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【概略】
前著「どんな咬み犬でもしあわせになれる」では著者の犬との出会いから保護団体設立・運営、そして著者とご縁ができた犬達とのエピソードを軸に綴られてきた。本著では著者の経験を、具体例として分類がされた犬の飼育マニュアルに位置づけられる。
2022年10月19日 読了
【書評】
引き続き、ちょっと思うところがあり、手に取ってみた。
「しつけ」と「トレーニング」の違いをしっかり定義づけているところ、犬を飼ったことがあるけれど、飼うことに対して学んでこなかった自分にとっては目から鱗。
YouTube 動画での説明もそうなのだけど、著者の北村さんは、人間世界に置き換えた比喩が非常に上手。狼のDNAが流れる犬は、自分が安心するスペースはそれほど大きくないという点を、体育館で生活する人間になぞらえてみたりする。犬の行動とそれに伴う心理を、しっかりと人間の視点に置き換えてわかりやすくしてくれている。それをしたうえで、飼う人間側の意識改革を求めてくる。「犬の気持ちを理解する」ことと「犬の気持ちになろう」を別のものとして捉えているあたり、その姿勢が見えるよね。
個人的なことなのだけど、最初に飼った犬は、迷子になっていたメスの雑種で。初めての犬だったから、よく散歩に連れて行ったのだよね。「本当は、これ、よくないのかな?人間のワガママなのかな?」と思いながら、散歩中に前に出ようとするそのコロ(その犬の名前)を、リードをキュッと引っ張り、横にいさせて。すると、走らずずっと横にいるようになり、立ち止まるとコロも立ち止まりこっちを見上げる。結果的に当時のあの方法は、よかったのだなと痛感した。それ以降の犬は、皆が好き勝手に走り回っていて、引っ張りまくられてたから。
いまだに「ちょっと思うところ」は残ったままで、それを解消するためにも、定期的に手に取りたいものだよ。