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※
時代の変化に翻弄されながら生きた親。
親が背負って生きた歳月の奥に隠されていた
事実を知ることになった子たち。
親子二代に渡って向き合う、
犯した罪とその罰への関わり方を綴った物語。
塩田武士さん『罪の声』を読んだ時のように、
自分とは全く無関係だと思っていた歴史に残る
大事件が、身近で起きた綻びから一瞬にして
自分事に変わる衝撃を思い出しました。
複雑かつ緻密、人の心に揺らぎに訴える長編。
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幼馴染みで親友の亮輔と賢剛。
亮輔の父、辰司と賢剛の父、智士もまた幼馴染みで親友だった。
辰司は警察官で長く交番のお巡りさんとして勤務し、地域の人に慕われていた。
既に引退していたが、そんな辰司が川で遺体となって見つかった。
それを捜査することになっのは、智士の息子で刑事となった賢剛だった。
辰司の息子の亮輔は父の死にあたり、もっと父のことを知りたいと、独自に父の過去を調べ始める。
すると、とてつもない闇にぶつかることになった。
知らない方がいいこともあるのか…それを知った時、どうするのか…
衝撃が止まらない。
2023.1.15
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愚かで悲しいお話だった。
貫井さんの小説は2作目ですが、犯罪を犯した人の心の内を描くのがなんて上手なのでしょう。
父と息子、それぞれ親友同士の親子二代の話。
父が殺されたことで、自分は父について何も知らないことに気づく。父には大きな闇があった。
調べるにつれて徐々にベールが剥がれていく。
知っていいのか、知らない方がいいのではないか…。
根っからの善人達が誘拐事件を起こしたこと、なぜ人質の子供が死んでいるのか、途中ヒヤヒヤしながら読みました。
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ここんとこ、貫井君のは外れが多かったがこれは⭕️。ただし、かなり早くネタバレになったので後をどう繋ぐんかが心配だったが、まずまずの落としどころだったかな。
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元警察官の男が殺害され、その息子と息子の幼馴染で現在警察官の男がその謎を暴いていく。様々な要素が絡まり、意外な真実が。
現在と過去、交互に物語は進む。心理描写は丁寧だが、少し動機面が粗いか。しかしさすが貫井作品、骨太で面白い。
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'23年1月1日、Amazon Audibleで、聴き終えました。23年最初の一冊…そして、本当に久々の、貫井徳郎さんの作品でした。
思っていた以上に重厚な作品でした。で、以前に読んだ貫井さんの作品達を、懐かしく思い出したりもしました。
バブル経済に翻弄されて、人間らしさを失ってしまって、足掻き苦しみながら…バブルの時代に抗おうとした人達の話。聴いていて、胸が重苦しくなりました。
確かにあの時代、若者だった僕から見ても、皆狂っていたな、と思います。大きなウネリにささやかな反発、抵抗を試みて…多くの失敗をしました。
そんな時代の登場人物たちの行動に、賛成はしませんが…共感を感じました。
久々の貫井作品…新年の最初の一冊が本作で、良かった。本年も、沢山の出会いがあると嬉しいな。
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頁数は多いけど、飽きることなく読み進められた。予想だにしない展開もあり、本筋だけではない楽しみがあった。人間って、愚かで哀しいな…。
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ただ【殺人事件】を探るのみならず、現在の犠牲者の子とその友人、過去の犠牲者とその友人とのやりとり、心情、経緯が描かれており、なかなか奥深い作品。
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期待はずれの一作。
前半は良かったのに後半になるにつれておいおいどうした?ってレベルで物語が雑になっていき置いてけぼりを食らう。犯罪の動悸から結末までが独りよがりで共感する余地が無く、間抜けな劇団の出来の悪い演劇を見ているようだった。
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ミステリーではあるから展開が気になって一気に読めたけれど、なんとなく途中から展開が読めてきてしまうので、終盤にかけての驚きは薄くなる気がした。それと、登場人物みんな動機が浅いと言うか、少し心情が汲み取りにくかった。これを書けたから小説家を辞めてもいい、全力を出し切った自信作と解説されていたけれど、貫井徳郎の真骨頂ではないような気がした。
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バブル期(昭和の終わり)に起きた未解決の誘拐事件と、現代の交番勤務警察官殺人事件が交錯し、謎が明かされる。
殺害された警察官、辰司の息子である亮輔は、父の死後に自分が父について何も知らなかったことを悟る。なぜ父は殺されたのか、立派な警察官だと思っていた父にも後ろ暗い部分があったのかと疑念を抱きつつ、調べ始める。一方、辰司の親友だった智士は28年前に自殺。だが誰もその理由を知らない。智士の息子、賢剛は刑事として辰司殺しを追う。
亮輔がたどり着いた事件の結末に、賢剛は打ちひしがれる。
なぜ智士は自殺したのか、なぜ辰司は殺されたのか。人間の思いやりと愚かさを同時に感じる作品。
「罰せられない罪はない」。まさにその通りだと、思う。
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地上げ屋にこんなかたちで嫌がらせをされたら自分ならどうするだろう 警察に頼んでも解決されないなら、憤りと恐怖、ストレスで病気に、高い立ち退き料をもらっても人生が崩壊した家族も描かれる。義憤から一矢報いようと立ち上がり完全犯罪は成立するかに思えたが・・・巨大企業相手に犯罪という手立てだ立ち向かうことでむかえる悲劇。現代の七人の侍はつらく哀しい。
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過去の出来事が、現代の事件の遠因になるというミステリーのひとつのパターンがあるが、本書のその一典型といえる。
現代とバブル期とを交互に描き、登場人物たちがその関連性を徐々に明らかにしていく。バブル期という「時代に怒る」正義の念から起こした行動が、彼らの意図しない偶然性により不幸な結末を招く。
「罪」を抱えたままの者たちが、ひとつの嘘により、さらに哀しい事態が引き起こされるというミステリー。
罪を犯した者は罰を受けるのが必定、祈りはどこにあるのだろう。
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元警察官だった父親が死んだ。その死の真相。
東京下町、バブル期、地上げ屋、誘拐事件。
ひとつの悲劇がまた新たな悲劇を生む…
30年の時を経て、点と点が線になり真実が見えてくる。
親の事って思いのほか知らないもの。
知っているようで「親」という一面しか知らない
その親の暗い過去は知らない方が自分のためだし、
親からしても子には知られたくないものなのかも。
亮輔と賢剛の10年後…未来が明るいことを願うね。
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警察官だった父が川に落ちて亡くなってしまう。死因は溺死のようだが,頭に殴られた跡があるとのこと。父の死に納得がいかない息子の亮輔は,友人で警察官の賢剛とともに,父について調べ始める。どうやら父は過去に秘密があるようで…。息子世代の現代パートと,親世代の過去パートが交互に書かれています。
私も動機は無理矢理感もあったが、浅草の風景を舞台に、昭和の終わりの頃のばかげたバブルや、大喪の礼の頃の沈んだ雰囲気、その後の関わった人の悲しみなどは読みごたえがありました。