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普段この分野の本をほとんど読まないため非常に難しかったが、https://www.genron-alpha.com/bookreview_003/
等を参照しながら読み進めた。歴史、背景を知識として、今何が起きているのかを冷静に見つめられる第三者でありたい。
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ロシアがウクライナを侵攻する現在、非常に興味深い指摘が数多くある。
「全体主義の起源」を読んだ者としては、ナチス=スターリン=ファシズムという等式が成り立つのであるが、ロシアでは違うようだというのも大きな収穫であった。
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数十年いろいろなファシズム関連の本を読んできた経験に基づくと、一方的に決めつけることなく、本書はウクライナ侵攻の現況下において的確な判断を下している。
プーチン政権への高い支持率も本書を読めばわかるだろう。まさに現実政治の達人だ。
終戦後に攻め込み日本の領土を奪いながら堂々としている国でもある。日本の政治家は学ぶべき点がかなりあるのではないか。
また、正教会へ経済制裁された理由もよくわかる。
ウクライナ=善、ロシア=悪と無条件に思ってる人にこそ読んでほしい。
本書は値段が高いので図書館で借りた。読む気があればタダで読める。
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ロシアとウクライナ(あるいは欧米)との間で互いを「ファシズム」「ナチス」だとする非難の応酬が続いている。「ファシズム」という言葉がその内実を示すより、「悪」のレッテル貼りとして政治的に利用されているようにみえる。はたしてロシアは「ファシズム」国家なのか?その疑問を解くためにこの本を手に取った。
ロシアでは、独ソ戦の勝利はファシズムへの勝利であり、ナチ・ドイツを破りヨーロッパの平和をもたらすためにロシア国民は多大な犠牲を払ったと考えられている。ロシア国民の間では「ファシズム」は「悪」であると認識されているし、第二次世界大戦におけるファシズムに対する勝利こそが、ロシアがヨーロッパの一員であることを保証していると考えられている。他のヨーロッパ諸国と同様にネオナチと呼びうる極右勢力はロシアにも存在するが、クレムリンに影響を与えているわけではない。
プーチン政権は、「反対派リベラルを非合法化することに注力し、反体制の原動力となり得る国民の怒りを回避するために非政治的表現には可能な限りの自由空間を許容しつつ、プライベートで忙しい市民や生活に満足している個人を歓迎している」が、これらは権威主義体制の典型であり、ナチ・ドイツのようなアーリア人による世界支配といった人種主義的な思想もない。ファシズム研究の立場から言えば、ロシアはファシズムではない。
筆者は「ファシズム」論争の背景には、ロシアと西側諸国との間に歴史の参照点に対するすれ違いがあると指摘する。
ロシアにとっては、ヤルタ会談により大陸を二つのブロックに分け、その後何十年も続いた冷戦期(ヤルタ体制)こそが「正常な状態」である。「それは同国に、あらゆる主要な国際問題について打診され、尊重される大国の地位を与えていた時期であり、ヨーロッパでは多大な影響力を有し、ファシズムに対して勝利したアメリカ合衆国の同盟国とみなされた状態である。」
一方西側諸国にとっての「正常な状態」とは、1990年代初頭のソ連の崩壊とともに「鉄のカーテン」がなくなり、EUが拡大していく状態である。
「誰がファシストか」というレッテル貼りは、ヨーロッパのあるべき姿の在り方の問題に集約される。もしもロシアがファシストならロシアはヨーロッパから排除されることになる。
プーチンのロシアをナチ・ドイツに喩えるアナロジーは問題を混乱させるだけで解決には導かない。ウクライナとの「戦争」がどうなるかは分からないが、その結果プーチンが辞めてもロシアがなくなるわけではない。ヨーロッパはロシアをどのように包摂するのか(あるいは排除するのか)。それがもっとも重要な問題なのだと痛感した。
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Is Russia Fascist?
Unraveling Propaganda East and West
http://www.tokyodoshuppan.com/book/b599344.html