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フリーランスのフォトジャーナリストの紀行文。とはいっても観光スポットを巡る旅日記ではない。
訪れるのは、戦争や天災、公害、差別、事故など大きな悲劇を経験した場所。「ダークツーリズム」と呼ばれる負の遺産を訪ねる新しい形態の旅である。
構成は、「天災・人災の記憶」、「喪失する産業の記憶」、「戦争の記憶」、「差別・抑圧の記憶」、「生命と悲しみの記憶」の5章から成り立つ。いずれも、現地の歴史や住民の生の声、感情を拾い上げ、鋭く洞察、インパクトのある写真と相まって、説得力が半端でない。
阿波の国を支える藍生産のため、あえて吉野川に無堤防政策を取った徳島藩、日本にも「ニ号研究」と呼ばれる原爆計画があったこと、台湾や中国で売れると莫大な利益を生むアヘンなどの麻薬を大量に国内で作っいた歴史、波照間島の島民が軍の命令でマラリアの発生する西表島へ強制疎開させられた悲しい事実など、勉強になることばかり。ただ、ただ、悲しい事実に触れることが多く、気が重くなったが、多くの現地の真相を知ることができたのは、自分にとって、旅のあり方を考えるきっかけになったと感じている。
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副題は「負の記憶を巡るダークツーリズム」です。
つまり災害などの悲しい歴史のある地を訪れる旅
のことです。
「不謹慎」とありますが、そんなことはありませ
ん。
後世に語り継がれなければならない負の歴史は存
在します。そこから目を背けてはいけません。
東日本大震災の被害に遭った建物などは、地元の
人が「あれを見るとつらい」などと、撤去してし
まう傾向にあります。
しかし何十年も経てば、そんな個人の感情とは切
り離され、後世に伝えられるべき教訓として人々
が訪れる場所になるのです。
広島の原爆ドームがその最たるものでしょう。
歴史の中に埋もれさせないためにも、たとえ不幸
な歴史であっても「観光」として訪れるのではな
く、「観影」という言葉を用いて行くべき場所を
紹介する一冊です。
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「ダークツーリズム」というワードに惹かれて購入した。
負の遺産といえど、忘れてはいけないものを伝えるモノをしっかり受け止めて明日につなげる為に、必要な旅を教えてくれる一冊だった
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センセーショナルな題名に目が留まり、手にしました。
著者の「旅」にはいろいろな意味があった。知らないことがいっぱいあった。それを隠そうとしている動きがたくさんあることも知った。
人として本当に大事にしなければならないことはなにか。簡単に信じるのではなく、真実を探ること、闇に目を向けること、思考を潜らせる「旅」をすること、「めんどくさい人だ」と言われようが、大切にしたいと思った。
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1つ1つに地図や説明がきちんとあり、読み応えがある。本を読んでもっと知りたいと思ったこともたくさんあるが、知りたいじゃなくて知らなきゃいけないんだと思う。