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あまり頭に入ってこなかった。
日本病(日本化 ジャパフィニケーション)
低所得・低物価・低金利・低成長を指す。
この現象は2008リーマンショックの際に世界中で見られたが、欧米は大規模な量的金融緩和政策・大規模財政出動によって長期化をさけた。なぜ各国は長期化を避けられていたのか、それはバブル崩壊後からの日本病を研究してたからだ。各国が日本化を恐れたのはデフレの長期化による自殺者の増加、低出生率など、人口を含めて大きな影響があったから。日本はショック後慎重な態度を示したため異常な円高・株安を招いた。起業は拠点を海外に移し産業の空洞化を招き、バブル以降冷え込んだ地方経済を完全に疲弊させた。
1990年バブル崩壊後、日本は利上げを続けていたが、1991年7月に利下げに方向転換、0金利政策は9年後の1999年2月に行った。金利のを段階的に下げ長時間かかったせいもあり、デフレに転じることになる。アメリカではリーマン・コロナショック後3カ月で0金利までデフレを回避した。
バブル崩壊後の景気の低迷は、諸外国にとって反面教師にされていた。
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日本の慢性的な低賃金や低成長について「病」という表現が面白かった。
ただ「病」という表現には「治せる可能性がある」ということを含んでいる。
著者である永濱さんは厳しい現実を捉えながらも悲観はしていないように感じた。
ダウンサイジングしていく日本の現状に合わせてひとりひとりご出来ることを考えさせられる一冊。
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現在日本は、低成長・低賃金・低物価・低金利の「4低」状態にあり、ながらくここから抜け出せていない。このままでは日本はどんどん衰退の道を辿り、世界から買われるだけの安い国になってしまうだろう。
本書はこのような危機感を持ったエコノミストである著者が、それぞれの詳細の現状分析、その原因を明確にした上で脱出のための提言を述べる、という構成になっている。
非常にフェアな本だと思った。
現状分析はすべて公式にプレスされた最新のデータに基づいて行われており、納得感が高い。原因と対策には疑問符がつくところは数箇所あったが、概ね一般に受け入れられている内容であり、突飛なものではない。
裏返すと目新しい論ではないということだが、論点と課題が明確になっていて非常にわかりやすい。子細の説明は省くが、今後日本の回帰策として重要なのは「財政出動を増やすこと」と「雇用の流動性を高めること」の2つであると個人的に強く思う。
前者はそのままの意味で、安倍元首相、黒田日銀総裁によって行われた「アベノミクス」によって量的金融緩和が実施されたことで、日本のマネタリーベースは増加した。しかし政府による財政出動が足りていないために完全なデフレ脱却は達成されていない。
今後は継続した量的緩和とともに、財政出動により景気を刺激することが必要である。日銀新総裁の植田さんの経歴を見る限り、しばらくは量的緩和施策が維持されそうだが、今後の行先を注視したい。
後者も重要である。日本企業の賃金が欧米と比較して上がらないのは、日本が欧米に比べて労働者の流動性が低く、企業に対する賃上げのプレッシャーを与えられていないことが一因にある。
このためには日本の雇用法を見直して流動性を高める施策をとらなければならない。そして人材の適材適所への配置転換と個人のスキルアップを促し、生産性を高めることで賃上げが可能な環境を作っていくべきだ。
この2つの改革が遅々として進まないのは、ひとえに日本は保守的政治勢力と老人が力を握っているからに他ならない。
たとえばメディアは「日本の財政は危機的状況にある」とフェイクを喧伝することで、日本において財政出動は不可能かつ増税が仕方のないことであると思い込ませている。
彼らが日本の核心を妨げる癌であることは間違いないが、これらを無批判に受け入れる国民にも問題がある。馬鹿で無知故に、日本国民は政治家に「なめられて」いるのである。
日本人はもっと経済、金融、国際情勢について勉強しなければならない。思考停止でいつまでも安泰な生活を送ることができる時代はもうすでに終わったのだ。
日本人が賢くなり、政治家に圧力をかけることができてはじめて日本の民主主義は次のステージにいける。
本書はそのための基礎となる一冊である。
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2023年25冊目。満足度★★★☆☆
日本経済の現状について、広く一般の読者にとって、明快かつ簡潔に解説
個人的には「おさらい」の域を出ない内容であるが、特に経済に詳しくない人が薄い新書で「日本病」を理解できお勧め
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以前、有名な学者の著書では、デフレの方がインフレより良いと書かれておりそんなもんかと思っていたが、デフレには悪いデフレしかないことを確認できた。政策当局があまりにもインフレを怖がりすぎたことから、財政政策を徹底できず、日本の失われた30年を招いたといえる。日本は格差が広がっているのてはなく、全ての所得層が貧しくなっている。この点、マスコミの報道も問題だろう。
デフレの放置による貧困化が少子化を呼び込んでいるとすると、先の戦争で亡国を招いた戦前の政治家、軍部と、現在の政治家、日銀等は責任は同じと言って良いのでほないか。
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何ヶ月か前に、ビジネス本で読むべき本、として上がっていたので、借りて読んでみた。
アベノミクス礼賛、黒田日銀の異次元緩和策礼賛、(消費税率増税のタイミングは最悪)というトーンでずっとマクロ経済について解説してした本。
どこかで聞いたような話が多い。発刊後一年以上経っているので、逆に本書の内容が世の中に浸透済みだということだろうか。
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読みやすい本です。
すっかり高い日本から安い日本になってしまい、このまま大した対策もとらず、ただ手を拱いていたら日本の状況はもっともっと悪くなりえます。
はじめに
第1章 日本病ー低所得 低物価 低金利 低成長
第2章「低所得」ニッポン
第3章「低物価」ニッポン
第4章「低金利」ニッポン
第5章「低成長」ニッポン
第6章 スクリューフレーションの脅威ー1億総貧困化
第7章 下り坂ニッポンを上り坂に変えには?
おわりに
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アベノミクスを支持する著者がバブル崩壊以降の低所得・低物価・低金利・低成長する経済状況を日本病として解説される。女性と高齢者が働き手になり社会保障を支え、個人投資による資産形成で将来不安を解消させることが景気回復に繋がる。
永濱 利廣
一九七一年、群馬県生まれ。第一生命経済研究所首席エコノミスト。早稲田大学理工学部工業経営学科卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。一九九五年に第一生命保険入社、日本経済研究センターを経て、二〇一六年より現職。衆議院調査局内閣調査室客員調査員、総務省「消費統計研究会」委員、景気循環学会常務理事、跡見学園女子大学非常勤講師。二〇一五年、景気循環学会中原奨励賞を受賞。著書に『経済危機はいつまで続くか――コロナ・ショックに揺れる世界と日本』『MMTとケインズ経済学』など多数。