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ハルモニ(祖母)が盗んだ物語。それを取り返しにきたという不思議な虎。ハルモニの病を治すためには物語を渡すしかない・・・。
とても面白かった。朝鮮半島の昔話とハルモニが盗んだという昔話がうまく結び付けられていた。表紙の装丁もとても素敵だった。
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物語がもつ力
夏休み、リリー一家は、ハルモニ(おばあちゃん)の家に引っ越しする。その道中、リリーは路上にトラが寝そべっているのを見つける。リリーだけが見ることのできるそのトラは、昔ハルモニが盗んだ物語を取り返しにきたらしい。リリーは、勇気を出してハルモニを救おうと決心する。
「強かったら、ひとつだけでなく、いろんな真実を心のなかに持てるんだよ」
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母と姉と一緒にハルモニの町に引っ越してきたリリー。なぜかリリーにだけトラが見えた。普段は引っ込み思案なリリーだが、ハルモニを助けるため、勇気を出してトラと対峙する。
韓国の昔話をベースに、人権、障害、LGBTなどいろいろ盛り込まれているが、私は、4世代の女系家族が異国で力強く生きていく姿が描かれた大河的な物語だと思った。2021年ニューベリー賞受賞。
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韓国系アメリカ人一家の女性の物語。QAGクワイエットアジアンガールの典型のようなリリーが主人公。リリーのハルモニ(おばあちゃん)はちょっと変わっていたけど、秘められたリリーの強さを表に引っ張り出してくれた。姉のサムやママには見えないのに、自分の前に現れたトラの話ができたのはハルモニだけ。ハルモニの病を治そうとリリーはトラを相手に取引を持ちかける。
リリーがケンカするママとサムの前で透明人間になろうとしたり、友達のリッキーがスーパーでお父さんから怒鳴られた時、リッキーを思いやって感じる心の痛みなど、子どもの頃の感覚を思いおこさせる。
いろいろな問題をかかえる社会で生きる子どもたち。どこの国でもお話が生きる力を育むという事が描かれていると思いました。
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私は、ママとお姉ちゃんのサムと一緒にハルモニの住むサンビームに引っ越してきた。雨降る道路に寝そべる巨大なトラがふいに消えた!ハルモニに話さなければ! 現実とお話の世界が交差する不思議な物語。
小さい頃ハルモニにお話をねだると必ず
「お星さまのなかにかくれているお話をとっておいで」と言われたリリーとサム。きっと子どもはだれでもお星さまをつかもうと夢中になると思う。朝鮮半島のむかし話がどんなものか興味がわいてきた。
お話にわくわくした頃はあっという間に過ぎる。大人に近づいているサムもそうなのだろう。
リリーやリッキーはまだまだ空想の中で自由に遊ぶことができるのだから、ちょっぴり羨ましくなる。
図書館員のジョーさんが言った言葉が印象に残った。
「物語は秩序でもないし、組織だったことでもない。感情のものだ。感情は、時としてつじつまがあわないことがあって、水みたいに雨みたいに指のあいだからこぼれ落ちていく。 水は命をあたえてくれ、人びとを結びつける。水に自分の姿を映してみることもできるんだ。」
物語やお話は子どもの心を豊かに育むもの、大きくなるにつれ見方が変わり自分に語る物語も少しずつ変化していく。それが成長することだと教えてくれる。
朝鮮で生まれたハルモニの文化や風習について、彼女がかかっている病気について、本当は気味悪いとも、こわいともリッキーが思ってないと知ったリリー。
プリンに泥を入れたことを謝り、二人は仲直りができた。 また一段、大人への階段を上がった瞬間だと思った。
素敵な装画と題名に惹きつけられた。
お洒落なハルモニの姿も裏表紙のそでに隠されていて楽しい。
この本は成長物語だけでなく、いろいろな要素が盛り込まれているので、読む度に新しい発見があると思う。 ☆4.5