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アセクシャルでアロマンティックの十和子。赴任先の学校で14年前に殺された教師と似ていると言われ調べたところ、彼女もまた自分と同じ傾向があったのではないかと興味を覚えるようになる。その一方で、自身の欲望から凄惨な殺人を繰り返す八木沼。彼もまた14年前の事件に関わっており、そして彼が十和子にも惹かれたことで二人の物語は交錯するように。とてつもないスリルとサスペンスに満ち溢れたミステリです。
さまざまなかたちの性愛を持つ人たちが描かれていて、「そんなかたちもあるんだ」と驚くばかり。たぶん、それを「異常」「気持ち悪い」と捉えてしまう人もそれなりにいるんでしょうね。だけどどんなかたちであってもそれが「OKかOKでないか」というのはわかりやすく、全くそのとおりかも。私自身も恋愛とかにかなり興味がない方なので、十和子の気持ちは少しわかるかも、と思いました。なるほど、世間の決めつけってしんどいよね。
一方で八木沼はあきらかに「異常」なのですが。しかし彼の「使命」がなんだったのかが判明するにあたって、とんでもなく純粋な部分が垣間見えたのが衝撃でした。もちろん彼がやってしまったことは到底許されることじゃないし、他にやりようがあっただろうし。それでも彼もまた被害者だったのでは、という思いを禁じえません。あまりにひどい犯罪者なんだけど、潔すぎる部分もあるし、どこか憎めないんだよなあ。
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様々なセクシャルがあるのだと知ることができたが、理解が追いつかない。グロテスクな描写もあるので、ミステリの部分が入ってこなかった。
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教師である十和子はその日、新たな赴任先へと着任した。自分とよく似ていると伝え聞く戸川更紗が殺された学校へ。
自分は何者なのか、自分とよく似ている更紗を理解することで探ろうとするうちに知らずと事件へと巻き込まれていた十和子は、ようやく自分とは何かをつかみ始めていた。
ただのサイコミステリーかと思ってたら、すごく深く考えさせられるストーリーで、揺さぶられまくった。
親から受ける影響、性的な個性、そもそも個人とは何か。
加害者はなぜ加害者になってしまったのか、そこになんらかの酌むべき事情はあれど、起こしてしまってはいけなくてそれは許されるべきではない。
だから、どうにかして加害者にならない仕組みがあればいいんだろうけど。
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氷の致死量
櫛木理宇
2022年5月10日発行
シリアルキラー:連続殺人犯サスペンス
熱いコーヒーを淹れて、読み始める
寒さを感じる日が増えてくる10月も終わりに近い日
35才の独身女性で私立中学の先生が主人公
命を狙われるが、犯人の同僚美術教師は逮捕される
スタートから犯人を匂わせる記述をされた赤ちゃんプレイが大好きな殺人鬼に助けられる形で真犯人の魔の手を掻い潜る
そして主人公のマザコンにも少しは自意識が芽生えたかなというところで終わる
性行為に関心を持てない アセクシャル の主人公
妊娠したら生徒たちは、先生を流産させる会を立ち上げ階段から突き落として本当に流産させられた
LGBTをはじめとした性的マイノリティの人という設定で様々な性的嗜好者の話しが出てくる
Xジェンダー、対物性愛者、半性愛者、被窃視症、ズーリフィア:動物性愛者、リスロマンティック、人形性愛者、フィクトセクシュアル などなど
誰かに理解してほしいと願ってる人々でもある
どれだけの区別を理解している人がいるだろうか
人類の歴史でこれだけの区分を作り出したことは、これまでなかったんじゃないだろうか
区分して命名して他とは違う事に理解を求める人々の権利が認められている社会
背景には異常な親たちがいる
まっとうに子供を育てていると主張できる親たちが、こうした子供たちに育て上げている
この小説の様々な性マイノリティやら性嗜好や不器用な生活表現はマザコンに起因するものが殆どだ
著者も現代日本の精神病理はオイディプスではなくマザコンから来てると感じているのだろうか
描かれる毒親とか家族や兄弟やDVや自傷行為などの問題は日本国内のとてもローカルな話しに終始している
何か甘いものでも食べながら、緑茶でも啜りたくなってきた
気分転換は必要だな
楽しいと思える人もいるだろうから、まずはご自身の判断でどうぞ
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一気読みでした。面白かったです。
が、こんな異常者ばっか、集まるもんかなーと感じたのは
にこが世間知らずだからなのでしょうか。
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初めての櫛木理宇さん。
アセクシャル(無性愛者)がテーマになっているのだけど、このテーマにあまりひかれなかったので、ストーリーにあまり入り込めなかったのだと思う。
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えへへ、これも途中で返却。文体が合わないんだな。こういう展開が好きな人にははまるでしょう。くどいんだよね。
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すべては母から、母という存在が自分にとってはどんなものか…というのに行きつく気がした。
そして、アセクシャルというのも否定することはないし、少なくとも人に知られたくないだけで悩んでいる人もいるだろうとは思う。
悍ましいシーンも出てくるが、単なるシリアルキラーではなく、うちに潜むものがそうさせたのでは…
そういうものが交錯して、驚愕の真実に辿り着く。
英語教師の鹿原十和子は、自分がアセクシュアルかもしれないと思っていた。
厳しい母の言いなりで、決して母を怒らせまいとして望む態度をとり、萎縮して育った。
八木沼武史は、ある日を境に殺すことを目的とし、次々と女性を殺しては、その内臓にママを感じていた。
鹿原十和子の赴任先の聖ヨアキム学院中等部の市川樹里は、母親からネグレクトを受け問題児であった。
鹿原十和子が、この聖ヨアキム学院に赴任してから自分と似ていたという教師・戸川更紗に興味を持つ。
彼女は14年前、学院で何者かに殺害されて未だ犯人は捕まってない。
この戸川更紗のことを知ろうとするにつれて、鹿原十和子の身の回りにさまざまなことが起こる。
すべての始まりは、14年前であった。
理想の聖母、つまりは性の匂いがしないことを望んでいた生徒にとっては、アセクシャルであることも少なからず影響があったのではと思う。
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母親からの愛を求めて。
愛されていないと想ってしまったからこそ、誰か代わりになる人を探し求めてしまったのだろう。
穏便に済ませたい気持ちは分からなくはないが、命を奪った罪は償わせるべきではないか。
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この作者の作品は2つ目になりますが、育ってきた家庭環境によって人格というものが形成される、環境説を推している人なのかなと思いました。
想像するとかなりグロテスクな描写が多く、性の多様性を肯定しつつもその怖さを描いている作品でした。
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09月-07。3.5点。
女子校の教師が主人公。アセクシャル(無性愛者)のため、夫とも上手くいかない。勤務の高校では、14年前に主人公と似た教師が殺人にあっていた。。。
読みやすい。一見珍しいテーマだが、中身は虐待など。
真犯人は少しヒネリが合って面白い。作者のミスリードが上手いと思った。
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多様性とか性的マイノリティとかが題材となってます。朝井リョウさんの正欲よりエンターテイメント的で読みやすいのかな。でも、読みやすい分、浅い感じも。今回はアセクシャルやアロマンティック。この手の本を読むたびに新しい世界が広がるけど、性的嗜好や性格が個性なのかマイノリティと言われるものなのか分からなくなる。一個人であって、マジョリティとかマイノリティとか区別する方が変な気もする。
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シリアルキラーサスペンス。学園内での殺人から始まり…。性的マイノリティー達の区別がいろいろあり勉強になった。この話の母親は、ホントにため息がつく。実際にいたら嫌。
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櫛木ワールド全開。
14年前に聖ヨアキム学院中等部内で起きた殺人事件。
事件未解決の学園に、被害者と雰囲気が似ている英語教師・鹿原十和子が赴任して来る。
十和子VSシリアルキラー。
十和子は犯人の魔の手から逃れる事が出来るのか。
他者に対し、恋愛感情や性的欲求を抱く事のないアセクシュアルや、ネグレクト、毒親問題を絡めながら物語は展開していく。
母親から得られなかった愛情を埋め合わせるかのように代償行動を取る殺人犯。
母性神話に囚われた果ての執着と狂気にゾッとする。
母子間に流れる愛憎と共に、切なさが残るホラーサスペンス。
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大型獣を解体には、まず腹の皮を割いてから内臓を取り出す。
止めを刺してすぐでは内臓は暖かく、臭いはケモノ臭いといったものだ。
しかし、内臓の内容物は消化途中のモノが含まれ、ひどく臭う。
そんな臭いの記憶が蘇るような小説だった。
ジャンル分けすると、この小説は倒叙ミステリになるだろう。
最初から犯人の行動を描写しておき、それからどうやって謎が暴かれるのかというストーリー展開をする。
14年前に起こった犯人不明の殺人事件からんだ学園モノ。
クリスチャン系の中学校に赴任した鹿原十和子は、この学園で会う人会う人に驚きをもって迎えられた。
14年前、この学校で起きた殺人事件の被害者、戸川更紗に似ていたからだ。
十和子は、その戸川を調べるにつれて、彼女が同じくクリスチャンであり、同じ大学に通い、同じ教授の指導を受けてきた過去を知り、そして同じくアセクシャルだということも知る。
彼女が赴任してしばらくして、自分の鞄に脅迫状が入っていたことに気が付く。
その内容は、彼女が以前の学校での仕事を続けられなくなったことを知っているような記載があった。
八木沼武史は殺人鬼だ。
幼い頃に母親から与えられなかった愛情が歪み、自分が認めた相手を殺して内臓を引きずり出し、それに包まれることで安心感を得ている。
自分の殺人は神からの使命だと思う一方、忘れられない光景がある。
それは、当時の副担任だった戸川更紗の死の瞬間だった。
近頃は、倒叙ミステリと思わせて犯人は別なのが流行りよなぁ。
はっきりと、自分が殺したという描写が無い限り、倒叙ミステリであっても犯人と断定せずに読むようにしている。