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【まとめ】
0 オーストラリアの基本情報
オーストラリアは、世の中が危機になればなるほど繁栄する国だと感じている。資源があり、政治が安定しているため、社会不安がなく、人々に心の余裕がある。その結果、世界中から移民や難民が集まってくるため、人口が増え続けて経済が潤う。また、オーストラリアは四方を海に囲まれた「島大陸」なので、移民や難民の受け入れ管理がやり易く、施設や土地も十分にある。
オーストラリアは、1992年から2019年まで2年連続でプラスの経済成長を続けた先進国で唯一の国である。コロナ禍の影響で一時マイナス成長となったが、2021年の一人当たりの名目GDPは、約6万3529米ドルで、世界第10位(日本は2位)。OECDは、新型コロナパンデミック後のGDP成長率を4〜5%(2021年10月時点)と見ている。IMFが出しているG20の2020年の経済成長率ランキングでは、オーストラリアは5位(日本は1位)にランクインしている。
オーストラリア国内の住宅市場も活況を呈している。2021年のシドニーの住宅の平均販売価格は日本円にして8000万円を超えている。また、2020年の最低時給は12.9米ドル。平均年収は世界8位につけている。
国民の約半数が海外生まれという移民国家であり、現在でも移民政策は国の重要政策だ。平均寿命は83.04歳だが、2020年現在で約2550万人の人口が、2050年には約30%増の3280万人まで増えると予測されている。驚くことに、この人口増加率はインドの20%よりも高い。オーストラリアは「まだまだ若い国家」なのだ。
1 政治
・義務投票制。国民は選挙に行かないと罰金を取られるため、投票率は9割を超える。投票率が高いことで国民の意見がきちんと反映されるため、政権に自浄作用が働く。
・国が中規模であるため、機動力が高く、フレキシブルな対応ができる。激動の時代にこそ、このスピード感がプラスに働いている。
・二大政党制(労働党と保守連合)がきちんと機能している。2022年5月には、9年ぶりに保守連合から労働党政権に交代した。これには「義務投票制」が一役買っている。国民のバランス感覚が選挙に反映し、大きなスキャンダルがなかった政権与党をあえてチェンジさせた。野党はしっかり影の内閣を作り、準備してきたからこそ国民の信任を得ることができた。
・それぞれの州がリーダーシップを持って独自に動いている。
2 経済
・高い食料自給率(カロリーベースで200%)。
・豊富な資源。金属資源の埋蔵量が世界一で、石油もなくならないと言われている。鉄鉱石、石炭、レアメタルなどの鉱物資源も豊富で、金も埋蔵量が世界最大。ウランは無尽蔵にあると言われている。LNG輸出量は7800万トンで世界第一位である。
・2000年から不動産価格が上昇し続けている。シドニーは1年で価格が2倍、20年で4倍になっている。平均10%ずつ価格が上昇している計算だ。
2021年だけで住宅価格は12%上昇し、2022年では6%上昇と予想されている。オーストラリアは、アジアからの移民が多く、人口が増えているため、需要がゆっくりと増え続けているのだ。
ただし、今のシドニーは住宅の��格が高すぎて、一般人は買えなくなっている。
・一つの会社で一生働き続けるということはなく、キャリアアップ志向。
・時給が世界最高水準。ブルーカラーのほうがホワイトカラーよりも平均給料が高い。日本人が稼ぐためにオーストラリアで働いたりしている。
3 医療
・多種多様な民族が集まる多民族国家であり、アジア系移民の2世、3世で医師を目指す人が比較的多い。
・コロナの検査体制の強化と撤退的なロックダウンを実施し、デルタ株の新規感染者数を国全体で1日あたり1-2人に抑え込んでいた。
・基本的に公共医療は無料。GPという一般医の診察と、特定の分野の病気を診察する専門医の2つに分かれている。メディカルセンターには20〜30人のGPが在籍し、診察後に症状に合った専門医の推薦状を書いて紹介してもらう。専門医の診察や治療まではお金がかからない仕組みだ。患者と医者のミスマッチを防ぐ合理的な制度である。
・医療現場にスタッフが多く、勤務時間に厳格な制限がある。それでいて給与は平均700万円近くある。
4 教育
・褒めて伸ばす、自主性を重んじる。
・グローバル教育。小学校から外国語の授業があり、自分で好きな言語を選択することができる。「イマージョン教育」という他の言語を使って算数などの科目を教える授業もある。
・オーストラリアには大学が39校あるが、そのうちの15%(6校)が大学世界ランキング100位内に入っている。
・子育て支援制度が充実している。子ども一人当たり2週間で上限194.60ドルの補助金が支給される制度がある。離婚者が多いため、シングルマザーに対しての社会の受け入れ体制が整っている。
・学校教育で「金融リテラシー」の授業を行っている。お金の基本的な機能、生活で使えるお金の知識、税金の計算などの授業がある。
5 ウェルビーイング
・オーストラリアは「ファミリーファースト」。仕事よりも自分の生活や家族を大切にしている。
・労働組合がとても強い。
・オーストラリア人の平均年収は8万4000ドル。日本よりも200万円ほど高い。ただし、物価も高い。
・パートやカジュアル(不規則な臨時勤務)も、フルタイムと同じかそれ以上に時給が高い。
・出産時から13週間で合計1700ドルが支給されるなど、出産や子育てがしやすい環境が整備されている。