約がどんなんだったのか想像つきませんが、村人達や“母”のちよさんがどのような思いで“帰郷”した人達を迎えていたのか、考えるとちょっと怖い気がします。
という訳で、本書は“心温まる話”でもあり“世にも奇妙な物語”でもある、不思議な読後感でした。
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ゴールドやプラチナよりもっとすごいカードのとんでもないサービス。
心を癒されに都会からやってくる人たち。
母代りのチヨと息子や娘のつもりで泊まりに来る人たちとの心の交流。
そして最後にわかったチヨの境遇。
とてもいいお話でした。
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予想していた展開とは全く違う話であったが、この設定のおかげと3人の息子娘のそれぞれのストーリーから故郷、人生観、死への向き合い方…何か色々考えさせられた。個人的には感動ではなく何か現代の問題点もはらんだ、作中にあるこのようなサービスがあるのかないのかわからないファンタジーからの現実を突きつけられた感じがあった。
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興味深く面白いストーリーだったけど、微妙・・・方言が少し入って来なかったのと、年会費35万円のカードに1泊50万円で偽装の故郷を体験するというのが、毎月カツカツの生活をしている自分には縁遠くてかけ離れていて、この辺りがあまり入ってこなかったのかもしれないです。
だけど、このサービスを受け帰郷する登場人物たちの気持ちは凄く伝わりました。自分も生まれてからずっと実家なので、物語の故郷の原風景が浮かび、こんな故郷があればって憧れます。ただ私は母が鹿児島出身で、こんなに原風景の広がった所ではありませんが、祖母や同じ敷地にいる叔父夫婦を思いました。コロナ禍でもう3年帰れていませんが、私の故郷は鹿児島だと思っています。生まれ育ったところだけが故郷ではないというところに、凄く共感できる作品てした。
私も1日も早く故郷である鹿児島に帰りたいてす。
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久しぶりの浅田次郎さんの作品に触れた。
新潮社出版部部長、中瀬ゆかりさん絶賛で最後は滂沱の涙となる筈でしたが、期待し過ぎました。
第一章「松永徹氏の場合」を読み始めてしばらくしてある事を感じる。
母の待つ里へ40年ぶりに帰るのだが、そこでやり取りされる会話文章の雰囲気がなんだかおかしい。
浅田次郎さん独特の霊的な物みたいな含みがあるのだろうか?
この章を読み終えた時に
「あー、やっぱりなあ。そう言うことね」
となりました。
これ以上はネタバレになる。
この後その他2人の同様の話が続く。
忙しなく余裕のない現実社会で失ってしまった理想の古里を手に入れ、穏やかなひと時をそこで過ごす。
ありそうな発想ではなかろうか。
私には本作の良さが読み取れなかった。
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都市部で暮らす三人の人物が、カード会社の提供する『故郷』を体験する話。始めの方で、「騙されているんじゃないか?」という話が出てきてから、素直に作品に入り込めなくなり、浅田作品としてはあまり良い印象を持てなかった。
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驚きの話だった。人それぞれの後悔。生きているからこそ、出来ること、やれること。親を大切に今出来ることをやる。
今を生きる、精一杯生きる。
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浅田次郎さん、泣かせる。
「母」主に3人の主人公の母なそれぞれの故郷ではない村に。その母を思い初老の主人公達の日々の生活の癒しとして存在する「母」。
ネタバレになるので書けないけど、このシステムを考えついたのは著者なのか、本当にあるシステムなのかはわからない。しかしそんなサービスがあったらなぁと思った人は多いのではないでしょうか。
最後の母を見送るシーンは涙ものだ。母の過去を聞くと「母」をしていた時の姿を思い出しながら見えない母の本当の姿にさらに涙する。
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大手のカード会社で、ブラックカードを所持している人達限定に案内している「ホームタウン・サービス」。利用者は、ある「ふるさと」を訪問し、昔その土地の住民だった人として、「母親」が迎えてくれる。近所の住民も、「そこに住んでいた人」として招いてくれるので、まるでここが生まれ育った場所のように振る舞ってくれる。
1泊50万円という破格の値段だが、三人は同じ「母」にお世話になりながら、「母の子供」として過ごした。
三人とも還暦間際。独身だったり、熟年離婚だったりと三人それぞれの人生を歩んできた。
「母」と過ごすうちに、これからのことをどう考えるのか。三人の岐路が始まる。
前情報なしに読み進んだので、最初の段階では「?」ばかりでした。故郷に帰ってきたのに母親の名前を知らなかったり、サービス?という名の訪問や三人が同じ「母」にお世話になるといった、奇妙なことだらけでした。
後にわかる、あるカード会社のサービスプラン。年間35万円、1泊50万円というお金持ちの考えていることはよく分からんといった具合で、目が点になりました。
正直、日にちを変えて、異なる三人が同じ流れでお世話になるシーンは、つい笑ってしまいました。
それでも、「母」を演じているおばあちゃんには、賞をあげたくなるほど素晴らしかったです。愛しさや温もり、例え嘘だったとしても、ほっこりした気持ちにさせてくれるので良かったです。
物語ですが、三人の視点が交互に変わりながら進行します。
いつの間にかずっと独身を貫いてきた松永、熟年離婚で独りになった室田、医者として働いてきた古賀が、同じ「母」と出会うことで、変化が訪れます。
三人とも、家庭がなかったり、親が亡くなったことにより故郷がありません。その寂しさを埋めるかのように利用した「ホームタウン・サービス」。
その場所は果たして「ふるさと」と呼べるのか?色んな考えがあるかと思います。結果としては、本人が「ふるさと」と言えば、そうなのですが、果たして偽りで出来た所あるいは突然訪問した所に愛着が湧くのか。
自分にとっての「ふるさと」とは何なのか?
色んな意見を聞きたいなと思いました。
その後、三人とも愛着が湧き、再度利用することになります。段々と心が潤っていくだけでなく、「親」と「子」としての愛も垣間見えて、豊かな気持ちにもなりました。
そんな時に訪れる後半からの展開。いつかは訪れるであろう「別れ」にウルっとしてしまいました。
さらに読了後に表紙を見ると、じんわりとくるものがあり、よりウルっとしてしまいました。
三人がそれぞれどんな決断をしていくのか。
どんなに富んでいたとしても、中身は「みんな」と同じです。やっぱり人との「愛」って良いなぁと思ってしまいました。
ただ、個人的には、この体験は結構です。良い体験かと思いますが値段が高すぎます。そんなにまで、「ふるさと」を味わうのはちょっと違うかなと思いました。
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東京などの都会にいる孤独な60歳ぐらいの男女がカード会社が用意したふるさとに行って感じる本当の故郷とは親の存在とはを考えさせる本。実際に自分が同じ年齢で本の登場人物の行動が自分の事のように思われる。考えさせる本であった。
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読み始め、ん?と思わせ、徐々に種明かしされて行く。
と、同時にサービスと割り切れない互いの思いがじわじわと漏れてくる。
ふるさと=母というテーマであり、お金で手に入れるふるさとがあったとしたら、という面白い発想にびっくり。
ラストは母側の事情にも触れてあり、なるほど。
思ってた話と全然違ってたのだけど面白かった。
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うむー面白い!老いた母を持つ身として、共感しまくり。
浅田次郎の作品はホント良い。大ベテランでありながらテーマは古くなく、それでいて懐かしさという安定感を出せるのは素晴らしいのひとこと。
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読了後、しばらく呆然とした。
非現実的なお話かと思いきや、現実にもあり得そうなお話。
作られた世界とわかっていながらも訪れた皆が心満たされるのは、母の思いやりではないでしょうか。後ろめたさを持ちながらもおもてなししていた母は、まるで本当の親子のようで、人間味があり、いくら契約とはいえお金以上のものを感じた。
ふるさととは心の拠り所のような心温まる場所なんだな、とホッコリした。