投稿元:
レビューを見る
プロローグ 情報爆発の時代
光でもなく闇でもなく
一四九二年の衝撃
もっとすごい一五四三年
広がる地平
メディア革命と情報爆発の時代
情報編集という視点からみたルネサンス
第一章 ルネサンスの地図の世界
花の都がクサい?
クジラ愛ずる君主
自然の驚異に魅せられて
新大陸と戦乱のイタリア
ルネサンス文化のフィルター
メディチ家とプトレマイオス
「地図の間」の構想
コスモスの支配
他にもあった「地図の間」
製作の経緯
描かれた地図の特徴
最初に描かれた二枚
ダンティが描いた新世界
食人イメージ
新世界発見の業績を読み替える
イタリアの偉業として
イタリアの立場
伝統知と新知識の融合
第二章 百学連環の華麗なる円舞
人間、この偉大なる奇跡
カメレオンのごとくに
拡大する世界の中心で
世界を賛嘆する人
八宗兼学
知のための知
「百学連環」と喜ばしき誤読
クインティリアヌス『弁論家の教育』──古代の百学連環思想①
ウィトルーウィウス『建築十書』──古代の百学連環思想②
キケロー『弁論家について』──古代の百学連環思想③
中世における知の集約と分類
『大亀鑑』
ムーサの円舞
アンジェロ・ポリツィアーノ
円環か樹形図か
フランソワ・ラブレー
神の霊感がもたらした発明
ルネサンスと古代・中世を分けるもの
ベイコンによる転換
第三章 印刷術の発明と本の洪水
「積ん読」の誕生
キケローを叱りつける
ブック・ハンター
印刷術の発明をめぐって
印刷本の特徴
印刷術の拡散
本が増えるわけ──発行部数と市場原理
人気タイトル
拡大する蔵書の規模
印刷版書誌の誕生
万有書誌の夢
選別書誌
禁書目録
禁書目録をめぐる悲喜こもごも
阿呆船の向かう先
第四章 ネオラテン文化とコモンプレイス的知の編集
不治の病
どうしてこうなった
ちょっと待て
ネオラテンの誕生とキケロー主義
模倣と創造をめぐって
私は猿になりたい
病を治すには
ネオラテンの学習法
エラスムスの古典語学習法
ベストセラー作家のお手本
コモンプレイス(Loci communes)
中世からルネサンスへ
コモンプレイス・ノートテイキング
鋏と糊を持って読む
印刷版コモンプレイス・ブックの登場
テクストール『オッフィキーナ』
みんなのネタ本
ツヴィンガー『人生の劇場』
劇場の構成
誰も使いこなせない樹形図
コモンプレイスと知的生産
コモンプレイス化する世界
文化資本のレポジトリーとして
第五章 記憶術とイメージの力
キケローになれる装置
古代の記憶術
三つの基本原理
イメージの力
ルネサンスにおける復活
印刷術と記憶術
キケロー主義者カミッロ
カミッロの記憶劇場
窓付きの魂
ヴィジュアル・インデックス
言葉とイメージと物
記憶劇場からミュージアムへ
初の蒐集理論書
キケローの雄弁を超える
コモンプレイスとミュージアム
フランチェスコ一世のストゥディオーロ
トリノの大ギャラリー
第六章 世界の目録化──ルネサンス博物学の世界
恋するアルドロヴァンディ
破天荒な青年
ローマでの運命の出会い
ボローニャ大学博物学教授
博物学という学問
古典文献の校訂(十五世紀後半)──ルネサンス博物学の発展①
自然との照合で植物学が自立(十六世紀前半)──ルネサンス博物学の発展②
教育研究体制の確立(十六世紀後半)──ルネサンス博物学の発展③
増大する品種
植物園と乾燥植物標本
博物学と印刷術
十六世紀の動物誌を読む
エンブレム的世界観
解釈フレームとして
エンブレム的世界観と新大陸の博物誌
アメリカに行きたい!
博物図譜の誕生
図譜のメリットとデメリット
アルドロヴァンディのイメージ論
ヤコポ・リゴッツィ
アルドロヴァンディの図譜工房
世界八番目の驚異
パンデキオン・エピステモニコン
カット&ペースト
後世のために
エピローグ 「情報編集史」の視点から見えてくる新たなルネサンス像
衰退へと向かうエンブレム的世界観
アッカデーミア・デイ・リンチェイと『メキシコ宝鑑』
記憶術のその後
伝統と革新のはざまで──接ぎ木と引用
あとがき
主要人名索引
主要参考文献
投稿元:
レビューを見る
書名のスケールの大きな構想に惹かれ手に取ったが、
内容は平凡な「ルネサンス」談義
情報革命は売らんかなの書名で、情報もデジタルも素養は無い。残念ながら期待を裏切られた。
1.グーテンベルクとGoogle
空間 新大陸とサイバーワールド
時間
魂 世俗宗教の解放
2.3.4.5.
投稿元:
レビューを見る
ルネサンス時代の研究で特に博物誌としての書籍を説明した本である。情報革命がルネサンスで起こったといわれるが、その情報革命の定義が書かれていないような気がする。ひとつひとつ見ていけば面白いものがあるのかもしれない。ルネサンス史として読んだ方がいいと思われる。
投稿元:
レビューを見る
自分たちとは遠い時代遠い国の謎を軽妙な語り口で解き明かしてくれる。ときどきクスッとさせられる一文も。博物館の歴史を最近調べていたので、ブンダーカンマーの話はとても興味深かった。情報が膨大すぎるから体系づけの必要にせまられたというのは、現代にも十分通じる話
投稿元:
レビューを見る
面白かったです。これまで聞いたことのない話が多く、純粋に知的好奇心が満たされました。本書は「ありがちな」ルネサンス解説本とは一線を画しています。「ありがち」な本というのは、ルネサンスを芸術やヒューマニズムの視点から論じたり、ルネサンス時代の光と闇という切り口で分析するものです。そうではなく、本書ではルネサンスを「情報革命」という切り口で論じているのですが、例えば以下のようなトピックを含んでいます。
・地図
・百学連環(百科事典)
・活版印刷の発明
・情報編集論としての「コモンプレイス」(ラテン語の常套句、議論の型など)
・記憶術の発展
・世界の目録化(植物誌、動物誌、博物誌…等の登場)
まさに「知の大爆発」が起こっていたわけで、その中で人々は「万能人」たるべく飽くなき知的好奇心を発揮していったことが読み取れました。
現代に目を向けるとインターネットの登場で、アクセスできる情報量は爆発的に増え、生成AIの登場によってコンテンツの生成が容易になりました。これからは画像だけでなくゲームや動画、メタバースなどが爆発的に増えていくでしょう。その意味では、現代人もルネサンスと似たような状況に置かれているのかもしれない、という気がしてきました。ただし違う点としては、人間が「万能人」を目指すのではなく、人工知能という、百学連環を備えた「万能人」をつくりあげようとしている、ということかとは思います。
投稿元:
レビューを見る
情報の編集技法が劇的に変化した、という点からルネサンスを見つめ直す。
スペインやポルトガルは新領土からの経済的利潤を追求するあまり、現地文化の理解には消極的だった。新大陸の土地を獲得しなかったイタリアは、それゆえに俯瞰的、客観的に情報を消化し、分析することができたという。
投稿元:
レビューを見る
いまの日本だとゼネラリストよりスペシャリストに重きを置く方向になっているように思うがやはり学術に限らずビジネスも繋がりがあることを考えるとルネサンス期などのように満遍なく学んでいくことが大切だということを再認識した。スペシャリストでもその前提としてゼネラリストであること。
そしてwebやSNSの普及で情報量が爆増している一方で読解力が弱くなっているいま、あらためてルネサンス期に習って情報を整理していくことが重要。
その意味だとルネサンス期は情報の爆発n読解力は追いついていたのだろうか。(抜粋集があったということは程度の差はあれ似た問題はあったのか?)