紙の本
隅々まで見たくなる!
2022/09/25 00:03
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投稿者:pascal - この投稿者のレビュー一覧を見る
水族館と言うと定番デートスポットであったり、大きな海洋生物に感動したり、ショーを楽しんだりというイメージだろうと思う。特にこの沖縄美ら海水族館は沖縄旅行の定番コースと言っても過言ではないだろう。
他の水族館ではあるが「バックヤードツアー」に参加したことがある。私たちが楽しんでいる裏では水温・水質などのチェックは元より、事細かなデータを取って海洋生物の状態を常にモニターしている様子が窺える。
タイトルに「役に立たない」とやや刺激的な言葉が使われているが、役に立つ・立たないは人によって違う。確かにここでの研究が私たち一般人の生活などに役に立つのか?と問われればおそらく役に立たないだろう。しかし美ら海スタッフの日頃の研究はもっとマクロ(マグロではない)に、しかも時空を超えるレベルの話である。近視眼的に役に立たないと切り捨ててしまっては、本当に何も残らない。
これから沖縄に「修学」旅行に行く学生たちにぜひ読んで欲しい。これを読むと美ら海水族館が何倍も面白くなる。黒潮の水槽を見て「きゃー!すごーい!おおきーい!」と叫ぶだけが沖縄美ら海水族館の魅力ではないことが分かると思う。
あの美ら海水族館の魅力はまさにスタッフの好奇心の結晶なのだと思う。
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ちょっぴりマジメな 美ら海サメ学への招待
佐藤圭一
ちょっぴり笑える 役に立たない最高のサメ研究 冨田武照
美ら海は夢とともに世界へ 松本瑠偉
美ら海の研究は本当に役に立たないか?
佐藤圭一
閉館している間、収入ゼロでもかかる莫大なランニングコスト、運営コストが群を抜いて高い水族館。そこでの研究者の方々の話しです。
砂の中からヒモムシ。
妊娠しているイタチザメの子宮。
川を遡上するオオメジロザメ。
この役に立ちそうな装置を使って、びっくりするほど役に立たない研究をしてやろう。私にはそんな野望がある。そんなに簡単に人の役に立つと思うなよ。
マンタの「ツボ」を押して動きを止める。
トラフザメの胸ビレや尾ヒレの先を少し握ると動きが止まる。
巨大なメスのジンベイザメから出てきた300匹以上の仔ザメたち。
ミツクリザメを調べる仲谷先生。の笑顔。
魅力的な写真とイラストがたっぷりあります
パラパラマンガが可愛くて、パラパラしっぱなしでした。
沖縄で学会の年会が開催されると、参加者が増えるのは、沖縄の夜の ゆんたく?効果?
面白かった❗
やっぱり人間が面白かった❗
ベルギーの研究者と美ら海の人達のサメ釣り
の顛末は、笑ってしまいました。
ホセ・カストロ氏とオモチャの冨田先生の話しには、クスッとしたりウルウルしたり。
国立自然史博物館。
行きたいなぁ~。
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8月3日新着図書:ジンベエザメの飼育・研究でも有名な沖縄の美ら海水族館。本書では、主に美ら海で展開されているホホジロザメやメガロドンなど「サメ」に関する研究に焦点を当てて紹介しています。「役に立たない」...? その理由は本書でじっくりご覧ください。水族館で働きたい方・研究したい方、美ら海水族館に興味ある方、必見です。
タイトル:沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?
請求記号:487.5:Sa
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28202326
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『#沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか? サメ博士たちの好奇心まみれな毎日』
ほぼ日書評 Day626
自虐的なタイトルながら、当然のことながら、著者たち研究者の情熱たるや、南国の海どころか、東京の酷暑を上回る熱量である。
仔細は本書に譲るしかないが、例えば、こんなことを聞いたことがあるだろうか?
ジンベイザメは千メートル級の深海潜水を行うが、その理由のひとつは体温調節のため。中近東(アラブ)周辺の夏には海水温35度にもなる地域にも頻繁に出現するジンベイ達は、一気に深海に潜ることで荒那の火照りを冷ましているのだという(★人間にも、そうした機能が欲しい昨今だ)。
魚類は、一般に雌が卵を産み、雄がそれに精子を振りかけることで、受精するが、進化論的には古い世代の生物に属する鮫類のそれは大きく異なる。
まず、サメは交尾を行うことで受精する。哺乳類のものとは構造は異なるながら、「ペニス」を保有するのだ。
さらに、サメの多くは卵胎生。「子宮」を持ち、その中で卵が孵化、胎仔と呼ばれる「子」がある程度まで育ったのちに、外に出てくる。ジンベイザメでは、数百匹もの子を宿していた捕獲例があるという。
今すぐにも、沖縄の海を見たくなる一冊だ。
https://amzn.to/3ztHvea
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役に立たない研究が大切なワケ。
沖縄美ら海水族館は研究を奨励する体制があり、この本はその中でも特にサメに関する職員の研究を中心にその面白さや意義について書かれている。浅学ながら美ら海水族館がサメの研究で国際的にも重要な論文を発表しているとは知らなかった。コロナ禍の水族館の様子や、動物園・水族館の研究活動についても書かれていて、興味深く読んだ。
研究は「役に立つ」ことが求められる。自分の経験でも、大切なのはso what? それで? と聞かれた時に何のためか答えられることと教えられた。たとえばこの本で取り上げられている人工子宮はサメの飼育のために必要だから「役に立つ」研究だ。水中エコーも、それを使ってサメの生態を知ることができる装置で、サメの生態がわかれば保護にも活かせるから「役に立つ」と言える。さて、それではサメを保護したり飼育したりするのは、人類にとって何の「役に立つ」のか?
クモの糸やヤモリの指先を研究して、新しい素材を生み出す研究が話題になったことがあった。生物の研究を、そういう人類の「役に立つ」何かのために行っている人もいるだろう。間違ってはいない。でもこの本は教えてくれる。たとえ直接人類の何かにならなくても、水族館で様々な生き物を研究し、その成果を発表することが、どれだけ大切なのかを。
SDGsなんて言わなくても、自然保護は今や世界全体の課題だ。動物たちと地球上で共存していくということは、人類の中で争っている場合ではない。動物の姿を見るなら、すぐそこの自然で見る以外には、動物園や水族館がその場所となる。そこで生き物たちがいきいきとした姿を見せること、その出会いから生まれる興味や好奇心は、必ず生命への共感と責任感につながる。だから、美ら海水族館は研究を進め、その成果を発表し、共有し、還元する。素晴らしい水族館の在り方だ。
この本から私が得た結論はこうだ。すべての「役に立たない」研究は、人間が地球上で生きていくために大切なのである。
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サメの研究者による美ら海水族館の紹介と研究ネタの紹介本。
面白いですね。
サメ学の本の続きのようですが、そちらを読まず、こちらから読んでしまいましたが、前著も読んでみたくなりました。
「知れば知るほど謎が深くなる、というのが研究の醍醐味」と言い、「バケツ一杯の水で棲んでいる魚が分かる技術の開発」は、その撥露でした。
水族館は動物園と同じように遊戯場的な扱いを一般的な感覚ではもってしまいますが、
生物の飼育技術の向上→魅力的な展示につながる→多くの来院者→研究・技術開発の活性→新たな展示に還元
と、研究する水族館というモデルを構築できていることが、唯一無二のポジションという記載に唸りました。
確かにサメの人工子宮は初めて知りました。
特にお気に入りは、第2章の「役に立つ装置と、役に立たない研究」で、サメに超音波検査(しかも水中で!)とか、カエルやエイが瞼を閉じる時、一緒に眼も皮膚に陥没するらしいのですが、エイは眼球を引っ込める距離がなんと4cmも移動し、ほぼ目の大きさと同じ距離を移動する唯一の生物という件で、「この役に立ちそうな装置を使って、びっくりするほど役に立たない研究をしてやろう」というところ。
こういう環境が維持できる日本で今後も言って欲しいと思いつつ、役に立つ製品を!とか、ニーズから商品開発を!と日夜悩ませている自分と比較して、ちょっぴり切ない気分になりつつ、なぜかほっこりした本でした。
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タイトルに惹かれて、思わず手に取った。
美ら海水族館がこんなにも研究をしているなんて知らなかった。もう何年も行っていないが、久しぶりに美ら海水族館に行きたくなった。
役立つ研究だけが重要ってことはないんだと、目からウロコ!
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自分も研究者の端くれとして、大変興味深いタイトルに惹かれ、本書を手に取った。
自分の研究は建物の耐震工学なので、こと日本においては説明不要で重要な研究と認知されることが多いが、生物関係の研究はすぐに役に立つわけではない研究も多いことがわかった。(こんなのも研究になるのね、という発見もあった)
本書で紹介されているような基礎的研究も、種の生態系を把握する上で重要ではあるが、今の日本の制度上、役に立たない研究は研究費を貰いづらく、重要だが人間の生活には役に立たないと言う研究が発展しない現状がある。美ら海水族館と研究センターの関係性のような工夫が必要なのだろうと思った。
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学術研究に力を入れる水族館であることが良く分かった。
ガラパゴスでジンベイザメの採血をする場面が圧巻。
著者3名が北海道大学つながりの方々という天で、北海道大学のすごさも感じた。
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この本は分野を問わず研究職に就く人は絶対読んだ方がいい
というのも研究職においての課題がはっきりと描かれているからだ
サメ研究について分かりやすく解説しながら、経済や産業に直接貢献しない研究を挑戦的に「役に立たない」と題してそれらの研究及び研究結果のアーカイブ化の重要性を問いかけている
どうか日本も「役に立たない」事柄を研究する価値に気付いて適切な制度の設置、予算配分をして欲しいと思う
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美ら海水族館に行ったら魅力的で読みたくなった本作。3人のサメの研究者が、この美ら海水族館に辿り着くまでそして今直面していることが書かれていて、またさらに美ら海水族館が好きになった。
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もともと私自身が海や海洋生物が好きという背景とあるが、めちゃくちゃ面白かった。大学で少し研究というものをかじったことがあるが、こんな情熱を持って研究できればよかったなぁと思った。私自身もいわやる産業的にお金にならない研究をしていたが、この研究は面白い!人にこの面白さを伝えたい!という気持ちが必要だったなと反省(^◇^;)
美ら海水族館は娯楽施設だと思っていたが、こんなにもアカデミックな研究をされていたとは驚いた。水中エコーは美ら海が始めたということで興味深かったし、これのおかげで色々な研究が進むとはなかなかロマンあふれる話ではないか。
あぁ、私もこんな研究をしてみたいと思わせてくれた本。本に書いてあること以外に、地道な作業、業務や数えきれないほどのうまくいかない苦労もあるとは思うが、研究って面白そう!という気持ちにさせてくれる。