紙の本
高嶋哲夫さんのリアル近未来小説
2022/10/09 18:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
立ち寄った書店で目に留まった一冊。単行本の出版からの1年でも脱炭素の動きは一気に加速しましたが、著者が指摘する政府や産業界の状況は今でも十分に的を捉えていると感じました。登場人物たちがステレオタイプな印象ですが、その分かりやすさ故に本題に集中できて、著者の作品の良さでもあります。
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欧州をはじめとする多くの国が、2030年以降に販売される全ての自動車をEV(電気自動車)に置き換えるという方針を打ち出したところから物語は始まる。
コロナ禍を乗り越えた世界で、人類の課題は二酸化炭素排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルである。その鍵となるのが電気自動車(EV)であり、都市のスーパーシティ化である。
ハイブリッド車を含むガソリン車から、モーターのみで駆動するEVに移り変わることによる大規模な自動車産業の方向転換は、自動車関連産業で働く人のみならずガソリンを扱う石油産業など多くの産業に影響を与えることが予想される。
世界の自動車産業がEVへの転換を目指す2030年を節目に、自動車関連だけでなく、あらゆる業界がカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させていく流れになると感じた。
蓄電池と燃料電池の違いすらわからない状態から読みはじめたが、そういった技術的な事もわかりやすく説明してあり読みやすかった。
かつての石炭が環境負荷を理由により環境への影響が少ない石油や化石燃料に置き換わっていったように、新たなエネルギーへの移行が急激に進むという世界的な流れが想像できて勉強になった。
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危機に臨んでも今一つ感度が鈍かったり、現状に固執する社会に立ち向かう若手官僚・・という図式は、堺屋太一『油断』を思い出す。
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2030年、自動車業界はどうなってるだろう。主人公の経産省官僚はEVに舵を切るべきと主張。
果たして日本はガソリンエンジンを捨てられるか。小説とは言え考えさせられる。
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この作者、いつもテーマは面白いし、理系的視点で物語を描くので興味深いんだけど、具体的にどこがどうとは言い難いのだけど、なにか詰めが甘くて突っ込みたくなるんだよねぇ。
この作品もそう。中国の野心と、それに対抗しようとする日本を描いているのだけど、なぜだか中国の動向は全く描かれず、日本の描写だけ。物語としては、広がりに欠けるんだよねぇ。
物語の結末が、ちょっと乱暴というところは置いておいたとしても、そういう物語の進め方については、もうちょっとどうにかならんのかと思う。