紙の本
タイトルに込められた思い
2023/03/13 17:58
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投稿者:テルボー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本のタイトルの『ブラックアウト』の意味が本を読むことによって、
このタイトルに込められた思いが伝わってきました。
アメリカでの黒人たちがどういう問題に直面しているのか、
どうしてこうなったのかが書かれていて分かりやすかったです。
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【6/29】
沖縄人
https://www.youtube.com/watch?v=Nem6xDGCLUo
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地獄への道は善意で舗装されている。
このような言葉があるが、今アメリカ社会て起きている現実はまさにこの言葉が相応しい。
ブラックアウトの著者キャンデスオーウェンズはアメリカでは珍しい、黒人の保守の立場で意見している論客である。
伝統的にアメリカの有色人種、特に黒人層はほとんどが民主党に投票してきた。
弱者に優しく、少数派や労働者側に立った政策や制度を実行してくれると期待したからだ。
しかし、現実は逆になっている、とキャンディスは説いている。
様々な黒人層に対しての優遇策、学力が満たないにも関わらず大学に進学できる実態。
母子家庭の方が、様々な補助を受けられるが故に、父親がいない家庭の増加。
黒人の犯罪に対して及び腰になっているための、治安の悪化…。
その他、民主党の中に巣食う共産主義者たちがアメリカの伝統であった自由、そして勤勉さと努力によって報われる社会を破壊しつつある実態が、歴史的事実を元に、客観的に書かれている。
興味深いのは、本書後半に宗教について書かれていることである。
自助努力と信仰は深い関係にあり、信仰が希望を失わない基であり、キリスト教をアメリカ社会から排除しようとする民主党は容認できないと著者は語る。
日本のTVしか見ていない人には、にわかに信じられない内容だろう。
そんなことはありえない、陰謀論だ、と拒絶する前に、まず相手の意見に真摯に耳を傾けて、その根拠を知る必要があるだろう。
真実とは様々な角度から見ることによって現れるものである。
自分とは反対の意見に見えても、まずは理解しようという努力が必要だろう。
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【感想】
本書の筆者であるキャンディス・オーウェンズは、アメリカの保守系の作家であり政治活動家でもある。彼女はスタンフォードで生まれたが父方がアフリカ系であり、自身の肌も黒い。少年期からたびたび肌の色を原因とした人種差別にあっていたが、ある事件を境に「保守」に目覚める。今はトランプを支持し、BLMや民主党に批判的であるという異色の経歴の持ち主だ。
本書のタイトルには「民主党の新たな奴隷農場」とあるが、民主党が黒人の敵だというのはだいぶ違和感がある。民主党は左派として彼らを支援する立場を取ってきたからだ。しかし、オーウェンズはその理由を「黒人を選挙のための票としか見ておらず、彼らを飼い殺しにし、生活水準を向上させる政策は行っていないからだ」と批判している。
かつて黒人は共和党を支持していた。南北戦争で北軍として奴隷解放を担ったリンカーンが共和党選出だったからだ。しかし、民主党のリンドン・ジョンソン大統領が、黒人たちの票を集めることを目的に「偉大なる社会」計画を開始し、黒人票を取り込むことに成功した。
オーウェンズによればその計画は、政府が黒人に福祉を提供することで、「政府無しでは生きていけない状態にする」政策であった。実際に行われたのは黒人自身の教育や収入を向上させる「自助支援」ではなく、非効率に設計された給付金を主体とする「公助支援」であった。そこから今日に至るまで、民主党は「黒人はか弱く、劣った、庇護の対象」というキャンペーンを行い続けてきた。かつて(奴隷解放後)の黒人は、自らの働きと学習によって社会的地位を改善してきたが、現在では「アメリカ建国からずっと虐げられてきた犠牲者」というレッテルが貼られ、地位が逆戻りしている。「自分たちはダメな奴らだ」と思考停止してしまうようでは、黒人自身の問題の解決にならない。そうした逆差別――黒人の地位をあえて向上させない政策――を指して「新たな奴隷農場」と評しているわけだ。
本書ではこの「被害者史観」を軸に、民主党の政治的パフォーマンスおよび不作為の数々を検証していく。
読んだ感想だが、筆者の主張を好意的に解釈しても、民主党が原因と言い切るのは難しい。また、その主張も問題を孕んでいるものが多い。例えば、
・奴隷制度時代の民主党と2020年の民主党に同一の血が流れているとみなし、「民主党は大昔から今まで黒人を支配し続けてきた」と断言している
・白人至上主義は存在しないか、存在しても民主党によるプロパガンダとみなす(共和党の行いを見て見ぬふりする)
・民主党が提供する黒人への福祉政策が、黒人にとって益どころか害を産む、という主張への根拠が乏しい
・アメリカ建国の礎となった「宗教」を褒めそやす一方で、民主党が推進する「普遍的な人間的価値」を「世俗主義」だとして糾弾する
・民主党が黒人を飼い殺しにしている間、共和党は黒人の生活改善への効果的な施策を実行してきたのか
などなど、ツッコミどころを挙げればキリがない。主張全般が共和党議員としてのポジショントークであるのは明白だ。
���だ、共和党であれ民主党であれ、現在のアメリカの政治が、ジェンダーや人種といった問題の全てを二項対立に置くことで分断を煽り、票を獲得しようとしていることは間違いない。その上で共和党のオーウェンズとしては、「伝統的な家族観の破壊は混乱を招く=民主党の政策の大部分は伝統的な価値観・家族関係にNOを突きつけるものだ」と述べている。黒人の貧困や犯罪は元を辿れば「子どもに父親がいない」ことが原因であり、そこに民主党は目を向けようとしない、という言い分は納得できた。
彼女の語りはだいぶ乱雑だが、その意図するところ=「社会の最小単位としての『家庭』の尊重」は何となく頷ける。コアの部分だけを拾い、枝葉末節はバッサリ読み流すのが適当かもしれない。
――オバマ「あなたも私も、アフリカ系アメリカ人の社会でこの問題がいかに深刻かを知っています。黒人の子どもたちの半数以上が片親と暮らしていますが、この割合は、私たちが子どもだった頃と比べて2倍になっています。父親のいない家庭で育った子どもは、貧困に陥ったり、犯罪に走る可能性が、父親のいる家庭で育った子供の5倍、学校を退学する可能性が9倍、そして最終的に刑務所に入る可能性が20倍になるという統計もあります。また、行動上の問題を抱えたり、家出をしたり、その子供自身がまた10代で親になる可能性も高くなります。その結果として、黒人社会の基盤が弱くなってしまうのです。」
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【まとめ】
1 父親のいない家庭
アメリカ黒人が抱えている本当の問題は大きな政府である。実は、黒人がこの国から受けた苦しみの元凶は、すべて政府にある。差別もそうだし、人種によって学校を分けたのも政府だった。政府はそれを無視して、悪いのは、すべて目の前で生きている白人たちだと言う。でも、本当は違う。
ルーズベルト大統領が実施したニューディール政策以来、黒人は民主党を支持し、投票してきた。ニューディール政策自体は失敗に終わり、黒人の失業率は悪化した。しかし、民主党は、黒人に自分たちを永遠の被害者のように考え、行動するよう教え諭してきた。「制度的」、「構造的」、そして「体系的」な人種差別に痛め続けられているというのだ。だが、それは大きな誤りである。
黒人社会の最大の問題は、人種差別でも、不平等でも、医療を受けられないことでも、気候変動でもない。「銃規制法の共通認識」を広めることでもなければ、黒人票の90%以上を確保するために民主党が彼らに投げかけている数多くの主張、これらのいずれでもない。
黒人社会の一番の問題は、家庭の中に父親がいないことなのだ。1965年には、父親がいない家庭で育ち、社会に出る黒人の子どもの割合は、25%に達していた。CDCによると、現在約70%の黒人の子どもが父親のいない家庭で生まれている。この事実は、低所得に陥る可能性や、犯罪率や検挙率の高さなど、あらゆる面で黒人社会に悪影響をもたらしている。
1997年、タイム誌とCNNは共同世論調査で、黒人と白人の10代の若者に、人種差別がアメリカにおける大きな問題であるかどうかを尋ねた。両グループの10代の若者の過半数がこの質問に「はい」と答えた。しかし、次に黒人の10代の若者に、日常生活の中で人種差別が「大きな問題」、「小さな問題」、「まったく問題ではない」のうちどれに該当するかを尋ねたところ、88%が、人種差別は日常生活の中で「小さな問題」か、もしくは「まったく問題ではない」と答えたのだ。しかし、その一方で、白人の若者の回答以上に黒人の若者は、そこにあるチャンスをうまく生かせないことのほうが、人種差別よりも大きな問題だと答えている。
2 分断の種
アメリカの黒人は――投票権を獲得してから――長らく共和党を支持してきた。それが民主党に転換したポイントは世界恐慌だった。恐慌中のアメリカで、「すべての」アメリカ人を救済するという民主党の公約が、苦境に立たされていた黒人市民の心を捉えたのだ。71%もの黒人が、民主党のルーズベルトに投票した。その30年後、民主党のリンドン・B・ジョンソン大統領は、「1964年の公民権法」と「1965年の投票権法」の両方に署名し、今後数十年にわたって彼の所属する民主党が、黒人票を独占することを決定的にした。
アメリカの黒人はこのときから民主党に忠誠を尽くしてきたにもかかわらず、白人との格差(教育レベル、貧困率、犯罪率、住宅保有率)は埋まらなかった。
今日の民主党の指導者たちは、社会的少数派の抱える問題を芝居がかって強調することによって、党の基盤を確立している。彼らは黒人たちの置かれている不公平な状況を嘆き、「民主党に清き一票」を投じさえすれば、必ず状況は好転するという、あまりにも使い古され、美辞麗句に彩られた、希望に満ちた約束をする。もちろん、この繰り返し行われている彼らの欺瞞に満ちた「約束破りの戦略」が成功しているのは、私たち黒人が、彼らの提唱する「被害者史観」を受け入れているからだ。
左派の主張する黒人の「被害者史観」を拒否し、自力で変革をしていかなければ、黒人の厳しい現実を改善することはできない。
3 家族関係の大切さ
何故奴隷制の時代から約100年も経った現代で、黒人家族の大きな断絶が始まったのか。
断絶の始まりは民主党のリンドン・ジョンソン大統領時代まで遡る。ジョンソンは黒人たちに民主党へ投票させることを目的に、「偉大なる社会」計画を開始した。これは、政府が福祉を通じて貧しい黒人女性を力づけることで、黒人男性を弱体化させる計画だった。例えば貧困層に属する母親でも、健常な男性が一緒にいる場合には給付金を受け取ることができない、といった不自然な規則などがその例だ。黒人女性に対して援助を与えることで、男性の存在無しで子どもを育てることを奨励したのだ。
1963年に非白人の72%の家族が、結婚して一緒に暮らしていたが、2017年になると結婚している黒人世帯の割合は、わずか27%になっている。一方の白人家庭では、1963年には結婚している白人家庭の割合が89%だったのに対し、2017年には51%と、こちらも38ポイント減少している。つまり、黒人に「力を与える」とされた政策は、実際には人種に関係なく、アメリカ社会において非常に大きな家族の崩壊をもたらしたのだ。
もう一つの驚くべき統計は、黒人の未婚男性の数だ。1960年の国勢調査では、15歳以上の未婚の白人男性は約24.4%で、黒人男性では29.6%と、その差は5.2ポイントだった。これと比較す���と、2017年の白人男性の未婚率は33.1%で、黒人男性の未婚率は51.9%となり、そこには18.8ポイントも差が生まれていた。つまり、白人男性と黒人男性の未婚率の差は、1960年から2017年の間に、3.6倍以上に開いてしまった。
家庭の中に父親がいない場合、子どもたちは犯罪を犯しやすくなり、シングルマザーから虐待を受ける可能性も高くなることが分かっている。
4 フェミニズムの毒
リベラルの現代版フェミニズムの明らかな目標は、西洋世界から男らしさの概念を完全に取り除き、男らしさを表現することをすべて否定し廃止する一方で、女性らしさは非難されることもなく、女性のためにならどのようなことであれ、とにかくすべて許されるようにすることである。
この動きの大きな問題は、男らしさが時代遅れとされ、必要ないものとなれば、家族も時代遅れで必要ないものになるということだ。そして、すでに述べたように、家族同士がお互いを頼り、守り合いながら生きていく気持ちが一つ失われるということは、政府へ従属する気持ちはその10倍も増加するのだ。
5 過剰なる文明化
アメリカの文明化は、国家として世界中から法を遵守する移民を受け入れると同時に、発達しているとは言えない環境から亡命しようとする人々に適正な手続きを提供する国となる、という決断をしたときに達成された。
しかし、今は「過剰な文明化」が起きている。過剰な文明化とは、あらゆることを人種差別と結びつけて問題にしたり、抑圧を捏造したり、そして自ら人種隔離を求めたりする、というような現在の状態だ。例えば同性婚を認めてLGBTカップルに対して権利を開いたが、そこから自称女性ジェンダーの男性が女性トイレの使用を求めたり、女性のスポーツ競技にトランスジェンダーとして参加するのを求めたりすることである。
それは民主党の政治家たちがアメリカから国境をなくし、どのような不法移民であろうと、誰も彼もが入国し滞在できるようにしてきたことが原因だ。
今日の黒人の中には、特権を得る証として、自己を他の人種から隔離することを選択する人もいる。全米各地で、ヘイト・クライム事件を捏造し、「人種差別の被害者になりたい」という欲望を満たすための虚偽事件が報告されている。そして、それをメディアが黒人対白人の分断キャンペーンを深めるために利用している。メディアは人種差別が利益を生むパターンであることを熟知しているのだ。
6 メディアと「犠牲者としての黒人」
ソーシャルメディアでは、白人警官に殺される黒人男性の映像が何億回も再生され、多くの人々に、警察官のこのような蛮行は解決しなければならない問題である、と感情的な反応を持つように促している。
もちろん、警察官の残虐行為のような恐ろしいものを支持するアメリカ人はほぼいない。そして、それが現実であれ勝手な想像であれ、法を無視した警察官によって黒人が好き勝手に殺されているという話は、実際には黒人社会の苦悩を強調したい、というリベラル・メディアの基本的な欲望によって誇張され、不誠実に歪曲されたものにすぎないのだ。
政治評論家のヘザー・マクドナルドは、2015年から2016年にかけて、黒人の被殺害者数が900人増加し���ことを指摘する一方で、白人の警察官がこれらの殺人の責任を負っているわけではないという点を強調している。「BLMの主張に反して、警察が黒人男性を恐れる理由は、黒人男性が警察を恐れる理由よりもはるかに多い」と彼女は言う。
そして実際、「2015年に警察官が黒人男性に殺された確率は、丸腰の黒人男性が警察官に殺された確率の18.5倍だった」のだ。
BLMの流行により、警察官たちは、彼らがするはずの仕事をもう止めてしまっている。マクドナルドは、「警察は犯罪の多いマイノリティが居住する地域での積極的な取り締まりを控えるようになっている」と指摘し、「政治家やメディア、BLMの活動家から、午前2時にドラッグの取引で悪名高い場所をうろうろしている人に対して、パトカーから降りて質問するのは偏見だ、と言われ続けてきたために、多くの警官はパトカーでただ通り過ぎるだけになってしまっているのだ」と続けた。
その結果、多くの黒人社会では、以前にも増して多くの暴力事件に悩まされ、さらに多くの命が奪われている。2018年に起きた2925人の黒人殺害の犯人のうち、2600人は黒人であり、白人は234人しかいなかった。黒人の被害に合っているのは黒人自身なのだ。
メディアの意図は明確である。それは真実を無視し、彼らが寵愛する人間には美徳の仮面を与えながら、黒人を民主党の所有する奴隷農場に縛りつけておくことなのだ。黒人を、引き金を引く警官の格好の餌食、もしくは射撃用の標的になっていると描いて見せることで、黒人社会全体が被害者意識を維持し、だからこそ民主党という救世主が必要とされ続けているのだ、と信じさせることができるからだ。
7 奴隷制
現在のアフリカには、70万人近くのアフリカ人奴隷がいる。驚くべきことに、彼らは他のアフリカ人に奴隷にされているのだ。少年兵、人身売買、強制労働……これらは、大西洋を横断する奴隷貿易が始まった場所と同じサハラ砂漠以南の地域に存在する現状だ。アフリカ人の体は、当時と同じように今も売られている。しかし、昔のように白人の国に買われているわけではない。実際、現在の「奴隷制度」は、非白人の国でのみ行われている。言い換えれば、今日、白人が人口の多数を占める国で奴隷制を制度化している国は一つもないということだ。
ではなぜ、アメリカ黒人の権利を標榜するリーダーたちは、このような事実を紹介しないのか?
それは、愛国心では儲からないからだ。
一方、黒人の被害者意識は利益を生む。それは政治家を当選させ、NAACP(全米黒人地位向上協会)のように人種差別を「暴露」(=搾取)することを目的とした組織は、黒人の被害者意識を利用して手数料を取るだけで、巨額な資金を得ることができるからだ。
要するに、今、アメリカの黒人は、刹那的な大義のために味方のふりをして何百万ドルも稼ぐ様々な個人やグループに搾取されているのだ。