紙の本
想定外の妄想に振り回される
2022/11/24 22:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくつもの人類滅亡の物語を目にすることが出来た。言葉で表現された大災害は、読む者の妄想を掻き立て、物語の中に押し込めようとする。恐怖を覚えながら、地球文明の喪失を知ることになる。あり得ないような光景が科学理論に裏付けられているような錯覚に陥るのが、この作者の特徴なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
6作品を読むうちに、地球と人類の未来には色んな可能性があることに気付かされる。
自分のこれからの人生を平坦なものだろうと決めつけがちだけれど、急な変化を受け入れなければならなくなる場合だってあるかもしれない。そう思わされるアイデアがこの短編集には沢山詰まっていて、その創造力の豊かさが凄かった。とても刺激的。
「流浪地球」で切なくなり「ミクロ紀元」でなるほどと思わされ、「呑食者」で人類の愚かさを知り「中国太陽」で胸熱な展開を楽しみ「山」で広大な宇宙に思いを馳せる。どれも良かったが「呪い5.0」が他とは違ったタイプのブラックユーモアな話でゾッとして印象に強い。
投稿元:
レビューを見る
どの短編小説も面白く読みましたが好きなのは『流浪地球』『ミクロ紀元』『中国太陽』の三作品です。
外宇宙を目指すことが平和への道なのではないかとなんとなく思っているんですが、人類は争いを好む好戦的な生き物なので、どんなシュミレーションしても破滅なのかなと絶望していたら、こんな風な世界の捉え方もあるのかとめちゃくちゃ面白く読みました。
『流浪地球』は地球ごとスイングバイのように太陽の回りをまわってプロキシマ・ケンタウリへ何百世代もかけて去る物語なのがあまりにもスケール大きくて感動しました。映像化されているそうでぜひ見てみたい!
『ミクロ紀元』は『ウルトラQ』や『人類は衰退しました』『トップをねらえ!』みたいで好きです。『ゼーガペイン』みたいにデータになるのはけっこう作品がたくさんあると思うんですが、まさかミニサイズになってるとは。
『中国太陽』はオーソドックスに外へ出ていくはなしなので、『ほしのこえ』『インターステラー』な面白さがありました。声が届くのに千年かかっても深宇宙へ進むことは近いうちに必要となることなのかもと夢を見てしまう楽しい読書でした。
投稿元:
レビューを見る
中国SFの巨匠、劉慈欣の短編集。
静止した地球が宇宙へ旅立つ「流浪地球」、突如現れた水の山への登頂「山」等、6編収録。
アイディアはわかりやすく、ビジョンは壮大で美しい!「三体」未読の方にもおすすめできる作品群で、SFを読む愉悦にひたれます。
お気に入りはパニックコメディの「呪い5.0」。コンピューターウィルスが侵食し、暴走し、やがて混沌の坩堝と化す様は読んでて楽しいやら、笑えるやら。自虐ネタもあり、劉慈欣の新しい一面が知れました。
投稿元:
レビューを見る
この表題作は映画化もされ評判となり、日本でも(残念ながら)ネットフリックスでは見られるようだ。しかし基本設定以外は原作とは全く異なるらしい。この本では数百年後に太陽がヘリウムフラッシュすることが明らかとなった。人類は地球エンジンという強烈な推進装置を大量に取り付け太陽系を脱出し、プロキシマ・ケンタウリ星系を太陽とする惑星になるため、3千年近くかけて移動することになった。
当然地球エンジンのエネルギーだけでは不可能なので、太陽と木星で何回もスイングバイして速度を上げるのだが、その間の想像を絶する地殻変動やそれに伴う地球政府への反乱や、それはもう様々な事が起こる。
山本弘の地球移動作戦でもピアノドライブで地球を動かしたが、このような壮大な話はやはり長編にして欲しかった。
他にも内部空洞惑星からの金属生物が地球にやってくる「山」とか、天の川銀河を荒らしまくる無敵且つ凶暴な巨大エイリアンが地球に侵略戦争を仕掛けてくる「呑食者」、人工太陽で窓ふき業務にあたる「中国太陽」、エネルギー消費を抑えるため生物をミクロな状態に変換し資源減少に対処する「ミクロ紀元」など実にユニークな設定SFが満載で大いに楽しめた。
投稿元:
レビューを見る
中国太陽は、劉慈欣作品でも一番好きかもしれない。
壮大な宇宙への思いを馳せつつも、どこか人々の営みを美しく慈しむような小説群だった。
投稿元:
レビューを見る
太陽を離れて地球が宇宙を彷徨ったり、宇宙のバカでかい鏡を磨いたり、宇宙人が地球を“略奪”に来たりな短編集。めちゃ刺激的なSFじゃないけど、設定ありきで楽しめるものが多め。三体に繋がる片鱗も見えたりして。
投稿元:
レビューを見る
三体でファンになった作者の短編が出たという事で読んだ。この作者の想像力ははてしない。少し怖くなる世界観、設定を物理や科学の言葉で説得力あるものにしている。短編で余韻を残す終わり方がちょうどいい感じ。別の作品も読みたくなる。
投稿元:
レビューを見る
・流浪地球
地球に大量のエンジンを取り付けて、地球を滅ぼすほどの活動を起こすとされている太陽から逃げるという、とにかくべらぼうなアイデアにワクワクさせられた。
見たこともない地球エンジンの描写は、読んだだけで美しく恐ろしい強烈な視覚的イメージを想起させる。
基本的には主人公を中心に描かれるのだが、文字通り動乱の時代に生きる人々の、社会の動きが描かれているのも見どころだ。県民性ならぬ「時代民性」とでも呼ぶべき、現代に生きる我々とは違った人生観や愛の形があったり、太陽活動に関する予測への懐疑派vs肯定派の戦いがあったりとドラマ的にも楽しめた。人類の愚かさが引き起こす悲劇には、もはや悲しい笑い声を出すしかなかった…。
(この作品が20余年前の作品だということも、読み終えた後では誤差レベルにしか感じなかった)
・ミクロ起源
小さくなって自分より大きいケーキをたらふく食べたい…と子供の頃に誰もが考えたようなことをきちんとSFでやっていた。ミクロの世界では大人になると不安がなくなるとのことで大変羨ましい。他の話はスケールの大きい作品が多いので、逆だったのが新鮮だった。
・呑食者
個人的に本短編集のベスト作品。コンパクトな三体でもあり、地球へのラブレターでもあった。まさか地球を侵略してくる宇宙人が○○だったとは…!
そしてその宇宙人の超弩級の捕食に地球人が武器として使ったとあるものにもおったまげ、なぜか泣けてしまった。
ラストシーンは、同郷の者同士のとても美しき一幕だった。
・呪い5.0
かなりコミカルで笑える小ネタ満載な作品だった。中国のインターネットスラングが楽しい。ただしこのまま全てのものがインターネットに接続されていくと、いつか同じような呪いが作られる日も遠くはない気がしてゾッとした。
・中国太陽
貧しい村を飛び出して都会へと出稼ぎに来た1人の若者のサクセスストーリー。都会のねずみと田舎のねずみ的な寓話っぽさもありつつ、物理的規模が段違いなところが面白い。汗水垂らして現場で働く労働者が最終的にはインターステラーの旅に出るというロマン溢れる作品だった。三体もそうだが、例えるならばグーグ○アースで私たちがいる地点から一気にスクロールボタンをめいっぱいクルクル回して縮尺を小さくしていき、宇宙の果てまで表示させるぐらいのスケール感がとても爽快で気持ち良い。
中国の農村の風景や中国太陽の描写も美しく、やはり劉慈欣は地球が大好きなのだと感じた。
・山
劉慈欣なのに山…?と不思議に思ったが、中盤まで読み進めていくと安定の劉慈欣ワールドが広がっていた。
空間が有限である環境で知的生命体が活動していたら?という思考実験めいたテーマが丁寧に描かれている。有限なものには価値が生まれ、空間を巡ってスターウォーズさながらの戦争も起きる(地底ウォーズ)。
私はよく地球外知的生命体について特集されたテレビ番組を見るのだが、大抵は重力が少なからずあって気体もある地球型惑星の表面に暮らしている生き物が描かれることが多いので、どれも似たり寄ったりで少しつまらないなと感じていた。しかし本作では生息環境��まるで違い、引力や気体がない上なんと言っても宇宙人は機械生命体。まずこの設定にワクワクした。そのような空間から徐々に外世界へと歩みを進めてゆき、順序はあべこべながら私たちと同じ法則を知っていく機械宇宙人の歴史には胸が熱くなった。
泡世界のガガーリンの名言もなかなかいいこと言ってたな。
投稿元:
レビューを見る
流浪地球は映画から入った。ずっと読みたいと思っていた作品。
劉慈欣の描く人の仕事の積み重ね、すごくいい。
呪い5.0
中国太陽
山
興奮した
p166
投稿元:
レビューを見る
劉慈欣の作品は本当に壮大で、想像力を掻き立ててくれますね。いずれの作品も大満足の短編集でした。個人的には「円」よりこっちの方が好きかも。
中でもお気に入りは「中国太陽」。円円のシャボン玉もそうでしたが、こういった希望に溢れる作品も描けるのが劉慈欣の凄さだと感じています。
※呪い5.0はあまりにもバカバカしすぎて笑いました。三千体を自費出版して破産するくだりは本人しか書けませんね(笑)
投稿元:
レビューを見る
天才が過ぎる。面白いし、普通に生きてたら出てこない発想がここにはあった。ただ、これを知ってしまったら、知る前には戻れない。やっぱり宇宙に憧れを感じる。宇宙は無限であって欲しいと思った。
投稿元:
レビューを見る
「三体」がとにかく衝撃的に面白かったので、期待大で読みました。
期待通り、大いに楽しませてもらえました。
どうしてこんなアイデアを思いつくのか。
それがただ奇抜なだけでなく、おそらくは豊富な科学知識の裏付けにより、
ひょっとしてありうるかも、と思わせて、知的好奇心をも刺激してくる。
さらにユーモアやアイロニーのスパイスがまぶされて、
星新一の短編にも似た読後感も味わえる。
特に「呪い5.0」は作者の悪ふざけも存分に感じられて楽しい。
同時発売の「老神介護」の収録作も含め、
別の短編とのつながり(直接的なリンクやパラレルワールド)も感じられるので、ぜひ併読をおすすめしたい。
投稿元:
レビューを見る
『老神介護』に続きこちらも堪能。しかし、本当に劉慈欣の創造力は期待を裏切らない。
地球エンジンによって太陽系を脱出する「流浪地球」
生き残りの人類と新しい人類を描く「ミクロ紀元」
異星文明の侵略と地球を描く「呑食者」
コンピュータウィルスと世界の混乱「呪い5.0」
出稼ぎ労働者の成り上がりと恒星間探査の夢「中国太陽」
異星文明の接触と知的生命の探求「山」
両作を読み終えて、どこか繋がりがあったりアイデアが関連していたりして読みやすい構成になっていた。まだまだこちらが驚くような物語を読ませてもらえそうだ。『円』をまだ読んでいなかったので、まずはそちらを楽しもう。
投稿元:
レビューを見る
2022-10-28
なんかえらい時間かかったけど、読まない日が多かったからで、全く読みにくくはない。
とにかく奇想をマジメに語る6編。どれも好きだなー。やっぱり表題作が1番燃えるし笑ったかも。皮肉。