電子書籍
漫画ではなく短編小説だと思えば良作。
2022/10/16 13:58
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:arisax - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は書籍は紙媒体で購入・漫画は電子書籍で購入派です。
本作も電子書籍の方が割引で購入出来たのですが、表紙の装丁(水彩調の絵柄デザイン)がとても素敵だったので、敢えて紙媒体で購入しました。
結果、大正解。
この作品は漫画と言うより書籍(短編小説)と見た方が納得出来ます。
1話毎に異なる国の少女が主人公となる構成(オムニバス形式)なのですが、いずれも問題提起の導入部分で終わっている為、起承転結のある漫画を読み慣れた人が読むと「それでどうなった?」という肩透かし・物足りなさを感じるかも知れません。
以下、一部ネタバレが有ります。
良かった点:
画風がシンプルで癖が無く読みやすい。
1話目のサウジアラビアの女の子の話が一番良かったです。この女の子、10歳で既に両親の関係性(自分達母子が、第二夫人とその子である事)を察する程に聡明で、一体成長したらどうなっているのでしょう?
女の子は屋外でサッカーボールすら蹴れないお国柄では、他国に留学しそのまま生活拠点を移す未来しか見えませんが、数年後の彼女の物語も読んでみたいと感じました。
また、第一夫人の人柄がいたって善人なのも逆にリアルで、考えさせられる内容でした。
悪かった点:
4話目の日本編は消化不良で、読了後にモヤモヤが残りました。
何故ならこのお話だけ唯一、他話と異なり、
「選択の自由があるのに今を選んだ結果」
であるからです。
この女の子の母親は著名な学者ですが、前夫に対し、「口では認めているが、(妻が)仕事で成功すると不機嫌になり、家事をしない事や母親(主人公にとっては祖母)が家事手伝いに出入りする事を快く思っていなかった」という発言をします。
‥コレ、別に女性差別とか関係無くね?
と読んだ瞬間「?」疑問符が浮かびました。
この母親、学者としては優秀だけれども生活能力は無くて家事が出来ず、既婚後も自分の母親(主人公の祖母)を家に出入りさせ生活の世話を焼いて貰っていたとの事。そして離婚後は、母親の家に娘と転がり込んでいる。
‥所謂「子供部屋おばさん」では?
いやいや、待ってよちょっと待って‥
TVに出て本を出している学者だから、家事をせずとも良い?娘の面倒も母親任せでOK?
コレ、問題にするべきは女性だから云々じゃないでしょ。
仕事が忙しいからとか学者だからとか、家事育児をしなくていいという免罪符にはなりませんよ‥。
何故なら、自分で敢えて結婚出産という選択をした結果であるのだから。選択の自由がある中で選んだ結果には責任が伴うものです。
この母親は、その責任を果たしていません。
そして自分の幸せの為に、娘である主人公の幸せ(両親と仲良くパンを焼く)という選択肢を一つ、犠牲にしています。
更に言えば、娘と暮らす父親という幸せを、前夫から奪っている(同居している点から見て、主人公の親権は母親に有りそうです)。
この母親の描かれ方には、大いに疑問があります。
端的に言って、他話の問題とは本質が異なるように思います。
巻末のアフガニスタンの女の子の物語を4話目に据えれば、作品としての整合性が取れていました。そこだけが残念です。
以上です。
4話目以外は良い作品でした。
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遠い国にも、そして日本にも今でも存在する女性差別。それを目の当たりにし、抵抗し挫折しそうになりながら自分の道を見つけていく子たち。読みながら何度も声を上げて泣いてしまった。女性が自分で稼いで一人で生きられる日本ではあるけれど、先は本当にまだまだ長い
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Twitterで知った本。女性差別というか、女性が勉強したり社会進出したりすることを妨げようとする社会をいろいろな国を舞台に描く。それは必ずしも男性側からの抑圧だけじゃなくて、女性からの抑圧の世代を重ねた繰り返しだったりすることもあるし、必ずしも意識的なものとも限らない、ということを少女たちの目を通して描くという、これは広く知られていい本。女性というだけで読み書きを学ぶ機会さえ奪われたらそれは時として命に関わる事態にもなりうる、というのを彼の国の抑圧者はどう思っているのだろうか(そもそも抑圧者の側すら読み書きがまともにできるのだろうかという別の疑問はあるが)。
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世界の国で女の子の置かれている状況⁉︎
が、分かりやすく漫画で描かれている。
もっともっと知らない国があるので、第二弾が出ないかと期待。
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イスラーム映画祭などで紹介されている中東で制作された映画で扱われているようなモチーフを日本の作家が描いていることに驚く。それらの映画を観たあとで本作を読んでそれほど違和感を感じないので、こういった問題や異文化に対する理解という面で作者のセンスがあるのだろう。
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進むべき道が決まったカンティ。幸せなのかどうかを決めるのはわたしだよと思ったまりえ。
そのどちらも終わり方が良い。
まりえのおばあちゃんみたいな人はほんまに周りにいくらでもおるもんね!
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TwitterのTLに流れてきた新刊案内(試し読み付)をみてすぐに本屋に取りおき以来、手に入ってすぐに読了。
連作短編スタイルで、サウジアラビア、モロッコ、インド、日本で、10才の女の子たちが日常の中で女性のおかれた立場の過去、現在、未来を考えるお話。国や宗教や文化などの背景が違っても、女の子が感じる「なぜ?」は意外と共通している。友達同士や姉妹、母親との話を通じて、我が身をふりかえったり現実を知ったり、保守的な社会にあって先進的な家庭の子もいれば、構造的な問題を目の当たりにする子もいる。あとがきのあとにもう一作、アフガニスタンの少女のお話。どの女の子も自分の夢や志、自分の幸せに向かって前向きに進んでいける未来であってほしいと心から祈らずにはいられなかった。大きな目が印象的なていねいな作画とお話の運び方で、小学校高学年から読めるいい作品だと思う。たくさんの資料と格闘して時間をかけて描かれていて、外では黒いチャドルなどで髪も体もかくしているイスラムの女性たちが、家の中ではヘアスタイルもファッションも私たちとなにも違わないことなどを知ると、ニュースなどで彼の地の人々の姿を見る目もまた違ってきそう。カバーの背景になっている水彩の草花もうつくしい。
初出は「月刊コミックビーム」2022年1〜4月号、6月号。こういう作品が月刊コミック誌で読めるというのは心強いことだなあ、と思ったのは「バクちゃん」に続いてのこと(「バクちゃん」や「高丘親王航海記」も同じコミックビーム発)。
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漫画は基本的には登録しないようにしているのですが、この作品は、この本棚に残しておきたかったので特別に。
女の子が置かれている環境が描かれている物語です。
静かに、胸に突き刺さり、
静かに、心の中で涙が流れました。
静かな場所で、ゆっくりと、何度も読みたい作品です。
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やまじ先生久しぶりに読んだ。
線とかとても洗練されて美しいなあ。
フェミニズム系コミックではあるのだけど、
読んだ直後に、7.8事件(って今後呼ばれるかしら)が起きてしまったのね。
だからなにかこう、社会的な呪いや、圧力や、暴力の中、自分を見つけていく少女たちが余計に心に残りました。
あらゆる人が自分を保てますよう。心の自由を得られますよう。
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Twitterで見かけて気になった作品。
なかなか書店で見当たらず、注文しようかなと思いながら一か月経って、やや忘れた頃に書店で見かけて購入。
読み応えがあり、静かな表現に心が揺さぶられた。
この作家さんの絵、とてもいいなあとおもった。
モロッコ編の「しかめっつらとメガネ」が特に好きです。
以下、各話についてメモ。
サウジアラビア編。
なぜサルマのパパは、アミーラをサルマに紹介しようとしたんだろう?
そこに事前に、サルマのママに許可をとったり相談したり、は多分していない。
女性二人は、お互い、相手に悪意はないけど、複雑な関係なのに、パパのサルマへの行為は彼女たちの心情に何も配慮がないように見えて苦しい。
サッカーボールを蹴る、イキイキとした想像上のサルマ。
どうか、彼女の希望が叶います様に。
モロッコ編。
シャマおばさんの奪われた世界を想像するハビーバ。
優しい、聡明な彼女の、心の深さに泣いてしまう。
シャマおばさんの境遇を説明するなかで「息子が産まれたからまだ良かった。娘が産まれるよりマシだった」の意味があまり分からず、、、。
娘が産まれていたら、息子じゃなくてガッカリされる、とか、娘が将来自分と同じ目に遭うのを見るのが辛いから、ということ??
インド編。
つら。。。
私を含めて専業主婦の日本女性たち、これに近い感覚を持ってしまっているのも事実。多分ね。
日本編。
パパ、さわやかイケメンだなと思ったけど、ママには無理をさせていたのね。
口先だけ、という実態、これまたよくある話かも。
アフガニスタン編。
つら。。。
----------ノートと鉛筆を私たちからとりあげないで
もう泣いて泣いて読めませんよ。
ふうう。
もっといろんな国の話を見てみたい。
ぜひ続きを描いてほしいと思った。
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Twitterに流れてきた漫画を読んで、これは自分の人生にとって大事な一冊になるんじゃないかと直感し、紙の本で購入しました。
飾り気のない、洗練された語りと絵が好きです。
社会問題を扱う作品って、現状に不満がない人にとっては説教臭くなりがちだけど、そういうのは感じませんでした。すっと入ってきた。
女性差別的な慣習を頭ごなしに批判するのではなく、そういう文化圏で生きる人達の内情にまず寄り添おうとする制作陣の姿勢は、痛烈な批判よりずっと強く、この問題への関心を読者に訴えかけます。
読んだ人の視野をそっと広げてくれる優しい作品だと思います。
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こんな世界があるなんて知らなかった!
家の外で親族以外の男性と行動ができない女性。
学校に通わせてもらえず文字の読み書きができない女性。
生活のために嫌なことをさせられる女性。
『女の子がいる場所は』
日本と異なる宗教や家族構成の国には、私たちが知らないことがある。
本書を読んで知った習慣など3点を紹介します。
1つめ、イスラム教の家の中で家族の前では髪を覆う布を外していること。
2つめ、お金や権力で女性を利用する人がいること。
3つめ、一夫多妻制で、複数の夫人は別々に暮らしていること。
内容は、家族の事情が絡む中での女性の人権など、まんがで柔らかく取り上げられている。
巻末は、タリバンが政権を取り戻した2021年8月のアフガニスタンについてのストーリーで締めくくられる。
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これは海外の、そして日本の、女の子たちの現状。どの話もはっきりと解決はしていなくて、こんなことがあると知り、これからどうしたいか、どうしたらいいのか、今後を考える物語。
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いい本だなー。
いろんな人に勧めたい。
サウジアラビアの映画「少女は自転車に乗って」やアルジェリアの「パピチャ」を思い出した。
みんな自由を求めて息苦しい社会で、なんとか息継ぎしたくて苦しんでる。そして、頑張ってる。
一緒に頑張ろう!と思う。
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どこの国でも「女の子だから」と理不尽な思いをすることは、多かれ少なかれあるだろう。この本は、サウジアラビア、モロッコ、インド、日本、アフガニスタンの10歳の女の子の目を通した出来事を描いている。理不尽な思いをしても、希望を持ち続ける彼女たちの姿はとても頼もしい。