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1929年発表作品ということでか、なにかゆったりと上品に物語が進む。数学者ランスロット・プリーストーリーが謎解きをする。
ロンドンで化学装置の設計・製造をしているデイヴィッドソン社。創業者は亡くなり、今は息子ヘクターが社長で、従兄ガイも化学者として社員である。ある日、ヘクターは終末を郊外の別荘で過ごすため移動していたが、最寄り駅で車に乗った時は生きていたが、着いてみると死体となっていた。積み込んだ荷物も消えていた。
ヘクターは走る車の中で殺されたのか? 消えた荷物は? 考えてみると「半密室」といえるかもしれない。関係者は他に、優秀な技術者フィリップ、秘書のオルガ。フィリップはつい先日、ヘクターから首だと言われていた。ヘクターは享楽的で、ガイはまじめ。一体誰が?
秘書のオルガとフィリップは婚約しようか、という仲だが、オルガは秘書の仕事に生きがいを感じていて、フィリップもオルガが仕事をするのを拒否しない、というのが1929年の作品としては考えが進んでいるなという気がした。
犯人は、殺人を犯したのは、悪ではなく善を追求するためなのだ、というが、でもやっぱり殺していいのか? という気がするが・・
作者のジョン・ロードは初めて聞く名前。
奥付説明
ジョン・ロード:1884イギリス生まれ。本名セシル・ジョン・チャールズ・ストリート。別名義にマイルズ・バートン、セシル・ウェイ。1924年「A.S.F]でミステリ作家としてデビュー。25年に発表した「The Paddington Mysutery」以降多数のミステリ作品を発表し、ディテクション・クラブの主要メンバーとしても活躍した。アガサーチに項目あり。
1929発表
2022.5.20初版第1刷 図書館